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「かみ添」の唐紙
和紙に雲母摺を施したみずみずしい感性の唐紙
唐紙(からかみ)とは、文様を彫った版木で摺(す)った型染(かたぞめ)の和紙。古くから襖(ふすま)などに用いられ、その文様の美しさ、面白さは色褪せることはなく、今でも多くの人々を魅了しています。
そんな唐紙に新風を吹き込んだのが「かみ添」のオーナーであり職人の嘉戸 浩(かど こう)さんです。
京都とアメリカでデザインを学び、唐紙の老舗で技術を身につけた嘉戸さんは、あるとき古い町家(まちや)に出合い、そこでオリジナルの唐紙をつくろうと決意して独立。それが現在の場所で、1階を店舗、2階を工房とした「かみ添」を立ち上げてから15年目を迎えます。
伝統に安住しない潔さによって美しく進化した和の文具
さまざまな色で文様を表した従来の唐紙に対して、嘉戸さんの作品は一見無地のようですが、光の当たり方によって文様が浮き上がります。しかも、キラキラ輝いていて、思わず目を奪われてしまいそうなほど。
その秘密は、雲母摺(きらずり)という手法にありました。布海苔(ふのり)を混ぜた無色の胡粉(ごふん)と雲母の顔料を用い、木枠にガーゼを張った篩(ふるい)で版木に乗せ、和紙に摺ってできているのです。
しかも、版木のほとんどは自らデザインして彫ってもらったもの。だからこそ、嘉戸さんの唐紙には伝統的な様式から一歩進んだ、モダンなイメージに溢れています。繊細でさりげないのに、暮らしを新鮮に変えてくれる嘉戸さんの唐紙は、京都の手仕事の新旧の粋(すい)と言っても過言ではありません。
「かみ添」の唐紙はすべて手作業でつくられています
嘉戸さんの名品1・光を反射してさり気なく輝く文様にウットリ
嘉戸さんの名品2・坂本龍一の手書き譜面を唐紙にしたポストカード
嘉戸さんの名品3・淡い色合いなのにドラマチックな印象を与える
「かみ添」店舗情報
読み方:かみそえ
住所:京都市北区紫野東藤ノ森町11-1
電話:075-432-8555
営業時間:12時~18時
休み:月曜(不定休あり)
公式サイト:https://kamisoe.com/
※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込です。掲載商品は、売り切れや販売期間の終了の場合があります。価格や営業時間も変更される可能性がありますので、お出かけの前に公式サイトなどでご確認ください。