江戸時代に刊行された資料『都風俗化粧伝(みやこふうぞくけわいでん)』。その中には、美白の方法、丸顔の化粧方法、ニキビの治し方など、現代の女性誌と同じような項目が並んでいます。
まさに「江戸版おしゃれマニュアル」!?
この記事では、『都風俗化粧伝』がどのような資料なのか、作者や出版された時代背景に触れながら、その内容を簡単にご案内します。
『都風俗化粧伝』とは?
江戸後期、文化10(1813)年に出版された、化粧法を中心とした総合美容読本です。
著者は佐山半七丸(さやまはんしちまる)。「江戸時代の美容家」という説もありますが、経歴の詳細は不明です。
書名の「化粧(けわい)」は、「けしょう」よりも広い意味を持ち、この本では「全身の装い」の意味で使われています。
『都風俗化粧伝』の構成
『都風俗化粧伝』は、上中下3巻3冊。
上巻は「顔面之部」、中巻は「手足之部」「髪之部」「化粧之部」、下巻は「恰好(かっこう)之部」「容儀(かたちつくり)之部」「身嗜(みだしなみ)之部」で構成されています。
本の内容は多岐にわたり、顔・からだ用の化粧品や薬の処方、欠点をカバーする化粧のノウハウ、顔型別の化粧法、美しく見える立ちふるまい、帯の結び方、かぶりものの種類など。京都の浮世絵師・速水春暁斎(はやみしゅんぎょうさい)の挿絵つきで紹介しています。
建前では礼儀としての化粧を意識させつつも、「この本のとおりにすれば、たとえ醜くても、たちまち美人になれる」といった女性のおしゃれ心をそそるフレーズがちりばめられています。