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2019.01.10

葛飾北斎の展覧会「新・北斎展」レポート 初公開作品も続々!

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19世紀にヨーロッパの人々を熱狂させたジャポニスムブームの契機をつくり、美しいものをつくりだす日本という国を世界に知らしめた北斎。ついに、めくるめく北斎ワールドが六本木で開催。もうこんな北斎ワールドは見られないかも!? 本展覧会の魅力を5つに分けてご紹介します!

北斎の展覧会「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」

約70年にわたり“超人的な絵師”として創作を続けた葛飾北斎。次々と画号を変えたばかりか作風も常に変化し、その人生を90歳で終えるまで“奇想の画家”の枠にも収まり切らない奇想で駆け抜けました。本展の展示作品は本邦初公開作品も続々登場の約480件!(期間中展示替えあり)主に用いられた6つの画号に分けた展示からは壮大な画業を通覧でき、挑戦を続けた北斎の魅力を俯瞰しながら鑑賞できるはずです。

新北斎展葛飾北斎「津和野藩伝来摺物」全118枚より「楊貴妃、小野小町、蓮華女」(部分)寛政9(1797)年頃 島根県立美術館(永田コレクション)

出展作の多くは北斎研究の第一人者、永田生慈のコレクションによるもの。2000件を超えるという氏の蔵品は島根県立美術館に寄贈され、本展覧会以降は同県から出ないということから、永田コレクションを島根県外で見る最後の機会となります。

北斎、再熱の予感! 展覧会の5つの魅力をご紹介します!

北斎と言えば大波と富士山のイメージが浮かびますが、あらゆる北斎に出会えるのが本展覧会。その魅力を5つに分けてご紹介します。生涯自らをアップデートし続けた北斎の驚くべき作品たちに、再び熱狂の予感です!

理由その1 冴えわたる構想力をじっくりと!
葛飾北斎「東海道名所一覧」

新北斎展葛飾北斎「東海道名所一覧」大大判 文政元(1818)年 島根県立美術館(永田コレクション)展示期間1月30日(水)~2月18日(月

見たこともない実在の地の風景を、いとも簡単に描いた北斎。東京日本橋から京都まで名所を案内した鳥瞰図的な錦絵は、「鷹の眼をもつ」と言われた北斎ならでは。

理由その2 88歳にしてこの生命力!
葛飾北斎「向日葵図」【初公開】

新北斎展葛飾北斎「向日葵図」(部分)紙本1幅 弘化4(1847)年 シンシナティ美術館 通期展示 Cincinnati Art Museum, The Thoms Collection-Given by Mrs. Murat H.Davidson in Honor of her Grandfather,Joseph C. Thoms, 1982.15

どこまでも伸びていきそうな生命力にあふれた大輪のひまわり。穏やかな筆ながら大胆な構図に、最晩年にしてなお活力みなぎる北斎自身を見るよう。アメリカのシンシナティ美術館より来日初公開です。

理由その3 おだやかな北斎にも会えます!
葛飾北斎「鎌倉勝景図巻」より「大佛」【初公開】

新北斎展葛飾北斎「鎌倉勝景図巻」より「大佛」(部分)木版着彩紙本1巻 寛政5~6(1793~94)年 島根県立美術館(永田コレクション)通期展示(場面替えあり)

役者絵を得意とする勝川派の絵師として活動した春朗期の終盤の作。9m近い巻物に、鎌倉から江の島までの道中30か所を、穏やかな作風で描かれてます。俳句のための料紙とみられます。

理由その4 ハンパない量と質で圧倒!
葛飾北斎「津和野藩伝来摺物」全118枚より「楊貴妃、小野小町、蓮華女」【全点は初公開】

新北斎展葛飾北斎「津和野藩伝来摺物」全118枚より「楊貴妃、小野小町、蓮華女」寛政9(1797)年頃 島根県立美術館(永田コレクション)通期展示(4期に分けて全118点を展示)

旧津和野藩主の亀井家が所蔵していた大量の摺物絵(浮世絵版画の一種)のうち、永田コレクションの118枚を全点初公開。秘蔵品だったため傷みが少なく、制作当時の色彩が残る貴重な作品です。

理由その5 最晩年期にしてこの迫力!
葛飾北斎「弘法大師修法図」

新北斎展葛飾北斎「弘法大師修法図」紙本1幅 弘化年間(1844~47年)西新井大師總持寺 通期展示

疫病を鎮めた弘法大師を病魔である鬼が襲うシーンを描いた、縦150㎝、横240㎝の大作。鬼と犬がにらみ合うなかで毅然と祈禱を続ける大師の姿は、達観した北斎最晩年の姿か?

「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」は2019年3月24日まで!

「新・北斎展 HOKUSAI UPDATED」
会場 森アーツセンターギャラリー
東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52F
会期 2019年1月17日(木)~3月24日(日)
※会期中展示替えあり
※「新・北斎展」と東京都美術館での「奇想の系譜展」の会期中、各展を1回ずつ観覧できるセット券あり
公式サイト

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