Culture
2020.10.18

クイズ!「けんもほろろ」の語源になったのは何?ヒントは「桃太郎」のお供!

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気持ちのよい涼やかな風が吹く季節になってきた。天高く馬肥ゆる秋、人もまた例外ではないのが少々厄介である。

しかし、秋の空には、楽しいイメージだけが広がっているわけではない。
女心と秋の空、男心と秋の空、などという、心変わりを表す言い回しもある。秋空のように自分の力の及ばないものも中にはあるだろうが……。世の男性諸氏、愛するパートナーに「けんもほろろ」な扱いを受けたことはないだろうか? 思い当たるかたは、ぜひこちらの記事をご一読いただきたい。
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さて、今回はその「けんもほろろ」である。何となく分かるようだけれど、よく分からないこの言葉の語源とは何なのだろう?

語源はキジの鳴き声

大辞泉によると、「けんもほろろ」とは、人の頼み事や相談事などを無愛想に拒絶するさま、取りつくしまもないさま、とある。
けん、は何となく尖っているようなイメージが湧くものの、ほろろ、とは意味不明である。

少し意外なのだが、「けん」も「ほろろ」も、鳥のキジの鳴き声なのだという(これが定説だが、異説もあり)。「ほろろ」は羽ばたきの音だという説もある。

「慳貪(けんどん:思いやりがない、邪険な様子)」「剣突(けんつく:荒々しくとげとげと叱ること)」の「けん」との掛け言葉で、いわば言葉遊びでできた慣用句のようだ。

意外と昔から使われていた

この「けんもほろろ」、室町時代末期の書物にも見られる表現である。

文禄2(1593)年に刊行された『天草本伊曾保物語(あまくさぼんいそほものがたり)』は、日本人イエズス会士ハビアンが『イソップ物語』をポルトガル語から当時の日本語口語に訳し、ローマ字で表記したもので、この本の「イソポの生涯の事」に「けんもほろろ」が見られるのである。

キジが当然のように見られた時代、「けんもほろろ」は、現代よりもっと身近に感じられる表現だったのかもしれない。

アイキャッチ画像:月岡芳年『桃太郎鬼ケ島行』、国立国会図書館デジタルコレクションより

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人生の総ては必然と信じる不動明王ファン。経歴に節操がなさすぎて不思議がられることがよくあるが、一期は夢よ、ただ狂へ。熱しやすく冷めにくく、息切れするよ、と周囲が呆れるような劫火の情熱を平気で10年単位で保てる高性能魔法瓶。日本刀剣は永遠の恋人。愛ハムスターに日々齧られるのが本業。