春めいてくると食べたくなる和菓子があります。それは、桜餅!!
コンビニやスーパーなどで年中見かけられるようになりましたが、やはり春にふさわしい和菓子の印象です。
大好きな和菓子ですが、子どもの頃から疑問に思っていることがあります。桜餅はあんの入った餅を、桜の葉の塩漬けで包んでいますが、この葉っぱは食べていいの? それとも外して食べるの?
はたして、正解は……。
どちらでもいいそうです!(スミマセン)
使用している桜の葉は食用なので、食べても害はありません。葉っぱのしょっぱい味と、中のあんとのハーモニーを楽しむ人も多いみたいですね。
葉によって筋の固いものがあるので、その場合は、外した方が美味しく食べられます。
桜餅のルーツは江戸時代!
「享保の改革」で庶民の娯楽を厳しく取り締まった徳川吉宗は、江戸郊外にあった桜の名所を整備したことで知られています。庶民の不満を解消する目的があったのかもしれませんね。吉宗が整備した桜の名所には、隅田川ほとりの江戸向島も含まれていました。
この向島の長命寺境内で、同寺の門番・山本新六が墓参の人たちを、手製の桜餅でもてなしたのが始まりと伝えられています。享保2(1717)年に隅田川堤に桜の植え足しが行われたのを機に茶屋を開くと、桜餅は大ブームとなります。昨今の春色スイーツ大当たりの元祖だった訳ですね。『兎園小説(とえんしょうせつ)』※によると、文政7(1824)年には1年間で38万7000個も売れたと書かれています。
あれ、形が違う?
江戸向島で誕生した桜餅は、銅板で焼いた皮でこしあんを包み、桜の葉2枚ですっぽりと包みます。この製法は今も受け継がれていて、向島の和菓子店『長命寺桜もち』で販売されています。現在の桜餅はピンク色に着色されているものが多く見かけられますが、長命寺の桜餅は着色しないのが特徴です。関東で販売されている桜餅は、長命寺桜餅風の巻くタイプが多いようです。
一方関西では、つぶつぶの生地であんをくるんでいます。このつぶつぶは、道明寺粉で、もち米を水に浸した後、蒸して乾燥させて荒く挽いた粉です。寺の名前がつけられているのは、大阪府藤井寺市にある真言宗の藤井寺で最初に作られたからです。道明寺粉で作ることから、関西の桜餅は、「道明寺」とも呼ばれます。関東風桜餅、関西風桜餅共に、寺と縁があるのは面白いですね。
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参考文献:日本大百科全集 小学館