この世のどこかには、女護島(にょごがしま)という、女性しか住んでいない島があるそうです。その島を訪れた男性は、美女たちから大歓迎されるのだとか。
女護島とは一体どのような場所で、どこにあるのでしょうか?江戸時代の作家、井原西鶴(いはらさいかく)の作品で、女護島を取り上げた『好色一代男』とともにご紹介します。
女護島ってどんな場所?
女護島は、女性しか住んでいないとされる伝説の島のことです。日本だけでなく海外でもこのような逸話が見られることから、「女だらけの島でめっちゃモテたい」という男性の願いは世界共通であることがわかります。
女護島には物語や伝説によって、さまざまな特徴があります。例えば…
などなど、男性たちの夢や妄想が思い思いに盛り込まれていますが、「美女たちの正体は鬼」という描写からは、「こんな状況絶対アヤシイ」というわが身の幸せを疑う心理も垣間見えます。
ちなみに現実世界に女護島があるかどうかはわかっていませんが、八丈島はかつて「女護ヶ島」と呼ばれていたそうです。
4,000人以上と関係を持った男が、女護島へ向かう!
江戸時代の大阪を中心に、「浮世草子」という、町人階級をテーマにした大衆的な文芸作品が流行しました。浮世草子の作者として有名なのが、井原西鶴です。
井原西鶴の処女作に『好色一代男』という作品があります。庶民男性の夢が詰まった官能的な小説で、主人公の名は「世之介」。世之介は、遊女・いとこ・人妻など、ありとあらゆる女性3,742人、さらに男性725人と関係を持ち、”色道修行”にあけくれていました。
そんな色道を極める世之介が物語の最後に向かったのが、女護島。舟に責め道具や春画を満載して意気揚々と女護島へ出発しました。
ところがそれきり世之介は消息が途絶えてしまったのだとか。そんな世之介の行動からは「行き過ぎた好色はわが身を滅ぼすもの」という教訓を得ますが、ここまで潔いとかえって好感すら覚えます。
女護島は、時代や国を超えた男のロマン…なんですか?
女護島という名は現代ではほとんど聞かれなくなりましたが、同じように女性ばかりの空間に迷いこむ男のストーリーは、今もなお漫画や小説などで受け継がれています。
時代も国境も超えて、姿かたちを変えながら受け継がれる女護島。わたしは女なのでその魅力はよくわかりませんが、長い間女子校で過ごした経験から言うと、”女護島”は、男性にとってそんなにいいものじゃないと思います。それでもあなたは世之介のように、女護島へ舟を進めてみますか?