Culture
2024.06.22

丑の刻参りは今もある!? 語り継がれる呪いの儀式と物語

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人間長くやっていると、人を恨むことってあると思います。何を隠そうこの私も、「くそーっ、コイツめ」と思ったことは数知れず。
でも、呪い殺したいほどの恨みというと、これはもう尋常じゃないレベルですね!

日本には古くから伝わる呪いの儀式があります。その名も「丑の刻参り(うしのこくまいり)」!

丑の刻参りとは?

丑の刻とは、夜中の午前1時から3時ごろの時間帯のこと。この真夜中の時間に神社に参って祈願することを、「丑の刻参り」と言います。
民族的な呪的行為で、もっぱら女性が特定の人を呪い殺そうとして、毎夜神社に参ることなんだとか!
想像するだけで、背筋がぞぞーっとします! 怖すぎる!

儀式のやり方は、神社境内の樹木に呪い殺したい相手に見立てたわら人形を五寸釘で打ちつけ、呪いの言葉を唱えます。しかも丑の刻参りをする時は、じつに不気味な格好をしなくてはいけません。白装束を身にまとい、頭には灯したろうそくを突き立てた金輪※をのせるのです。毎夜この詣でをおこない、7日目で満願となって相手は死ぬが、行為を絶対に人に見られてはいけないと言い伝えられています。

真っ暗闇にたった1人で呪いの言葉をつぶやく女。ホラーですね!

※足のある鉄製の輪。

語り継がれる呪いの物語

ゆかりの場所として知られる京都市の貴船神社には、伝説が残っています。昔、夫に捨てられた妻が怒り狂い、貴船神社で丑の刻参りを決行しました。すると体調がおかしくなった夫は、不思議に思って安倍晴明に相談します。晴明はすぐに妻の行いを見抜き、等身大の人形を作って呪術を駆使します。満願の夜に鬼となってしまった妻が夫を連れ去ろうとしますが、晴明に阻まれてできません。怒った妻は井戸に身を投げてしまいます。

この恐ろしくも悲しい物語は、謡曲『鉄輪(かなわ)』となって、現在も上演されています。能楽師演じる妻が化身して鬼となる様は、ドラマチックで見物です。

丑の刻参りは今もある!?

丑の刻参りは江戸時代に頻繁に行われていたようで、浮世絵の題材にもなっています。過去の恐ろしい儀式かと思いきや、インターネットでわら人形などグッズを販売しているのを見かけます。ジョークなのか、はたまた本気の人向けなのか? もしも現代人が丑の刻参りを決行した場合……怪しい姿でうろうろするので、警察の職務質問を受けそうですね。

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※アイキャッチ:シカゴ美術館より

書いた人

幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。一時勘違いして舞台女優を目指すが、挫折。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。