展覧会『マリー・アントワネット・スタイル』とフレンチレストランがコラボレーション

フランソワ゠ユベール・ドルーエ(画) 1773年 油彩、カンヴァス 63.5 × 52.0 cm
ヴィクトリア&アルバート博物館蔵
(c) Victoria and Albert Museum, London
歴史上もっともファッショナブルで、時代のファッションアイコンとして注目され続けてきた王妃、それがマリー・アントワネットです。今回、横浜美術館で開催される展覧会『マリー・アントワネット・スタイル』では、18世紀から現代までのドレスやジュエリーに加えてインテリアもレイアウト。そのスタイルに影響されたメゾンやデザイナーの作品も展示して、王妃が極めた様式美について深く掘り下げる内容になっています。
その世界観を堪能するのにふさわしい場所として、展覧会とコラボレーションを行うのが、ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル内のフレンチレストラン「アジュール」。インテリアデザインはパリの有名デザイナー、ピエール・イヴ・ローションが担当。フランス貴族の邸宅を思わせる贅を尽くした空間で、優雅な時間を過ごすことができます。

今回の特別コースは、マリー・アントワネットが好んで食したといわれるフランスや故郷・オーストリアの料理、また18 世紀に宮廷で饗されていた伝統料理などで構成されているそう。さて、王妃にゆかりあるメニューとはどんなものなのでしょうか。
ドラマティックな人生を料理で表現したスペシャルな7品
今回のコラボレーションにあたって、フランス料理「アジュール」料理長・河野 聖(こうの・あきら)さんは、王妃についての情報を調べて、その生涯をひもといていったそう。華やかな暮らしの一方で、革命という時代の出来事に翻弄され、悲劇的な最期を遂げたひとりの女性。そのドラマティックな生き様を表現するべく、フレンチ本来のクラシカルなスタイルはそのまま、卓越したソースづかいや変化に富んだ食感など繊細なアレンジを加えて特別コースをつくりあげていったのです。
◾️1品目 ~王妃の朝食~

まず1品目に登場するのが「アントワネットが好んだブリオッシュとマダム・デュ・バリー風エスプーマ」です。ブリオッシュは王妃が好んで食していたもの。そこに、ルイ15世の寵愛を受けたマダム・デュ・バリーが好んだカリフラワーのムースを重ねています。このふたりは緊張感のある間柄だったといわれていますが、あえてレイヤードすることで美しき「王妃の朝食」をイメージ。ドラマティックなスペシャルコースが幕を開けます。
◾️2品目 ~王妃に捧ぐ一皿のイマージュ~

涼やかなガラスのカクテルグラスで登場したのは「海の恵みとキャヴィアのカクテル シャンパーニュのジュレを合わせて」。アボカドのマリネにシャンパンのジュレを合わせ、帆立、車海老、サーモン、キャビアなど海の幸を美しく盛りつけた贅沢なひと品。シェフいわく「18世紀の華やかな饗宴」を表現したそう。見目麗しいオードブルに心が躍ります。
◾️3品目 ~ヴェルサイユの美学を受け継いで~

続いて供されるのは、魚料理「鮮魚のポワレ ポンパドゥール風」です。「ポンパドゥール風」とは、当時はまだ観賞用で高級素材だったトマトを使った調理法のこと。ポンパドゥール夫人に由来し、その高貴な存在と重ね合わせてそう呼ばれていたのだそう。マリー・アントワネットは、ポンパドゥール夫人のために建てられたヴェルサイユ宮殿の離宮であるプチ・トリアノンを引き継いでいます。トマトソースの上に皮目を香ばしく仕上げたジューシーなポワレを載せて——。歴史に想いを馳せるひと品が完成しました。
◾️4品目 ~王妃の愛した伊万里焼とともに~

4品目となる肉料理は「甲州地鶏のドゥミドゥイユとポム・ムースリーヌ ソース・フォレスティエール」。当時の宮廷で人気を博した伊万里焼の皿に彩り豊かな野菜をあしらって、王妃の愛した「庭」をイメージしています。また「ドゥミドゥイユ」とはクラシックなフランス料理の調理法で、鶏肉の身と皮の間にトリュフを挟んで、黒(トリュフ)と白(鶏肉)を表現しています。「半喪服」を意味するこの料理は、近い未来、王妃に訪れる悲劇を示唆しているのです。
◾️5品目 ~追憶のひとさじ~

シェフが“追憶のひとさじ”と名付けたのが「プティ レギュームと自家製パスタ“バーミセリ”のブイヨンスープ」。王妃は処刑の前日に極細麺の“バーミセリ”を入れたブイヨンスープを口にした逸話が残っているそう。フランス料理においてスープはメインの前に出すのが通例。それをあえて最後に出すことで、マリー・アントワネットのドラマティックな人生を見事に表現しているのです。
◾️6品目 ~ウィーンからの贈り物~

ここからは王妃を回想する美しいデザートが続きます。マリー・アントワネットが故郷オーストリアからフランスに嫁ぐ際にもち込んだとされるのがクグロフ。「クグロフに苺のソルベを添えて」は、同じく王妃が社交界に広めたとされるリースリングのジュレが添えられていて、クグロフとともに食すことで風味がより豊かに。愛らしい色合いに心がほぐれるひと品です。
◾️7品目 ~プチ・トリアノンでの安息の時間に~

締めくくりは「オレンジ香るショコラ・ショー マカロン・ド・ナンシーと小さなマドレーヌ」。18世紀は贅沢品だったショコラですが、王妃は専属のショコラティエによるオレンジの花を香らせたショコラショーを楽しんだと言われています。激動の人生を送ったマリー・アントワネットは、こんな心温まるティータイムを誰よりも愛していたのかもしれません。
マリー・アントワネットの人生をより深く味わうために

今回のスペシャルコースには、料理とのマッチングが考え抜かれたワインペアリングとノンアルコールペアリングがともに用意されています。また店名の「アジュール」はフランス語で空と海の色を表し、マリー・アントワネットが愛した深いブルートーンが印象的な個室「ル・サロン・ブルー」で、より深く世界観に浸ることも可能です。

今回の展覧会の企画は、ロンドンが誇る世界有数の博物館「ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)」によるもので、横浜美術館が世界巡回最初の地であり、かつ国内唯一の会場になります。時代を超えて、私たちを惹きつけてやまないマリー・アントワネット。運命に翻弄されながらも誇り高く歩んだ人生を、横浜の優雅な空間でじっくり味わってみるのはいかがでしょうか。

開催概要
コース名:「Petit Triamon ~マリー・アントワネットの追憶~」
場所:ヨコハマ グランド インターコンチネンタル ホテル2階 フランス料理「アジュール」
期間:2026年8月1日(土)~11月23日(月・祝)※火・水定休(祝日を除く)
時間:ランチは12:00~14:00(L.O.)<土日祝11:30~14:30(L.O.)>、ディナーは18:00~20:00(L.O.)<土日祝17:30~21:00(L.O.)>
料金:¥13,500(税・サービス料込、ランチ・ディナー同一料金)
予約:045-223-2267(レストラン予約/10:00~19:00)
Web:横浜美術館「マリー・アントワネット・スタイル」コラボレーション ~マリー・アントワネットの追憶~
展覧会『マリー・アントワネット・スタイル』概要
展覧会名:『マリー・アントワネット・スタイル』
会期:2026年8月1日(土)~11月23日(月・祝)
会場:横浜美術館
Web:展覧会「マリー・アントワネット・スタイル」
構成・文/本庄真穂

