2016年4月22日から東京都美術館で開催される「若冲展」の記者発表会の模様を、和樂前編集長・アンドリュー橋本がレポートします。
東京都美術館「生誕300年記念 若冲展」
会期 2016年4月22日(金)~5月24日(火)
昨今の日本美術ブームの中でも最大の人気絵師、伊藤若冲は1716年生まれですから今年は生誕300年の年。それを記念しての展覧会ということで、これまで国内外で多くの伝説的展覧会になってきた若冲ですが、今回のものは本当に、空前絶後、史上最大になる事が確実です。
記者発表会で説明に立たれた岡田美術館館長の小林忠先生は「もう、たくさんの絵を紹介する必要はない。若冲のいちばんの傑作だけを集めて、みていただこうと考えました」とお話しくださいました。それだけに、本当に若冲の名作中の名作が集められ、奇跡のような展覧会になりそうです。
33幅で完成された、究極の若冲ワールド!
まずなんといっても、宮内庁三の丸尚蔵館所蔵の『動植綵絵』全30幅が一挙に公開されることです。この、もとは相国寺に所蔵されていた大作は、伊藤若冲の絵と人生を説明する場合に、必ず「若冲畢生の大作」という言葉で語られてきた伝説的作品。
伊藤若冲が51歳の時から10年をかけて完成させ、相国寺に寄進したもので、今も相国寺に所蔵されている『釈迦三尊像』3幅を取り囲むようにかけられていたといわれています。
しかしながら、今では所蔵先が分かれてしまっている上、この『動植綵絵』はあまりにも貴重な文化財のため、なかなか公開されることがありません。まして30幅全部を一度にみられる機会は、今後決してないかもしれないといわれていました。
小林先生がかつて東京国立博物館で担当された若冲展(昭和46年)の時も、前期後期で、15幅ずつの展示しか許されなかったのだそうです。
それが今回は、30幅全部一度にみられる!
しかも『釈迦三尊像』と一緒に、恐らく若冲がみたであろうと思われるような形で、ひとつの展示室でみられる!! これは奇跡以外のなにものでもありません。このことだけで、今回の『若冲展』の凄さがわかります。
ほかにも必見の名作がいくつも!
その他の名作についてもご紹介しましょう。大阪の西福寺蔵の『仙人掌(さぼてん)群鶏図襖絵』(重要文化財)。金地の襖の上に描かれた鶏とサボテンの彩色の美しいこと! 「若冲の鶏」といわれるくらい、若冲の絵の中に出てくる鶏は際だった素晴らしさを持っていますが、この絵でもそれを十二分に堪能できるでしょう。
青物問屋の長男として生まれた若冲の、動植物への愛情があふれ出ている作品が『菜蟲譜(さいちゅうふ)』(佐野市立吉澤記念美術館 重要文化財)。
横10メートル以上に及ぶ作品の中に98種類の野菜、果物、そして56種類の昆虫などが描かれていますが、そこかしこから感じられる若冲の画力とユーモアのセンスに圧倒されます。和樂12月号でも紹介させていただいた、可愛いカエル! 必見です!
和樂12月号の”かわいい日本美術”特集でも取り上げた『百犬図』(個人蔵)は、縦1.4メートルの大画面の中に、様々な表情とポーズのわんちゃんが描き込まれた、人気の作品。
私アンドリューも何度も記事で取り上げながら、実物を見たことがないので、楽しみです。
それ以外にも『葡萄小禽図襖絵』『松鶴図襖絵』(ともに鹿苑寺<金閣寺>)、『蓮池図』(西福寺)といった重要文化財も目白押し。
そしてそして! 待ってました!
『鳥獣花木図屏風』(エツコ&ジョー・プライス コレクション)。あのかわいい象さんに再会できるなんてサイコーです。
この展覧会、会期がわずか1か月(5月24日まで)。だから混むこと覚悟!
でも、この機会を逃したら絶対一生みられない世界が繰り広げられるのですから、まさに万難を排して見に行きましょう。
さてさて、『和樂』は日本の雑誌界・美術界で「どこよりも若冲に強い雑誌」といわれてきました。4月号はこの展覧会に合わせて、これまた史上最大規模の若冲特集です。特集、付録、すべて”若冲まつり”です!
発売は3月1日! こちらの方もお買い逃しなく!
【特別展】 生誕300年記念 若冲展
The 300th Anniversary of his Birth: Jakuchu
会期/2016年4月22日(金)~5月24日(火)
会場/東京都美術館 企画棟 企画展示室
特設WEBサイト jakuchu2016.jp