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2021.06.13

漢字クイズ!「遣手」ってなんて読む?江戸の遊郭・吉原で生まれた言葉なんです

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遣手って、ビジネスの場で「あの人は遣手だねー」と、使ったりしますよね。

私は言われたことないですけど!

さて、クイズの答えは……、「やりて」でした!

意味は、腕前のある人、手腕家などをさします。

この遣手には、別の意味もあるのです。吉原である役割をになう、女性のことをさしています。

遣手って?

吉原の妓楼(ぎろう)には、必ず遣手と呼ばれる女性がいました。彼女たちは、楼主に代わって、遊女たちのしつけや勤めぶりを監督する役割でした。多くは元遊女で、年配の女性や年寄りが多いことから、遣手ばばあなどとも呼ばれます。

客と遊女との仲介をするのも、重要な仕事でした。遊びに来た客を品定めして、値段や時間の交渉、食べ物などの手配も遣手が行いました。難しい役割であり、経営に大きく関わることから、楼主から信頼のあつい者が選ばれたようです。

「やりてばばあ」って響きはなんかスゴイけど、重要な役目だったのですね。

ドロドロの修羅場にも遭遇!

遊女も生身の人間なので、時には特定の客に夢中になってしまい、他の客をおろそかにすることもありました。そんな時、遣手は間に入って、男女の仲を裂くという非情なこともしたようです。

吉原版・別れさせ屋?

しかし、反対されるほど燃え上がるのが、恋愛というものです。遊女と恋仲になった男が、こっそりと忍び込んでくることも。そうなると、やはり出てくるのは遣手です。密会の場に現れては、無理矢理に2人を引き離しました。浮世絵に描かれた遣手の表情の恐ろしいこと!

『明鳥雪惣花』 山東京伝 国立国会図書館デジタル
えっ、顔こわっっ!!!

憎まれ役だったのは、淋しい境遇だったから?

口うるさくて、おまけに恋しい人との仲を裂いてしまう遣手。遊女たちにとっては、この上なく憎らしい存在だったことでしょう。ただ遣手の境遇を考えると、仕方がないとも言えます。

身請けされることもなく、いつしか年齢を重ねてしまった遊女は、遣手として生きるしか方法がなかったのです。給料は無給か少額で、客からの祝儀金や遊興費の歩合が収入でした。遊女に情けをかけるような余裕はなかったのでしょう。

歌舞伎には、遣手が登場して、憎々しい演技をする演目があります。彼女たちの境遇を想像すると、より深く楽しめるかもしれません。

きっと自分もお客に恋をしたことがあって、恋する遊女の気持ちもわかるんだろうな。でも、生きるためには憎まれ役になるしかない。

▼吉原の禁断の恋愛に関する記事はこちら!
美女を目の前に、その想い我慢できるの?禁断の「遊郭吉原・職場恋愛」事情

アイキャッチ:国立国会図書館デジタル 東錦絵 歌川豊国
参考文献:世界大百科事典  精選版日本語大辞典

書いた人

幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。一時勘違いして舞台女優を目指すが、挫折。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。

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大学で源氏物語を専攻していた。が、この話をしても「へーそうなんだ」以上の会話が生まれたことはないので、わざわざ誰かに話すことはない。学生時代は茶道や華道、歌舞伎などの日本文化を楽しんでいたものの、子育てに追われる今残ったのは小さな茶箱のみ。旅行によく出かけ、好きな場所は海辺のリゾート地。