逆三角形の特徴的な顔をして、大きな鎌のような前脚を持ち、その前脚で素早く獲物を捕らえるのは?
そう、「かまきり」ですね!
鎌を持ったキリギリスとも言われ、そこから「鎌切」の漢字になっているのだとか。
名優・香川照之もぞっこん!
放映中のドラマ『半沢直樹』では、主役とやり合う悪役達の演技が話題となっています。なかでも香川照之演じる大和田取締役の表情や台詞の言い回しが注目され、インターネットで「大和田」がトレンドワードに入るほどです。香川はテレビや映画の出演と共に、歌舞伎役者・市川中車の名前で活躍と、多彩な実力の持ち主です。最近では、子ども達を中心に「カマキリ先生」としても絶大な人気があります。
「カマキリ先生」とは、NHKEテレ『香川照之の昆虫すごいぜ!』に出演する時のネーミング。香川の昆虫への熱い思いがきっかけとなって制作が始まり、2016年から不定期で特別番組として放映しています。「人間よ、昆虫から学べ」が番組テーマで、香川が虫の捕獲を行ったり、虫への思い入れや生態について熱弁する異色の教養番組です。自ら監修した鎌切を模した着ぐるみを着ているのは、昆虫の中で一番好きだからだそう。子どもの頃から20歳過ぎまでの長期間、自宅の庭に放した鎌切の飼育と観察をしていたと言います。
ハングリーな鎌切の特徴
香川が鎌切の生態の中で一番好きなのは、獲物を捕食する姿なんだとか!私自身は、子どもの頃に間近で見てトラウマになるほどの衝撃を受けた記憶があります。やはり天才肌の俳優は感性も特別なのでしょう。
鎌切は強力な前脚を自在に操り、あらゆる昆虫だけでなく、カエルやトカゲまで捕らえて食べることもあるというから驚き。獲物を捕らえるスピードはわずか0.05秒!昆虫界のハンターの印象です。
祇園祭の山鉾にも!
中国の故事に「蟷螂の斧(とうろうのおの)」という言葉があります。「蟷螂」とは鎌切のことで、力の無い者が、自分の実力以上の強い者に立ち向かうことのたとえ。京都の祇園祭を彩る山鉾(やまほこ)の1つ、蟷螂山(とうろうやま)は、この故事に由来しています。
カマキリ山とも呼ばれる蟷螂山の起源は南北朝時代。足利義詮(あしかがよしあきら)の軍と戦い戦死した地元出身の四条隆資(しじょうたかすみ)の武勇ぶりを蟷螂に見立て、永和2(1376)年、四条家の御所車に蟷螂を乗せて巡行したのが始まりとされています。
2020年の夏はコロナウイルス感染拡大防止の為に、祇園祭の山鉾巡業は中止となってしまいました。蟷螂山は山鉾の中で唯一からくり仕掛けがあり、屋根の上の鎌切が羽を広げ、前脚を振り上げて動きます。来年の夏にはユニークな蟷螂山の姿が見られるといいですね。