北斎AtoZ
F=【ファッション】印象派・ジャポニスム以後もフランスは北斎ラブ♡
北斎の浮世絵の、アートとしての素晴しさを世界で最初に認めてくれたのは、19世紀のフランスの芸術家たちでした。
フランスで北斎の作品が認知されるきっかけとして知られるのが、版画家のフェリックス・ブラックモンが知人の工房を訪れた際、日本から送られてきた陶磁器が入った箱の緩衝材として用いられていたのが『北斎漫画』だったという話。
その絵に衝撃を受けたブラックモンがパリの芸術家仲間にも見せてまわったことで、存在が知られるようになったとされます。
北斎のインパクトはディナーセットにも!
当時のフランスの芸術家にとって浮世絵の美術様式や表現は非常に目新しく、『北斎漫画』や『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』をはじめ、歌川広重の風景画、喜多川歌麿の美人画などが大きな刺激を与えたといいます。
そして芸術家たちは、浮世絵を参考にして模作やコピーを行い、その表現がやがてジャポニスムやアール・ヌーヴォーといった芸術運動へ発展していきました。
印象派の巨匠・モネは浮世絵を積極的に取り入れた
近代を迎えて混沌としていたフランスの芸術界において、新鮮な美意識をもたらした北斎は、現代でいうところのトレンドリーダー。
以後も注目され続け、リスペクトされています。
それを再認識させてくれたのが、かの有名なハイブランド、クリスチャン・ディオール。
2007年春夏オートクチュール・コレクションで発表された、当時のアーティスティックデレクター、ジョン・ガリアーノが発表したコートは、北斎へのオマージュとして『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』があしらわれていたのです。
裾に大波の絵をあしらった大胆なデザインは、ゴージャスなシルエットの白いコートに鮮烈なインパクトを与え、美しさとエキゾチシズムを両立。
北斎が作画に傾けた情熱や気迫まで、よみがえらせてくれたかのようでした。
(画像は〝ディオール 北斎〟で検索してみてください)
西欧の芸術家を魅了し続ける〝THE GREAT WAVE〟
また、フランスのみならず、ヨーロッパ各地では現在まで、北斎の展覧会がたびたび開催され、行列ができるほどの人気を集めています。その際、ポスターに用いられるのはやはり『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』なのです。
ディオールのコートのみならず、大波への敬意を表した芸術作品やファッションアイテムは今も後を絶たず、北斎作品の人気は衰えることがありません。