画像クイズ! この赤紫色のきれいな花は何でしょう?
これからの季節に咲く花で、有名な東北のお菓子にもこの花の名前が付けられています。
正解は……萩!
正解は、「萩(はぎ)」。マメ科ハギ属の総称で秋の七草の1つに数えられ、秋に紫や白の花をつけます。
万葉集の時代にはすでに栽培鑑賞されていて、万葉集の植物を詠んだ歌の中で最多となっています。男性の髪飾りとしても使われたのだとか。
着物の色の取り合わせの名前にもなっていて、表は蘇芳(すおう)、裏は萌葱(もえぎ)または青のものを「萩襲(はぎがさね)」と呼びます(夏と秋で異なる色目、縦糸と横糸の組み合わせ色とするものもあり)。
「萩原」「萩野」などの名字にもなっている、昔から日本人に愛されてきた植物です。
語源はどれ?
古くから愛されてきた萩。しかしその語源説は様々で、『日本国語大辞典』によると、以下の通り。
(1)ハエキ(生芽)の意〔大言海〕。
(2)ハナコシの反〔名語記〕。
(3)ハヘクキ(延茎)の義〔日本語原学=林甕臣〕。延木の義〔国語の語根とその分類=大島正健〕。
(4)養蚕の時用いる雑木小枝を束ねたものをいうハギからで、多枝細条であるところから〔遊相医話〕。
(5)ハヤクキバム(早黄)の義〔和句解・日本釈名・滑稽雑談所引和訓義解〕。
(6)ハキ(葉黄)の義〔言元梯〕。
(7)ハリキ(刺生)の義。キ(生)は草の意〔名言通〕。
(8)ハキ(葉木)の義〔紫門和語類集〕。
(9)秋の転〔和語私臆鈔〕。
なんと、9つも! この他、枝がほうきに使われたことから「掃き(はき)」に由来する、という説も見られました。
別名も多く、鹿鳴草(しかなくさ)・鹿の花妻(しかのはなづま)・風聞草(かぜききぐさ)・月見草・庭見草などが知られています。
萩か荻か?
ちなみに、「萩」と混同しやすいのが「荻(おぎ)」。
荻も植物で、ススキに似た花を秋に咲かせます。
非常に似た漢字で、違いは「のぎへん」か「けものへん」か、というだけ。
どうやって覚えたら、というのは誰しも考えるようで、様々な覚え方が工夫されています。
私もいまだに分からなくなってしまうのですが……けものへんって、ちょっとススキっぽい「おぎ」の花穂に似ていませんか? そうでもない、か。
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参考文献:
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・『新選漢和辞典 Web版』小学館
・『日本国語大辞典』小学館
・『小学館 全文全訳古語辞典』小学館
・『国史大辞典』吉川弘文館