和樂Webでは、北斎の「瀧」に注目! ほとばしる瀧の飛沫をどう描いたか。そこには、ヨーロッパが驚いた北斎の卓越したアイディアが、溢れていました。
北斎の「瀧」は、世界の巨匠を先取り
葛飾北斎「諸国瀧廻り 木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」天保4(1833)年ごろ 大判錦絵 すみだ北斎美術館
北斎の数多ある名作の中でも、1枚の絵にちりばめられたアイディアの豊かさで群を抜くのが瀧の絵。各地の瀧を描いた揃物「諸国瀧廻り」で北斎は、落下する水や飛び散る水など、多彩な表情を見せる水を、あの手この手で描きつくしました。今回研究した「木曽路ノ奥阿弥陀ケ瀧」にも、世界の巨匠を先取りするようなびっくりアイディアがいっぱい。「自分にとっても見る人にとっても、より面白い表現を!」と奮闘する北斎の姿が目に浮かびます。
ジョルジュ・ブラックのあの技法も!
ジョルジュ・ブラック「鳥」©Bridgeman Images/PPS通信社
水が滝口から流れ落ちる瞬間、つまり形の変化が最も激しく面白い部分を、真っ白な面で表した北斎。これはキュビスムの画家ブラックが用いた「白抜き」と同じ手法。印象に残ったものを白く描くことで、人の眼を強く引きつけます。
これぞ、白抜きマジック!
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