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2026.08.04

日本生まれ、昭和育ち!心ときめく「プリン・ア・ラ・モード」後編【渋谷西村フルーツパーラー、上野精養軒、資生堂パーラー】

明治期、日本に流入した西洋の食文化は料理のみならずデザートも。その代表であるプリンやアイスクリームが大衆の口に入るのは昭和の高度成長期のころ。庶民の憧れをひと皿に集めたプリン・ア・ラ・モードは、今も懐かしく私たちを魅了します。長く愛される理由を掘り下げた特集の後編でご紹介するのは、「渋谷西村フルーツパーラー」「上野精養軒」「資生堂パーラー」の3軒です。

渋谷西村フルーツパーラー 道玄坂店

果物のジェラートを含めて一年に7回変わる内容が楽しい

明治後期に東京・小石川に高級果実店として創業し、昭和10(1935)年に渋谷に出店。
まだ渋谷が現在のようなにぎわいを見せていないころから、この地に本店を構えた初代主人。兄と共に3代目として店を支える西村元孝(もとたか)専務曰(いわ)く、「祖父には先見の明がありました」。

新しい挑戦に積極的なことも店の伝統で、プリン・ア・ラ・モードといえばアイスクリームはバニラ味が定番ですが、こちらは旬の果物を使ったジェラートが入ります。その上にかかるフルーツソースも含めて、季節の果物は年に7回は内容が変化します。
1階の果実販売フロアにはジェラートスタンドもありますが、果物に添えるジェラートはそれより糖度を落として果物の甘みを引き立てるよう工夫されているとか。

「果物専門店の果物は、質がいいだけではなく、保存にも手がかかっているんです。たとえばバナナでも室に入れて追熟させて、いちばんいい状態にもっていく。プロの眼が選んだ味を一度に多品種食べられるのが『プリン ア ラ モード』の楽しさでもありますね」(西村さん)

渋谷に集う若者にも果物のおいしさに触れてもらいたいと、開業当初から価格は控えめ。そんな配慮もありがたい!

プリン ア ラ モード 1,800 円(カスタードプリン、マンゴー&オレンジのジェラート、マンゴー&オレンジソース、生クリーム、ピンクグレープフルーツ、イチゴ、キウイ、オレンジ、グロゼイユ(房すぐり)、スイカ、バナナ、ドラゴンフルーツ、マンゴー、ミント)※上記は一例で、7月から8月は桃や、桃のジェラートが入る。ジェラートにかかるフルーツソースも自家製。【蒸しプリンの硬さ★☆☆ カラメルの苦さ★☆☆】

Column ここに注目!「旬のジェラート」


右はマンゴー味(4月~5月)、左がイチゴ味(1月~4月)。ジェラートは提供方法によって味覚、粘度、温度帯も変えている。

●渋谷西村フルーツパーラー 道玄坂店 DATA
住所:東京都渋谷区宇田川町22-2-2F
電話:03-3476-2002
営業時間:10時30分~20時20分(L.O.)、日曜・祝日は10時から開店
休み:不定休
公式サイト:https://snfruits.com/

上野精養軒本店レストラン(洋食)

名物「鴨場プリン」が入ってこの6月からリニューアル

西洋料理の草分けとして知られるこの店は、明治5(1872)年創業。皇室、軍人、政治家らの利用が主だったところに、昭和30年代に喫茶室を設けたことで一般客にも洋食が広まりました。

プリン・ア・ラ・モードがメニューに加わったときの記録は残っていませんが、昭和の“まじめなプリン”を軸にした構成が、2026年6月、写真のように大リニューアル。
ポイントは、手土産で評判の「鴨場(かもば)プリン」が入ったこと!
「鴨場」とは宮内庁が管理する狩猟を行う場所で、国内外の賓客の接遇の場。そこで料理および接客を担当する上野精養軒が提供していたホールサイズのプリンが「鴨場プリン」の原型です。1人前で売り出したところ、なめらかな味わいと気品のある呼び名も相まって人気の品に。

チーフパティシエの福山 護さんによると「この味をより多くの人に知ってもらいたく、『プリン・ア・ラ・モード』の主役にすることを決断しました。
料理ではビーフシチューやハヤシライスといった不動の人気メニューがありますが、デザート部門でもファンが増えてくれたらうれしいです」

プリン・ア・ラ・モード1,500 円(鴨場プリン、バニラアイスクリーム、生クリーム、イチゴ、チェリー、リンゴ、バナナ、マンゴー、メロン、ドライアプリコット、ミント)【蒸しプリンの硬さ★☆☆ カラメルの苦さ★☆☆】

Column ここに注目!「鴨場プリン」


バニラビーンズがたっぷり入り、北海道産生乳と生クリームを加えた濃厚な味わい。卵黄が多めでリッチな食感。1個540円。

●上野精養軒本店レストラン(洋食)
住所:東京都台東区上野公園4-58
電話:03-3821-2183
営業時間:11時~16時(L.O.)、土曜・日曜・祝日は10時30分~17時(L.O.)
休み:月曜
公式サイト:https://www.seiyoken.co.jp/

資生堂パーラー銀座本店レストラン

料理の締めのデザートに2大名物がのったひと皿を

「卵黄が贅沢に多く入るのが資生堂パーラーのプリン。卵黄の力で硬さが出て、コクがあってなめらかな食感になります。ただし卵黄が大量に入ると、火の入れ方を間違えれば卵の匂いが気になるわけで、プリンの火入れに神経を注ぐことが大前提。苦みのあるカラメルソースも卵の香りを中和させるのに効果的で、うちのプリンには欠かせません。昔はもっと苦みがあったんですよ」と語る資生堂パーラーのトップパティシエである髙森 崇さん。

「プリン ア ラ モード」の味の決め手となるだけに、カラメルは大事。抜き型に入っているカラメルはプリンの水分が移ってしまうことから、プリンのトップには別に用意したカラメルを差します。
このひと手間を惜しまない調理のこだわりが、資生堂パーラーの伝統。

昭和時代から通う顧客から支持される、もうひとつの名物であるバニラアイスクリーム、フルーツの酸味をカラメルの風味で味わうこのひと皿は、とてもしゃれた仕上がりです。
昭和初期の店舗にあった開放的な吹き抜けを再現したレストランの空間に身を置きながらいただく味わいは至福です。

プリン ア ラ モード 1,700 円(カスタードプリン、カラメルソース、バニラアイスクリーム、生クリーム、イチゴ、グレープフルーツ、オレンジ、メロン、ブルーベリー、ラズベリー、粉糖)バニラアイスクリームのレシピは、創業以来秘伝。【蒸しプリンの硬さ★★★ カラメルの苦さ★★★】

Column ここに注目!「カラメルソース」


卵の風味が強い自社プリンにはカラメルソースの苦みが最適。なめらかな質感を保つため、季節によって濃度を変えている。

●資生堂パーラー銀座本店レストラン DATA
住所:東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル4F・5F
電話:03-5537-6241
営業時間:11時30分~20時30分(L.O.)
休み:月曜(祝日の場合は営業)
公式サイト:https://parlour.shiseido.co.jp/
※料理とセットではなく、「プリン ア ラ モード」のみの飲食は3Fカフェへ。

※本記事は雑誌『和樂(2026年8・9月号)』の転載です。
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和樂web編集部


撮影/石井宏明 構成/藤田 優、後藤淳美(和樂)
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