Culture
2021.07.17

クイズ!おいし~い「甘酒」季語はいつ?実は冬じゃないんです!お酒好き必読の豆知識も紹介

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甘酒ってお好きですか? 子供の頃、寒くなると酒粕を溶いて甘味をつけたものを甘酒としてよく作ってもらいました。体の中から温まって美味しかったです。初詣で冷えた体に甘酒が振舞われると、紙コップ一杯がどれだけ有難かったか。長じてお酒をたしなむようになったころには、加熱で飛んだアルコール分を日本酒で足して愛飲していました。

寒い日の甘酒って体にじんわりしみるんだよな〜。とても好きです。

そこでクイズです! 甘酒の季語はいつか知っていますか? 意外にも冬ではありません。

えぇ……!冬じゃないの!?

甘酒の季語は?

実は、甘酒は実は夏の季語なんですね。初めてそれを知ったときには、びっくりしました。調べますとそもそもの作り方が違いまして、米麹と柔らかく炊いたご飯を合わせ60℃ぐらいで保温すると発酵して甘酒になるのだそうです。夏の暑さを利用して作られたのですね。別名一夜酒とも。

甘酒の栄養はブドウ糖、必須アミノ酸、ビタミンB群、酵素などを含み飲む点滴ともいわれ、夏の体力の落ちるときに飲むのは理にかなっています。

「甘酒は飲む点滴」はよく聞きますね!熱中症対策とかにもよいのかな?

『東海道五十三次 赤坂』葛飾北斎 シカゴ美術館蔵

甘酒のルーツ

甘酒のルーツとしては、日本書紀に応神天皇に醴(こさけ)と国栖奏を献じたという記載や木花咲耶姫が天舐酒(あまのたむさけ)を醸したという記載があります。今でも各地の神前に供えた甘酒を参拝者に振舞う神社が日本各地にあり、神事と甘酒の密接な関係がうかがわれます。秩父市猪ノ鼻地区の熊野神社には七月に「甘酒祭」があり、「甘酒こぼし」といって樽の甘酒を褌姿の男たちが掛け合います。

だから初詣で甘酒が振る舞われるのかな?

御仏に昼供へけりひと夜酒   蕪村
一夜酒隣の子迄来たりけり   一茶
禅寺の甘酒のどにゆきて酸し  加藤千世子

蜷川親胤(式胤)模『東大寺八幡宮・応神天皇御影(模本)』(東京国立博物館所蔵)
「ColBase」収録(https://jpsearch.go.jp/item/cobas-46527)

甘酒以外のお酒の季語も紹介

では、他のお酒の季節もご紹介しましょう。

『酒を飲む坂田金時(金太郎)』石川豊信 メトロポリタン美術館蔵

白酒、花見酒など

鳥居清長『子宝五節遊 雛遊』 シカゴ美術館蔵

白酒:ひな祭りには欠かせないもの。アルコール度数が約9度もあります。『うれしいひな祭り』の歌で、右大臣が飲んで顔を赤くしたお酒でおなじみ。

お花見にお酒って欠かせないですよね〜

梅酒、ビール、焼酎、泡盛、蝮酒、冷酒、新酒火入れ・煮酒など

『風流鍋島夕すゞみ』寿鶴堂政国 メトロポリタン美術館蔵

焼酎・泡盛:暑気払いに良いといいます。暑い地方のお酒が夏の季語になっていることになんだか納得します。
蝮酒:蝮を焼酎に数年漬け込んだもの。私は飲みたくないし、見たくもないです。
冷酒:これは一年中飲んでいますが、本来は夏の季語。純米吟醸は冷で飲みたいですよね。
新酒火入れ・煮酒:冬に仕込んだ日本酒を五月ごろに60度ぐらいの加熱処理をします。発酵を止め、雑菌を抑えるための作業。

暑い日はキリッと冷えた冷酒がうまいんじゃ……

新酒・今年酒・新走り、どぶろく・濁酒、菊酒、月見酒、ぬくめ酒、猿酒、葡萄酒醸すなど

『名所江戸百景 月の岬』歌川広重 メトロポリタン美術館蔵

新酒:新米から作られる日本酒。今は寒仕込みが主流ですが、新米の収穫を待ちかねて作られるお酒です。新走りといい、微発泡の味わいは荒走りとも感じられます。
菊酒:九月九日、重陽の節句に供されるお酒。菊の花弁を浸しています。そういえば九月の花札の絵柄も菊と盃ですね。
猿酒:さるざけ、ましらざけ。木の股や洞に溜まった雨水が発酵したもの。飲みたくないです。飲めないと思います。

お店で「ひやおろしありますよ〜」って言われると秋が来たな〜と感じます

熱燗、雪見酒、おでん酒、鰭酒、玉子酒、生姜酒、ボジョレーヌーボーなど

『向島雪美之図』歌川国貞 メトロポリタン美術館蔵

冬のお酒の季語は体が温まるものばかり、風邪気味のときに玉子酒は特効薬ですね。

ボジョレヌーボー:そろそろ新季語として定着しつつあると思います。向井去来が『去来抄』で「先師(=芭蕉)、『季節の一つも探り出(いだ)したらんは、後世によき賜(たまもの)』となり。」と芭蕉の言葉を伝えています。

ボジョレーヌーボーも季語になるんだ!

カフカ去れ一茶は来たれおでん酒   加藤楸邨

新年

年酒、屠蘇

『屠蘇機嫌三人生酔』一勇斎国芳 国立国会図書館デジタルコレクション蔵

屠蘇:屠蘇散を清酒またはみりんなどに浸して飲むもの。邪気を屠り心身を蘇らせるという謂れがあります。

割烹着丸めて屠蘇を受けにけり    白岩てい子

お酒飲みとしては、季節に関係なくなんでもいただきたいところですが、こんな季語トリビアを知って肴にするのもまた一興ではないでしょうか。

参考文献
『カラー図版日本大歳時記 夏』講談社
『去来抄・三冊子・旅寝論』岩波文庫
秩父観光協会ホームページ

書いた人

千葉県市川生まれ、縁あって京都の旅館に嫁ぎました。大学時代から俳句に親しみ、この10年は連句も楽しんでいます。熱しやすく冷めやすい性格ですが、俳句と連句は長続きしています。俳誌「春塘」編集長。チーズを偏愛し、チーズプロフェッショナルの資格あり。 好きなもの:あんこ、チーズ 嫌いなもの:ナメクジ(天敵)

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1994年生まれのさそり座の女。地元・北千住を愛す。大学在学中、和樂編集部で3年間アルバイトをする。就活に挫折していたところ、編集長に捕獲される。好きになるものの偏りが激しいことが悩み。最近心に響いたコトバは「お酒は嗜好品ではなく必需品」。アルコールは正義だと思っている