Culture
2020.10.10

「月代」ってなんて読む?どんなもの?歴史や語源が面白い!

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月がとてもきれいな季節になってきました。2020年の十五夜は10月1日でしたが、それ以外の日も、晴れていれば夜空にくっきりと月が見えます。秋の楽しみの1つですね。

さて、そんな「月」にちなんだ、日本文化クイズです。
「月代」、これはなんと読むでしょう? そして、一体どんなものでしょうか?

読みは「さかやき」

答えは「さかやき」。男性の髪型の1つで、髪を額から頭の中央にかけて剃り上げるものです。

平安時代の貴族や武士が冠(かんむり)や烏帽子(えぼし)をかぶる時に、額を半月状に剃って、髪の生え際が見えないようにしたのが始まりといわれます。

やがて、武士が兜(かぶと)をかぶるときに頭が蒸れないようにする目的で、兜の通気口に合わせて頭頂部を剃るようになります。はじめは出陣のときのみだったのですが、戦乱が続くようになると、日常的に月代を剃っておくようになりました。

これが江戸時代には一般庶民の間にも定着し、明治4 (1871) 年の断髪令まで続いたのです。

月代こそが、江戸時代のバラエティーに富んだ髷(まげ)の形を生んだといわれています。

月代の語源は?

月代を「剃る」と書いてきましたが、小学館の『日本大百科全書(ニッポニカ)』や平凡社の『世界大百科事典』などによると、天正年間(1573~92)までは「毛抜(けぬき)」という道具で髪を「抜いて」整えていたのだといいます。
ただ、多くの辞書・事典で「月代=剃る」という表現がされているため、前項では「剃る」で統一しました。

不思議いっぱいな月代、どんな語源を持つ言葉なのでしょう?

絶対これ! という明確な答えは、今のところ特定されていませんが、空気を抜く場所であることから「逆息 (さかいき) 」が転じたとも、「逆明 (さかあき)」という言葉から転じたともいわれます。

また、冠や烏帽子をかぶっていた時代の別の言い方に「つきしろ」「つきびたい」「ひたいつき」といったものが見られます。

半月の形をしていることからついた「月代」の漢字と、「さかいき」「さかあき」などの音が合わさったものなのかもしれませんね。

アイキャッチ画像:歌川広重『京都名所之内 淀川』メトロポリタン美術館より

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人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。