これまで夏の京都を訪れるたび、鴨川の河原から納涼床を見上げては、「きっと常連さんだけが足を運べる場所なのだろうな」と、どこか縁遠い世界のように感じていました。ところが今回、さまざまなご縁に恵まれ「京料理さつき」さんの納涼床を訪れることに。憧れていた京都の夏の風情を、ついに味わえることになりました!
憧れの納涼床で、バースデーディナー

実は今回、私のダンスパートナーであり、親友でもあるブラウリオ・アルバレスさんの誕生日を、納涼床のディナーでお祝いしたのです。ブラウリオとは、昨年開催した蘭乃はなプロデュース・ダンス公演『Precious』に出演してもらったことをきっかけに、すっかり意気投合。今ではとても親しい友人のひとりです。日本文化を愛する彼に、ぜひ納涼床を体験してもらいたいと思い、お招きした今回のディナー。もちろん、私自身もしっかり楽しませていただきました!
納涼床に出て、まず心を奪われたのが、その景色です。「東山が見える!」

目の前に広がる対岸の山々や、京都の街並み。夕方の涼しい風がそよそよと吹き抜け、足元からは床に敷かれた茣蓙(ござ)の、やわらかな感触が伝わってきます。鴨川のほうから聞こえてくるのは、地元の子どもたちの無邪気な笑い声。目に映るものも、耳に届く音も、肌に触れる風も、すべてが心地よく感じられました。
お料理は目にも美しく、そのどれもが美味しくて、五感が次々と刺激されるような、豊かな時間!ブラウリオも初めての納涼床をとても楽しんでくれたようで、今後の創作についても、たくさん語ってくれました。

白地の浴衣で楽しむ、京都の夕涼み

今回選んだのは、雪輪(ゆきわ)柄が涼やかな、白地の浴衣。京都の浴衣姿と聞いて、私が思い浮かべるのは、白地の浴衣にお太鼓を結び、足袋と草履でお稽古へ向かう芸舞妓(げいまいこ)さんの姿。その凛とした着こなしに憧れて、今回は竺仙(ちくせん)の綿絽(めんろ)地に雪輪を染めた一枚を選びました!
「納涼床での夕涼み」がテーマなので、博多織の献上柄(けんじょうがら)の半幅帯を合わせ、足元は素足に下駄で軽やかに。

白地の浴衣は涼しげで美しい一方、「透けやすく、着こなしが難しい」といわれることもありますよね。そこで私は、白い肌襦袢と裾除けを着用しています。以前、白地の浴衣にはあえて白いものを重ね、下にきちんと一枚着ていることがわかるようにしたほうがよい、という考え方を知り、それ以来、この方法を取り入れています。
今回はさらに、透け防止のため、ベージュのガードルも。透けが気になる場合は、肌襦袢の下にベージュ系のインナーを重ねる方法もあります。ただし、重ねるほど暑さも増してしまうので、夏の装いでは熱中症に十分気をつけてくださいね。決して無理をしないことが一番です!
やっぱり雪輪が好き!
私は背が高めなので、細かな柄よりも、少し大ぶりな柄を好んで着ています。中でも大好きなのが雪輪柄。浴衣に限らず、着物や帯でも、雪輪柄のものを何枚か持っています。夏にまとう雪輪柄は、見ているだけでも涼やかな気持ちになりますね。

全体としては正統派の組み合わせですが、今回は素足に下駄で楽しむ納涼床の装い。そこで、小物類は遊び心満載に!下駄の鼻緒はよく見ると、フラメンコ衣装の生地を使った薔薇と水玉の柄。お扇子は龍で格好良く。正統派の装いに、さりげなくアクセントを効かせました。

ブラウリオとの待ち合わせ前に鴨川を少し散歩した際には、近沢レース店の日傘を。水色と繊細なレースを合わせ、どこまでも涼やかなコーディネートに仕上げました。
ヘアセットは洋髪で
京都らしい装いを楽しみたくて、ヘアセットは洋髪(ようはつ)に。祇園にある「DTEEL(ディティール)」さんにお願いしました。

今回お願いしたのは、芸妓さんの髪型を思わせる、抱き合わせ風のスタイルです。新日本髪などとは異なり、髪にボリュームを出すための「毛たぼ(けたぼ)」を使わずに仕上げるのだそう。

この髪の膨らみは全て、逆毛を立てて地毛で作られています!自分ではなかなか再現できない、絶妙なボリューム感と美しい仕上がりに、思わずうっとり……。
思い出をまとう、夏の装い
ブラウリオに「お誕生日ディナーには、どんな浴衣を着たい?」と聞いたところ、「絶対に着たい一枚がある!」とのこと。今回、ブラウリオが浴衣として着たのは、90代のご姉妹が営む呉服店で仕立ててもらったという木綿の着物。大切な思い出の一枚なのだそうです。
初めて訪れたその呉服店で、ご姉妹と一緒に反物(たんもの)を選び、仕立て上がるのを待つ期間には、着物の畳み方から着付けまで、親身になって教えていただいたのだとか。そんな心温まる思い出とともにある着物を、これからも大切に着続けていきたいと話してくれました。

実は、今回の装いでは、ふたりで並んだときの見え方も意識して事前に相談しました。ブラウリオの青のぼかし縞(じま)の着物と、私の白地の雪輪柄の浴衣。青を基調に、涼やかなペアコーディネートに仕上げました!
下駄は、私からブラウリオへのお誕生日プレゼントです。コーディネートを相談していたとき、薄茶色の帯がとても素敵だったので、鼻緒も茶色を選び、さりげなく色をリンクさせて。ブラウリオは紺色の鼻緒の下駄も持っているそうなので、これからは着物に合わせて、履物のコーディネートも楽しんでもらえたらと思っています。

そして、手にしている扇子は私の祖父が使っていたもの。実家の着物類を整理した際に出てきた、男物の和装小物をいくつか譲り受けてもらいました。こうして大切に使ってもらえるのは、やはり嬉しいものですね!
受け取ったご厚意を、いつか次の世代へ
「人生で一度でいいから、納涼床で食事をしてみたい」。願いは、口にしてみるものですね。
今回、さまざまなご縁をつなぎ、お力添えくださった皆さまへ感謝の気持ちでいっぱいです!こうして先輩世代の方々にサポートしていただいた分、いつかは私も、若い世代の力になれるような格好いい大人になりたいと思います。
蘭乃はなの着物旅は、まだまだ続きます……!

蘭乃はな 出演情報
呪怨 THE LIVE -再念-
2026年9月4日(金) ~ 13日(日)
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ
https://juonthelive.com/
『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』前夜祭
2026年9月17日(木)19時
宝塚大劇場
https://kageki.hankyu.co.jp/sp/news/20260729_001.html
30th anniversary 蘭寿とむ 1st LIVE
2026年10月26日(月)※蘭乃はな出演日
COTTON CLUB
https://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/sp/artists/tomu-ranju-261025/
京料理さつき
https://satsuki-kyoto.com/
撮影/竹下隆行 文/蘭乃はな 取材協力/ブラウリオ・アルバレス 撮影協力/京料理さつき 構成/石川ともみ

