虎の巻、なんて言っても、最近の若者には通じないだろうか? しかし、少なくとも昭和生まれにはしっかり通じるだろう(きっと)。
試験前夜などに、必死でお世話になる、あれである。
昭和生まれの皆さま、ぜひ学生時代に戻った気分で、読んでいただきたい。
虎の巻ってなに?
さて、改めて「虎の巻」とは。
大辞泉によると、
1 兵法の秘伝書。
2 芸道などの秘事・秘伝を記した書。
3 講義などの種本。また、教科書にある、問題の解答などが書いてある参考書。あんちょこ。とらかん。
とある。そして、「1 兵法の秘伝書」こそが語源である。
中国・周時代に「六韜(りくとう)」という兵法書が成立した。文・武・龍・虎・豹・犬の6巻からなっているのだが、このうち、「虎韜(ことう)の巻」には兵法の秘伝が書かれていた。そこから「虎韜の巻」、「虎の巻」となったのだそうだ。
兵法の秘伝書、という元の意味が転じて、諸芸の秘伝書・教科書を解説したもの、などの意味を持つようになったとされる。
ちなみにこの「虎の巻」、源義経が陰陽師・鬼一法眼(きいちほうげん)のもとから失敬したという逸話も残っているが、果たして真相やいかに。
「あんちょこ」の語源
虎の巻には、別の呼び名もある。「虎巻(とらかん)」はまあそのままだが、「あんちょこ」となると、すぐには意味が分からないだろう。
どうやら、いろいろ調べたり考えたりしないで済む、手軽なもの、というところから出たもので、「安直(あんちょく)」の音が変わったものらしい。
「安直」は、あまりいい意味では使われないことも多い単語だ。しっかり読みこんで理解するのならいいが、あんちょこで安直にその場だけ乗り切るのは、あんまりおすすめできない、なんていう意味が込められている、のだろうか?
▼続けてクイズに挑戦!
クイズ「曼珠沙華」って何と読む?別名、地獄花。ゾッとする妖しい魅力のあの花……
▼源義経について知るなら!おすすめの学習漫画『人物日本の歴史 源義経』
アイキャッチ画像:歌川国貞・メトロポリタン美術館より