日本人の美学が息づく、美しく小さい〝ポチ袋〟
「ポチ」とは、もともと「小さい」「ほんの少し」という意味の上方のことば。
「ぼちぼち」という言葉に由来しているという説もあります。
明治時代から、旦那衆がお茶屋遊びをする際、ひいきの芸妓にご祝儀を渡すのに使われ始め、木版のポチ袋の美しさに魅せられた絵師たちが、さらにさまざまな図版でつくるようになったとか。
その後、一般の人にも広がり、爆発的に需要が増えたのは昭和30~40年代の高度成長期。
現金でお年玉を渡す人が増え、日本人の生活にポチ袋が根づきました。
室町時代に将軍家が礼法を制定して以来、現代でも揺るぎなく受け継がれているのは「人にものをあげるときは、必ず紙に包んで渡すべき」という和の心。
お金をさりげなく渡せるポチ袋が長らく使われ続けているのは、その心遣いの証拠でもあるのです。

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おさえておきたい! ポチ袋の基本作法
心付けやお車代、おこづかいやお年玉など、〝ほんの少しのお金〟を入れるのが主な目的。
正式な祝儀袋とは異なり、厳密なルールはありませんが、素敵に使いこなすためのポイントをおさらいしておきましょう。
ルール1・お札は顔を内側、「右前」の3つ折りに
紙幣の顔が印刷されている面を内側にして、左→右の順で3つ折りに。ポチ袋を表に向け、折った紙幣を上下逆さまにならないように入れます。
ルール2・封はしない
お車代などを相手がさっと取り出して使えるよう、ポチ袋はのり付けなどはせず、封をしないのが基本。お札は新券を用意しておいて。
ルール3・入れる金額は1万円までが目安
小さい袋にお札を無理やり何枚も入れるのは無粋。お札は最大3枚までにしたいところ。ただし、3万円ともなると、祝儀袋に入れたほうがスマート。
ルール4・表書きはあってもなくてもよし
「お車料」「心ばかり」といった名目は、あったほうがわかりやすいですが、なくても失礼にはあたりません。美しいデザインを優先して生かしたいですね。
ルール5・目上の方には使わない
略式の祝儀袋であるポチ袋は、原則として目上の人から目下の人に対して渡すもの。目上の方には、お札が折らずに入るサイズの白封筒などが無難。


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ポチ袋はさまざまなシーンで気軽に使えます!
アレンジ1・小さな贈り物の包装として
〝ほんの気持ち〟を贈る本来の意味に基づいて、旅先で買ったコスメや小さな雑貨などを入れて贈ると粋! ひと言メッセージを添えても。
アレンジ2・「のし」を書いて心づけに
「のし」は慶事のほか、旅館での心づけなどを〝差し上げる〟ときにも使える装飾。もともとのしがないポチ袋なら、手で書き添えてもよいでしょう。ポイントは、ポチ袋の右肩に赤字で「のし」と書くこと。
アレンジ3・「返却」や「とっさのとき」なら目上の方にも
立て替えていただいたお金を急きょ返すときなどは、裸のお札を返すのではなくポチ袋に入れて。フルネームをポチ袋に記して礼儀正しく。
アレンジ4・〝食後セット〟を入れて
ポチ袋は自分のための小物入としても重宝します。外出先にも持ち歩く常備薬など、ポーチの中でさらに細かく分けておきたいものを入れて。

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さらにこんな使い方もあり! です
・スポーツジムやスパなどで外す、アクセサリーのケースとして
・メッセージカードを入れるミニ封筒として
・お香を入れて、におい袋に
・切手やばんそうこう、ソーイングセットを持ち歩くケースとして
・お守りカバーとして
小さくてかさばらず、何よりも美しいデザインが豊富なポチ袋は、お金を入れて渡すだけではもったいない!
小物入れとしてはもちろん、ミニ便箋やミニカードを入れる封筒がわりにするのも愛らしいですね。
お気に入りのお香をバッグやたんすに忍ばせる、オリジナルのにおい袋にしても素敵です。
小さいプレゼントをポチ袋に入れてリボンをかけると、ポチ袋自体も贈り物に。
季節の風物詩や伝統柄、遊び心のある意匠を余すことなく楽しみましょう。


※本記事は雑誌『和樂(2015年8・9月号)』の転載です。

