年末年始は仕事関係や親族などとの会食の機会が増えがちとなり、改まった席では食事マナーが心配になります。「食生活の洋風化が進んでいる」といわれますが、家庭料理やファミリーレストランでも和食は永遠の定番です。食べなれた料理とはいえ、お呼ばれの席では普段とは違うマナーが求められ、ドキドキするのも和食。
マナーにとらわれすぎると会話や食事を楽しめませんが、最低限の知識があれば安心して会食に臨めます。「これだけ覚えればOK」のマナーを厳選してお伝えします!
まずは和食、日本料理、日本食のまとめ
日本で発達し、日常的に食する料理について、和食、日本料理、日本食といった言葉があります。辞書で調べると、以下の通り。
和食…洋食や中華料理などに対して、日本ふうの食事。日本料理。
日本料理…日本の風土の中で独特に発達し、日本人が通常食する料理の総称。和食。
日本食…日本風の食事。日本独得の料理。日本料理。和食。
(すべて出典は『日本国語大辞典』デジタル版)
一般的には、和食と日本食はほぼ同じ意味で「家庭食を中心とした料理」、日本料理は「専門店で提供される高度な技術で調理された料理」と使い分ける傾向があるようです。
和食、日本料理のコースが「会席」
和食、日本料理の中でもっとも本格的な料理が、本膳料理です。この本膳料理をベースとして宴会料理として発達したのが会席料理です。結婚披露宴や弔事、日本料理店や旅館などでおなじみですね。
料理はコース仕立てで、1品ずつ運ばれてきます。基本的には、前菜(先付)→吸い物→お造り(向付)→焼き物→煮物または蒸し物→揚げ物→酢の物→ご飯・止め椀・香の物→水菓子(果物)→菓子・茶という流れです。
同じ「カイセキ」と呼ぶ「懐石料理」は、茶会の席で出される料理です。
「これだけは絶対ダメ」で覚えるマナー5つ
和食、日本料理における作法はたくさんありますが、まずは、「これだけは絶対ダメ」というものだけ押さえるところからスタートしましょう。
箸使いのマナー
箸を食べ物に突き刺す、箸で器を引き寄せる、箸を器の上に渡す、箸から汁を垂らすなどの動作は上品ではありません。
器・お皿の持ち方
利き手が右でも、左側にある器は左手で取ります。持ち上げてよいお皿は、刺身の醤油皿、小皿、小鉢など、基本的には手の平よりも小さなお皿です。そのほか、天つゆの器、お重、どんぶりも手で持って大丈夫。ご飯物や汁物のお皿、吸い物のお椀は必ず持ち上げます。大きな椀や鉢、焼き物や天ぷらのお皿などは置いたままいただきます。
取り皿の使い方
大人数盛りの料理から自分用に料理を取ったら、取り皿に移してから食べます。そのまま口に運ぶのはエレガントではありません。
受け取ったものの扱い
ご飯や汁物、飲み物などは、受け取ったらお膳やテーブルに置いてからいただきます。すぐ口をつけないようにしましょう。
店の格に合わせた服装
女性はミニスカートやタイトスカートだと正座しにくいため、脚を多少崩してもカバーできるフレアスカートが動きやすいでしょう。男性も店の格に合わせた服装を心がけます。男女ともに素足は避け、靴下を用意します。女性はストッキングやタイツでもよいです。
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『風俗三十二相 むまさう 嘉永年間女郎の風俗』(国立国会図書館デジタルコレクション)
主な参考文献:
『オールカラー 困ったときにすぐひける マナー大事典』(西東社)
『「和食」ワザあり事典―料理もマナーもこれでカンペキ!』(PHP文庫)
『日本国語大辞典』デジタル版
『現代用語の基礎知識2007年版付録 マナーと常識事典』デジタル版
京都調理師専門学校サイト
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オールカラー 困ったときにすぐひける マナー大事典
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