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Art
2019.08.27

浮世絵版画の作り方を解説!あの北斎の名作の原画が一枚も残ってない理由って?

この記事を書いた人

北斎のGreat Waveは世界中に存在する

皆さんは、世界に誇る日本の名画、〝Great Wave〟こと、葛飾北斎(かつしかほくさい、1760-1849)の「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」がどこにあるかご存知でしょうか? たとえば、レオナルド・ダヴィンチの「モナ・リザ」は世界に一点、フランスのルーブル美術館にしかありません。けれど、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」は、イギリスの大英博物館にも、アメリカのメトロポリタン美術館にも、日本の東京国立博物館にもあります。しかも大英博物館は「神奈川沖浪裏」を3枚も所蔵しています。

私たちがよく知っている浮世絵の多くは、江戸時代に何百枚、ものによっては何千枚と摺(す)られた木版画なのです。北斎の「神奈川沖浪裏」は、おそらく相当な部数が摺られました。

HOKUSAI Great Wave reproducted by Adachi Woodcut Prints
画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団

上のGIFアニメの通り、「神奈川沖浪裏」は、何色もの版を摺り重ねて完成します。

では、これを葛飾北斎が一人で一生懸命摺っていたのかというと、そうではありません。江戸時代、浮世絵版画の制作は、絵を描く絵師、版木を彫る彫師(ほりし)、和紙に摺る摺師(すりし)という風に、各分野のプロフェッショナルたちが分業していました。「神奈川沖浪裏」は、北斎が描いた原画(版下絵)を当時の彫師・摺師が木版画にしたのです。

今回は、一枚の浮世絵が完成するまでを小噺風にご紹介したいと思います。登場人物は以下の4名。実際には、もっと多くの人がかかわって出来上がっていたと思われますし、時代や場所によって、いろんなケースがあったと思いますが、ここでは出版までの大まかな流れをご紹介できればと思います。

■和樂web編集長セバスチャン高木が浮世絵について解説した音声はこちら

【登場人物】※すべて架空の人物です。
・版元(高木屋 史郎左衛門)……浮世絵を出版する店。今で言うところの出版社。商品開発のプロデューサーであり、アートディレクションの能力も求められる。夏の新商品を企画中。
・絵師(東洲斎和樂)……浮世絵の原画を描く人。今で言うところのイラストレーター。ただし、プロダクトデザインへの理解力も求められる。高木屋の新商品の原画を描く。
・彫師(彫ゆう)……浮世絵を印刷する人。いわゆる「製版」をする人。
・摺師(とま蔵)……浮世絵を印刷する人。いわゆる「刷版」をする人。

浮世絵の分業制

それでは、浮世絵メイキングストーリーのはじまりはじまり〜。

浮世絵師が描くのはモノクロの原画のみ!

step1

2019年7月の末、夏の新商品の開発に勤しむ版元・高木屋ののれんをくぐったのは、今をときめく浮世絵師、東洲斎和樂。

高木屋さん、こんにちは! ご依頼の浮世絵、描いてきましたよ!

お、和樂、待ってたよ。どれどれ見せておくれよ。

じゃじゃーん! どうです? 夏ってことで、金魚のシャボン玉売り〜!

版下絵(未完)

おおおお! 金魚のシャボン玉売り! ……ってこれ、歌川国芳の「金魚づくし」のパクリじゃん!!!!!

え!? このあいだ、ラフスケッチ見せてOKって話になったじゃないですか!? そもそも、著作権が切れてる浮世絵でネタ探してこいって言ったの、高木屋さんですよ!

*** 著作権の保護期間は作者の没後70年間。江戸時代の浮世絵師・歌川国芳(うたがわくによし、1798-1861)が描いた作品の著作権は切れています。(ただし、美術館などが所蔵する浮世絵作品の画像利用については、所有権の問題が絡んできますので、注意が必要です。詳しくは各所蔵先へ。)

あれ、そうだっけ? ま、いっか。パクリとは言え、まあまあの出来じゃないか。さて、シリーズタイトルはどうしようか。

んー、「今様金魚百景」とか、どうです? 化け猫が出てくる怪談話とか、子守の娘がとんびに油揚げをさらわれちゃうのとか、金魚の図柄、色々考えてるんですよ!

でも「百景」って言って、途中で打ち切りになってもカッコ悪いしなぁ……。バンバン出して、在庫抱えても困るし。

(意外と消極的……。)

*** 浮世絵版画の多くは、シリーズ(揃い物)として刊行されました。葛飾北斎の「冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」や歌川広重の「名所江戸百景(めいしょえどひゃっけい)」などは人気だったため、「三十六景」「百景」と言いながら最終的にそれ以上の数の作品が出版されました。また逆に、人気のないシリーズは途中で打ち切りになることもありました。

よし、ここはあんまりシリーズっぽい感じにせず、実用重視で行こう! こんなんでどうだ?「残暑お見舞い申上げます」! そのまま切手貼って送れるぞ!

定形外郵便、140円で送れますね!(※2019年8月現在)

*** 私たちが日常使用している用紙のサイズに「A4」や「B5」といった規格があるように、浮世絵版画のサイズにも一定の規格があります。一番オーソドックスなのは、大奉書紙(1尺3寸×1尺8寸)を半裁した「大判」と呼ばれるサイズ。江戸時代に制作された歌川国芳の「金魚づくし」のシリーズの各図は、「大判」をさらに半裁した「中判」と呼ばれるサイズで制作されました。ほぼB5判になります。(角4封筒にも入ります。)

形になってきたじゃないか! よし、そしたら、高木屋のハンコを押して、と。

版下絵

早速、彫師のゆうさんに、版木を彫ってもらいましょう!

ちょっと待て、ちょっと待て。その前に、出版の許可をとらないとならないんだ。

え、浮世絵出すのに、許可がないといけないんですか?

お前、浮世絵師のくせに知らないの? 寛政2(1790)年から、検閲通さないとならなくなったんだよ。面倒くさい時代になったもんだ。

*** 出版の検閲の制度は、江戸時代を通じて変化していきました。そのため、江戸時代後期の浮世絵版画は、作品に押された検閲印から、作品の制作年を特定することができるのです。

まあ、政治批判の要素もエロ要素もないから、すぐ許可下りると思うけれど。許可印もらったら、彫ゆうさんところに回しておくよ。校合摺(きょうごうずり)が出来上がったら知らせるから、都合の良いときにまた来てくれよ。

はい、了解です。それではまた後日。

世界の名作も、原画は消えてしまう宿命

step2

かくして和樂が描いた版下絵(はんしたえ)は、地本問屋行事の検閲を受け、無事に出版許可を得ることができました。改印(あらためいん)の押された版下絵を持って、史郎左衛門は、彫師の彫ゆうを訪ねます。

許可が下りたのはいいんだが、この改印と日付入れるの、なんとかならないもんかなぁ。今年しか使えない残暑見舞いになってしまった……なんとしても売りさばかなければ。おーい、ゆうさん、いるかい?

版下絵(改印後)

あ、高木屋さん、こんにちは。お暑い中、ようこそ。いまTea Time Machineで水出し煎茶を淹れますので、どうぞ召し上がっていってください。

や、気遣いは不要だよ。大体それ、落ちるまでに30分近くかかるじゃないか。今日は新作の浮世絵の版下絵を渡しに来ただけなんだ。悪いが季節モノなんで、急いで彫っちゃくれないかい。

ああ、先日おっしゃっていた和樂さんの新作ですね。金魚のシャボン玉売りですか。これなら、そんなに時間かけずにできそうです。いまちょうど、若いのの手も空いたんで。

*** 浮世絵版画の制作は、絵師・彫師・摺師の分業制ですが、さらに彫師・摺師の中でも分業制がしかれていました。たとえば美人画の版木の制作において、もっとも重要かつ技術を要する頭部は、「頭彫(かしらぼり)」と呼ばれる熟練の彫師が彫り、残りの部分は弟子が彫るなど、一枚の板の制作にも複数の職人がかかわることがありました。

そりゃ助かるね。悪いが、これから両国でプロレス観戦なんで、お茶は今度いただくよ。それじゃよろしく頼むよ。

(あいかわらず熱い……)校合摺(きょうごうずり)は、お届けします。

*** 版下絵を預かった彫師は、山桜の板に、裏返した版下絵を糊で貼り付けます。そして裏側から透けて見える線を彫っていきます。そうなんです。浮世絵師が描いた版下絵は、ここで板と一緒に彫られてしまうんです。世界の名画と呼ばれる北斎の「神奈川沖浪裏」も、版画制作時点で、原画は木屑とともに消えてしまっているのです。版下絵を貼り付けて最初に彫る版木を「主版(おもはん)」あるいは「墨板(すみいた)」と呼びます。多色刷りの木版画では複数枚の板を使用しますが、この「主版」はもっとも重要な板になります。

彫師の手
山桜の板を彫る彫師。 画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団

*** 主版が出来上がると、彫師が、その版木を和紙に数枚摺ります。これでようやく、校合摺(きょうごうずり=絵師が描いた版下絵のコピー)ができました。ここから、この校合摺にカラーの指定をしていきます。この作業を「色さし」(あるいは「色分け」)と言います。

校合摺
校合摺は、版下絵のコピー。江戸時代は、コピー1枚とるのに、これだけ手間がかかります!

もはや知能パズル!コストを抑えて最大限の効果を狙え

step3

彫ゆうから校合摺が届いたとの報を受け、早速、絵師の和樂が高木屋にやってきました。

高木屋さん、こんにちは! 校合摺ができたって? っかぁー、やっぱ彫ゆうさんの彫りは良いねえ。俺が描いた版下よりも線がキリッとしたよ。じゃ、早速、色さしさせてもらうよ。

*** 絵師は、色の部分を摺るのに必要な版木の指示を、校合摺に朱墨で描きこんでいきます。

実は今回、予算がギリギリだから、あんまり色数多くしたくないんだけど……。

はぁ、世知辛いねぇ……まあ、どこの版元もみんないま苦しいらしいからね。俺も最近、ほとんど電子書籍で読んでるし。大丈夫、絵が単純だから、そんなに色数はかかんないですよ。水色と、草色と、黄色と……。

色分け
左から、背景のつぶし(ベタ面)の指定、タイトルの周囲の枠の色の指定、金魚の持っている箱やおたまじゃくしの体の色の指定。どの部分が何色になるか想像してみてください。

その金魚は、何色にするつもり?

え、金魚だから赤ですけど。

んー……金魚だから赤ですって、当たり前過ぎない? ロックじゃない……。もっとクレイジーな金魚でないと、人の心は掴めないんじゃないだろうか。

残暑見舞いに、クレイジー必要なんですか?

馬鹿馬鹿しいことを真剣にやるから、人は熱くなれるんだよ、和樂。

(残暑見舞いなのに人を熱くするのもどうかと思うよ。)んー、じゃあ、赤は赤でも、ドット柄の金魚とかどうです? なんか最近、流行ってるみたいじゃないですか、現代アートで、水玉。

おお、いいね。赤い水玉、流行ってるもんね。浮世絵の浮世は「当世風」の意味だから、今の流行を反映しないとね。

赤い水玉だけだとあまりにもまんまなんで、赤と薄紅の2色の水玉模様はどうです? あ、これ水着みたいで絶対にKawaii!

色分け
左が、薄紅の部分の指定、右が、赤の部分の指定。先に紹介した3枚と合わせて、フルカラーの完成図を想像できますか?

おおーーーっ! カワイイ! ロック! よし、それ採用! はっ、しまった、釣られて金魚に2色も使うことを許可してしまった。その分、コストがぁ……。

5色使うくらい許してくださいよ……。売れれば元とれますから。

*** 多色刷りの木版画は、使用する色の種類が増えれば、その分、版木をつくらなければなりませんし、摺の工程が増えてしまい、制作のコストがかかってしまいます。江戸時代の浮世絵版画は、出版競争が激化する幕末を除けば、基本的に版木5枚(両面を使って10面)以内で作品が成立するよう考慮されていました。

仕方ない、めざせ重版! 彫ゆうさんにすぐに色板(いろいた)を彫ってもらうよ。

うんうん、楽しみだねえ。

step4

*** こうして色分けされた校合摺は、彫師に渡され、彫師はそれをまた山桜の板に貼り込みます。そして今度は、絵師が朱墨で塗った部分が凸部になるように、版木を彫っていきます。このように、木版画に必要な色の部分の版木(色板)が出来上がっていきます。

完成イメージを共有する、版元のディレクションと職人のチームワークが鍵

step5

8月に入り、いよいよ新商品を制作するための版木が揃いました。高木屋の史郎左衛門と絵師の和樂は、摺師のとま蔵のもとへ。

やあ、とま蔵さん、先日話した例の新商品、彫ゆうさんから版木が上がってきたから、摺ってほしいんだ。

はいはい、例のですね。墨板と色板で、板はぜんぶで3枚ですね。なんですか、これ? ブツブツがいっぱいだ。病気の金魚の浮世絵?

病気じゃないよ、いま流行りのドット柄の金魚だよ。ナウくない?

……。ま、とりあえず摺っていきますね。

*** 浮世絵版画の制作工程では、フルカラーの完成図というものが存在しません。摺師の手元にすべての版木が揃い、絵師や版元の指示のもと、最終的な色がここで決定するのです。摺師は頭のなかで完成図を思い描きながら、一色ごとに図柄がずれないように摺り重ね、全体の色調のバランスもとっていきます。ちなみに「ばれん」と呼ばれる道具で和紙に摺りますが、これが結構な力仕事。特に江戸の浮世絵版画は、和紙の繊維の中に絵の具の粒子をきめ込むように摺ります。(ですから、200年前の浮世絵の色が今日まであんなに残っているのです。)几帳面さと体力が求められる職業です。

摺師の手
「ばれん」で和紙に図柄を摺る摺師。 画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団

この黄色はどんな感じが良いですか? 山吹色っぽくします? もう少し薄く?

*** 江戸時代の摺師が使った絵の具は、基本的に赤、青、黄の3色。これを混ぜ合わせ、水分で濃淡を調整しながら、必要な色をつくりました。

んー、あんまり濃くない方が良いかなぁ。草色は暗めで考えてるけど。高木屋さん、どう思います?

草色を暗くするなら、黄色も濃くした方が……とま蔵さん、試しに濃い黄色と薄い黄色と2パターン摺ってみてもらえる?

はいはい。いくつかバリエーション摺りますね。

摺順序

*** 江戸時代の浮世絵版画のディレクションが、どこまで誰に委ねられていたか、はっきりとしたことはわかっていません。しかし、同じ絵師の作品でも、版元によって出来が大きく左右されることから、おそらくはプロデューサーである版元に、ディレクションの権限もあったのではないかと考えられます。たとえば喜多川歌麿(きたがわうたまろ、1753?-1806)が世に残した名品のほとんどは、蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう、1750-1797)が出版したものでした。

はい、こんな感じでどうです?

摺6辺

んー……。なんか間抜けな絵だなぁ。背景に水草とか描いた方が良かったかなぁ。

和樂、お前、それ版下絵の段階で思い付けよ。版木彫っちまったあとじゃ、足せないだろ。しかし、確かに、何かが足りない。

*** 凸版印刷である木版画は、原則として、図柄を削ることはできても、あとから加えることはできません。(図柄によっては、入れ木などの方法で修正することもできます。)この時点で、何か図柄を修正したいと思っても、あとのまつりです。浮世絵師には、版画の構造把握と卓越した想像力が求められのです。

仕方ない。とま蔵さん、その水色の板で天に「ぼかし」を入れたら画面が締まるかもしれない。いっぺん、藍のぼかしを入れてみてもらえないか。

一文字で? それとも吹き下げますか?

両方やってみてもらえる?

はいはい。

ぼかし2種
ぼかしにも、さまざまなバリエーションが。左は「吹き下げ」右は「一文字」。歌川広重(うたがわひろしげ、1797-1858)の「東海道五拾三次」などは、一文字ぼかしを効果的に用いて、シリーズの統一感を演出している。

*** 「ぼかし」とは浮世絵版画のグラデーション表現のこと。版木に乗せる絵の具と水の配分で板の表面上にグラデーションの層を作り上げ、それを和紙に摺るのです。そのため、グラデーションの幅や濃淡は、摺師の腕次第。同じ版木で、一文字(幅の狭いきゅっと締まったグラデーション)も吹き下げ(幅の広いグラデーション)もどちらも摺ることができます。この図の場合は、水色のつぶし(ベタ面)を摺った板をもう一度「ぼかし」を摺るのにも使います。

うん、やっぱり一文字ぼかしの方が、浮世絵っぽい! これで決まり!

ぼかしが増えた分、工賃プラスになりますけど、良いですか? 6版7度摺ね。(そろばんをはじく。)

ぐぬぬぬ……仕方ない。とま蔵さん、これで初摺り200部摺ってくれ! よーし、売るぞ! どうか、当たってくれっ! うーん、でもやっぱり、背景に水草あった方が良かったなぁ……。

*** 江戸時代の浮世絵版画の制作ロットは、200枚だったのではないかと考えられています。これは先に述べた「大判」が、大奉書紙1束(100枚)から200枚分とれることを根拠にしています。当然、ケースバイケースであったことと思いますが、商品が好評を博して増刷を重ねるうちに、厳密なディレクションがなされていた「初摺(しょずり)」から徐々に離れていき、色味が異なったり、一部の工程を省略するものも出てきました。そのため、古美術市場においては、浮世絵は「初摺」に価値があるとされています。

さてさて、水玉金魚の売れ行きやいかに?

残暑見舞いGIF

※ この物語はフィクションです。登場する人物・団体・ 名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。また、本稿で使用した画像の元となっている歌川国芳の「金魚づくし 玉や玉や」は、実際には鼠色なども使用されており、版の構造もより複雑になっています。
SPECIAL THANKS:和楽web編集部(高木史郎、きむらゆう、とま子)

あなたが21世紀の浮世絵師!伝統を受け継ぐ彫師・摺師を募集中

このように、江戸時代の浮世絵版画の制作はプロフェッショナルな職人たちによる分業制で成り立っていました。そして明治という新しい時代を迎え、木版画の需要が徐々に変わっていくとともに、職人の数も少しずつ減っていきました。しかし、現代においても、江戸時代から続く伝統的な木版画の技術を継承し、現代の浮世絵を制作している職人たちがいます。

アダチ伝統木版画技術保存財団(彫師)
親方のもと、伝統木版画の技術を学ぶ若い彫師たち。浮世絵の復刻や現代のアーティストの木版画制作を行っている。(画像提供:アダチ伝統木版画技術保存財団)

公益財団法人 アダチ伝統木版画技術保存財団では、浮世絵に代表される日本の伝統木版画の技術を次の時代に伝えていくために、彫師・摺師の技術者の育成(伝統木版画技術研修制度)、そして彼らとともに新たな木版画の表現を模索する絵師の発掘(アダチUKIYOE大賞)など、包括的な木版文化の振興に努めています。浮世絵版画の制作は、絵師・彫師・摺師、そのどのパートが欠けても成立しません。そしてもちろんのことながら、できあがった作品を楽しむ人々がいて初めてその技術が活きるのです。同財団では、財団の活動を支援してくださる賛助会員も募集中です。

アダチ伝統木版画技術保存財団(実演会)
アダチ伝統木版画技術保存財団では、日本が誇る伝統の木版画技術の啓蒙普及のため、海外の美術館や大使館などでも実演会を行っている。

伝統木版画の彫・摺の技術に興味を持った方、その独自の表現に惹かれる絵心のある方、そして、そうした若き人材の育成に努める財団の活動に興味を持った方、ぜひみなさま、財団のホームページをご覧になってみてください。

◆公益財団法人 アダチ伝統木版画技術保存財団

所在地:東京都新宿区下落合3-13-17

公式サイト

和樂web編集長セバスチャン高木が浮世絵について音声で解説した番組はこちら!

書いた人

東京都出身、亥年のおうし座。絵の描けない芸大卒。浮世絵の版元、日本料理屋、骨董商、ゴールデン街のバー、美術館、ウェブマガジン編集部、ギャラリーカフェ……と職を転々としながら、性別まで転換しちゃった浮世の根無し草。米も麦も液体で摂る派。好きな言葉は「士魂商才」「酔生夢死」。結構ひきずる一途な両刀。