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車を走らせ、東へ西へ!美術館をめぐる旅 第5回 軽井沢千住博美術館 後編

19世紀の終わりごろ、西洋人宣教師によって見いだされ、宿場町から別荘地へと変貌を遂げた軽井沢。作家や画家などの創作意欲を搔き立て、来日時にたびたび訪れる海外アーティストも少なくありません。この避暑地を、メルセデス・ベンツの2シーターで快適ドライブ! 目ざすは国際的日本画家、千住博氏の美術館。自然とともにあるという美術館として驚きの建築は、ロードスターのような心地よい空間でした。
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太陽の光が燦々と降り注ぐ、庭園のような美術館[後半]

文・野地秩嘉

床が傾斜しているのはなぜだ?

入り口を入ってすぐに気づくのは床が傾斜していることだ。これまた普通の考えの建築家ならば盛り土をして、床を平らにするだろう。だって、それが普通の考えだから。しかし、ここでは外の庭に起伏があるように、館内の床面もなだらかに傾斜している。庭を散歩している気分で作品を眺めたり、また外の風景に目をやったりすることができる。さらに言えば、自然と融合するための工夫がもうひとつある。展示室には4つのガラスの円筒(ひとつはひょうたん型)があり、外の自然と通じているのだ。円筒のなかには庭がしつらえてあり、蝶が空間を舞い、時には小鳥が迷い込んでくる。

事務長の井出氏が「貂(てん)がいたんですよ」と言った。「うちの館は厳寒の1月、2月は閉館です。ある日のことでした。ふと見たら、円筒のなかに一匹の貂(てん)がいたのです。屋根を伝って、なかに入ってきたんですけれど、そのまま出られなくなったらしくて…。ええ、警察を呼んで捕獲してもらい野山に返しました」わたしは貂や狸と一緒に日本画を見たいと瞬間、思った。
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ここには1978年からの千住作品があり、展示されているのはそのうちの50点ほどである。年に1、2度、展示替えがあるが、代表作の「ウォーターフォール」、絵本『星のふる夜に』の原画はつねに展観してある。

「ウォーターフォール」にはわたしなりの見方がある。まず作品の持つ空気を浴びるために絵のすぐ前に立つ。それから、少し距離を取り、全体を眺められる位置まで後ろに下がる。全体を眺めることのできる位置に立ったら、視線は画面の下に向ける。画面の中央に描かれている落水部分ではなく、落ちた水が滝つぼから広がっていく部分を見る。画面の下部を見つめていると、落ちた水はひたひたとわたしの方へ迫ってくる。作者は滝つぼに落ちた水が広がっていく様子を描くことで、平面を立体空間に変えている。千住氏の技量とはまさにここにある。それが「ウォーターフォール」の画面下部の描写だ。
_17A4227水の動きを見事に再現した、有田焼の深川製磁製「ウォーターフォール」の陶板30,000円。

ただ、いくつかある同シリーズには滝つぼを描いていないものもある。その場合は空中を落ちていく水が飛散し、空気と交じり合うところを見ればいい。ここでもまた作者は水の飛散する様子を用いて平面を立体空間に変えている。千住博の絵は静かな雰囲気を持つと評されることが多いが、滝つぼに視線を合わせていると、落ちてきた水が水面に衝突した音が聞こえてくる。確かに、音は滝つぼから生まれている。

The Fall Room

館内で唯一の閉鎖空間がThe Fall Roomだ。展示されている作品は1995年、ヴェネチア・ビエンナーレに出品し、東洋人としては初めて名誉賞を取った作品である。展示してあった間のことだ。ある人は「これは神の降臨を描いたのか?」と作者に質問してきた。別のある人は「これは広島の原爆なのか?」と問うてきた。対して、千住氏は「いえ、私はただ滝を描いただけです」と答えている。絵が精神的な気配を持ち、かつイメージが強烈だからゆえの感想だけれど、作者本人は苦笑するしかなかっただろう。
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The Fall Roomでは絵を背景に、7分間の「動画」作品「春夏」を上映している。「動画」とカッコ付きにしたのは一般の動画という表現はいわゆるアニメーションを連想してしまう。最初から最後まで絵が動いているのがアニメーションだ。ところがここにある「動画」は絵画「The Fall」に映像が投影される。静止していた落水は流れ出し、水が空気と交じり合っていく。そのうち滝は桜に変わり、最後にはまた滝の静止画に戻っていく。バックに流れる曲を作ったのは千住明、演奏は千住真理子。ひとりの作品ではなく、兄弟と妹の合作である。千住博美術館はこのようにさまざまなチャレンジングな仕掛けがあるが、決して、実験的でも前衛的でもない。自然のなかに芸術があるという姿は、近代的な美術館ができる前の展観方法だ。

江戸時代より以前、日本画はやわらかな自然の光で眺めるものだった。あるいは野点では戸外に屏風が持ち出されたこともあったろう。軽井沢の自然のなかで岩絵の具を使った日本画を見ることは、絵を自然のなかに返すことでもある。

ミュージアムショップへも…

最後に、千住博美術館のミュージアムショップは他の美術館よりもアイデアにあふれた商品が並んでいる。オリジナル商品以外にも、千住氏本人が選んだものがあるのだという。そういえば彼は人にプレゼントするのが大好きだ。わた自身、いくつかいただいたものがあるけれど、絵葉書、カレンダーといったいわゆるミュージアムショップの定番商品ではなかった。可愛いステーショナリー、ぶっとんだアクセサリー、そして便利なキッチン用品…。ミュージアムショップには作者の毅然とした風貌からは想像もできない、ゆるくて女性好みのキュートな商品が並んでいる。
_17A4221ミュージアムショップでの人気は、森に佇む鹿を描いた作品「光」を用いたグッズ。写真はアートタイル5,490円とボールペン2,000円。

美術館をめぐる旅〜軽井沢編ガイド〜

ハードトップをオープンにして、高原リゾートでのドライブを思いきり楽しんだのは、メルセデス・ベンツのシーターロードスター。林の径を抜けたり浅間山の麓を走ったりと、夏の軽井沢を満喫できるのはゆったり快適ドライブが心地よいオープンカーならではです。 夏の軽井沢ドライブ&アートな旅の、上質モデルプランをご紹介します!

軽井沢千住博美術館

目的の美術館はココ!
世界で活躍する日本画家と建築家が軽井沢の自然とコラボした美術館

ニューヨークを拠点に精力的に作家活動を続ける、日本画家・千住博氏の個人美術館。“土地の自然とともにある美術館”をコンセプトに、建物、植物、作品、そして空や太陽光、傾斜した床まで計算されていて、存在自体が美術品のよう。
スクリーンショット 2017-06-22 13.30.081995年、ヴェネツィア・ビエンナーレで名誉賞を受賞した大作「ザ・フォール」は現在プロジェクションマッピングを使用した“動く絵画”として特別公開中(2017年12月25日まで)。写真右の作品は「デイフォール/ナイトフォール」。下絵や画材などの展示もあり。

住所/長野県北佐久郡軽井沢町長倉815
開館時間/9時半〜17時(入館は16時半まで)
休館日/火曜日(祝日の場合は開館、7月〜9月は無休、12月26日〜2月末日は冬期休館)
入館料/一般1,200円

上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」より約15分 駐車場60台

堀辰雄文学記念館

美術館のあとにはココにもぜひ!
軽井沢を愛し、軽井沢を舞台に執筆した作家の息吹を感じる

室生犀星(むろうさいせい)や芥川龍之介に師事し、軽井沢に足繁く通った堀辰雄(ほりたつお)。とりわけ宿場町の面影と避暑地の静けさを併せもつ追分を好み、代表作『風立ちぬ』などはこの地で執筆。晩年、療養を兼ねて定住した追分の自邸を、直筆原稿や愛用品などを公開する記念館に。
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住所/長野県北佐久郡軽井沢町追分662
開館時間/9時〜17時(入館は16時30分まで)
休館日/水曜日(祝日の場合は開館、年末年始休館、7月15日〜10月31日は無休)
入館料/一般400円

上信越自動車道「碓氷軽井沢IC」より約30分 駐車場15台

メルセデス AMG
Mercedes-AMG SLC 43

軽井沢をドライブしたのはこのクルマ!
“フルタイムオープン感覚”の気持ちよさ!

2シーターの軽快な走りに、緊急ブレーキや車間距離キープなどの安全機能、クローズ時でもオープン感覚で走行できるルーフモードなど、最新技術で人の感覚をも心地よくするSLCは、夏の軽井沢を走るのにぴったり。車体はもちろん、ステアリングまわりのデザインや深紅のシートベルトなど、女性がグッとくるセンスも秀逸。

【メルセデス AMG SLC 43】
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左/右ハンドル 9速A/T 総排気量2,996cc 全長4,140mm 全幅1,820mm 全高1,305mm 車両本体価格9,700,000円(税込)

問い合わせ先/ヤナセ www.yanase.co.jp/

【ヤナセ/YANASE】の公式Facebookページオープンしました!
 “夢”と“感動”あふれる『クルマのある人生』を創る情報をお届けします。

–撮影/永田忠彦 構成/小竹智子-

美術館をめぐる旅 軽井沢千住博美術館 前編はこちらから!

第1回 土門拳記念館はこちらから!
第2回 石川県立美術館はこちらから!
第3回 岡田美術館はこちらから!
第4回 徳川美術館はこちらから!

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