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2026.06.20

『杉本博司 絶滅写真』が東京国立近代美術館で開催!初期作品から初公開作品まで。概要を紹介

現代美術家・杉本博司氏の大規模個展「杉本博司 絶滅写真」が、2026年6月16日(火)から9月13日(日)まで、東京国立近代美術館で開催されます。

杉本博司氏(1948年生まれ)は、1970年代半ばに発表した<ジオラマ>シリーズでデビューして以来、今日までニューヨークと東京を拠点に活動を重ねてきた現代美術作家。コンセプチュアルな写真作品で早くから国際的な評価を確立し、21世紀に入って以降は建築、舞台芸術の演出など、ジャンルを越えた活動を展開し、現在その動向が世界的に注目される存在として知られています。

「小田原文化財団 江之浦測候所」の設立をはじめ、建築、舞台芸術、書、陶芸、和歌、料理など、その活動は多岐にわたりますが、原点にあるのは銀塩写真です。本展では、1970年代後半の初期作品から近作まで、氏の銀塩写真約60点を紹介。写真作品を中心とする国内美術館での大規模個展としては21年ぶりの開催となります。

絶滅しつつある銀塩写真の技法

今回の回顧展のタイトルにも掲げられた「絶滅」という言葉。写真がデジタルに置き換わった今、銀塩写真の撮影技法はまさに「絶滅が危惧される」ものとも言えます。本展のタイトルは、ひとつの写真技術の終焉と、自身のキャリアの最終章、さらには文明の終焉までを見据えて浮上した主題だといいます。

氏はこう語ります。

「この展覧会は「絶滅写真」としているが、これは銀塩写真の終焉を告げるという意味と、人類文明が絶滅するという意味をも掛けている。」

かつて写真は、そこに写されたものが「存在」したことの証明でもありました。しかし、デジタル画像が自在に加工・生成できる時代において、写真の真実性は大きく揺らいでいるとも言えます。だからこそ、フィルム、印画紙、暗室作業、露光、現像といった物質的なプロセスを経る銀塩写真は、氏にとって単なる古い技法ではなく、現実と写真の関係を問い直すためのメディアなのです。

3章・全13シリーズでたどる杉本博司氏の作品世界

本展は3つの章、全13シリーズで構成されています。第1章「時間・光・記憶」では、1970年代から80年代に着手され、杉本氏の評価を確立した〈ジオラマ〉〈劇場〉〈海景〉を中心に紹介しています。

〈ジオラマ〉は、アメリカ自然史博物館などの展示を大判カメラで撮影したシリーズ。剥製や作り物であるはずの動物たちは、写真に撮られることで、まるで命あるもののように立ち現れます。〈劇場〉では、一本の映画を上映時間のはじめから終わりまで長時間露光で撮影し、物語が消えたあとに白く輝くスクリーンだけを残します。〈海景〉では、水平線を中心に海と空だけが画面を構成し、原始人が見ていた風景を現代人も同じように見ることは可能かという問いが示されます。

本展では、この〈ジオラマ〉のほか、〈海景〉〈スタイアライズド・スカルプチャー〉に初公開となる新作も。なかでも〈ジオラマ〉では、自然史博物館の展示を撮影した作品でありながら、動物と人間、自然と文明、生と死の関係が写し込まれています。

問われる「光と像」「記録と記憶」の関係

第2章「観念の形」では、人間の知性や想像力が生み出したかたちを主題にしたシリーズが並びます。モダニズム建築をあえて焦点をぼかして撮影する〈建築〉、ファッションを人体とそれを包む人工皮膚としてとらえる〈スタイアライズド・スカルプチャー〉など、作品は写真でありながら、建築、身体、記憶、文明をめぐる思考へと広がっていきます。


第3章「絶滅写真」では、終焉を迎えつつある銀塩写真というメディアの始原にさかのぼる作品から、近作〈Opticks〉までを紹介します。写真術の黎明期に生まれた陰画をもとにする〈フォトジェニック・ドローイング〉、ニュートンの分光実験に着想を得た〈Opticks〉などを通して、光と像、記録と記憶の関係が問われます。

さらに所蔵品ギャラリー3階では、東京国立近代美術館が所蔵する杉本作品の全点に加え、制作の秘密を明かす未公開資料「スギモトノート」もサテライト展示されます。完成作品だけでは見えない、杉本氏の制作の精密さに触れる貴重な機会となります。

記者会見後のフォトセッションにて

INFO『杉本博司 絶滅写真』

会期:2026年6月16日(火)〜9月13日(日)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
開館時間:10:00〜17:00(金曜・土曜は10:00〜20:00)
※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(ただし7月20日は開館)、7月21日(火)
観覧料:一般 2,300円、大学生 1,200円、高校生 700円

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和樂web編集部

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