大正と平成の名建築と、水盤が生む豊かな景色

古くから風光明媚な地として知られる、静岡県沼津市の千本松原。その一角の庭園に佇む「沼津倶楽部」の前身として数寄屋造りの建物がつくられたのは、大正時代初期のこと。茶人であり、粋人だったミツワ石鹸二代目社長・三輪善兵衛(みわぜんべえ)の「千人茶会を催したい」という思いに応えたすべての部屋が茶室の館は、当代随一といわれた棟梁たちによって建てられました。

戦時中は将校たちの休息所に、戦後は政治家の集う場となりましたが、2008年に老朽化した建物を修繕すると共に、宿泊棟として「別邸」を増築。以来、大正期の匠の技が継承されて国の有形文化財にも登録され、レストランとして使用される「茶亭」と、「二期倶楽部」などを手がけた建築家・渡辺明の設計によるモダンな宿泊棟のある美しき宿となりました。

この宿で心惹かれるのは、すべての客室とロビーの前に広がる水盤の美しい景色。また「茶亭」でいただく食事は、朝晩とも自然豊かな地元の食材を用いたモダンチャイニーズというのも画期的。さらに人気のスパプログラムには昨年12月から、お茶と禅をテーマにしたリラクゼーションプログラム「茶禅房(ちゃぜんぼう)」も加わり、滞在がますます楽しみになりました。


沼津倶楽部
住所:静岡県沼津市千本郷林1907-8
電話:055-954-6611 全8室
¥72,600~(1泊2食付き、2名利用時1名料金 ※税・サ込)
ダイニング「茶亭」は食事のみの利用も可能。
numazu-club.com
構成/川村有布子、遠藤智子(和樂)
※本記事は『和樂(2026年6・7月号)』の転載です。

