和樂web編集部スタッフがリレー形式で日本文化の思い出をつづるシリーズ! 第4回は安藤整さんからバトンを受け取った「編集部C」が担当します。お題は、「深い魅力」を持つモノ・コトについて。
……このリレー形式の記事の最初のテーマは金魚だったんです。「気軽に書けるテーマにしようよ」って言ったのに、なんか難しいお題出してきたなぁ。だいたい「日本文化の思い出」だって言ってるじゃん。もう!
▼第3回の安藤整さんの記事はコチラ
aikoの歌詞は芥川龍之介に並ぶ「文学」である。【編集部スタッフが繋ぐ、日本文化の思い出】
妄想の余地がどこまでもある『源氏物語』
深い魅力をもつもの。私にとってのそれは『源氏物語』。
想像力と妄想力が豊かなロマンチストの私は、映像化されたものがあまり得意ではありません。「私の妄想と違った」となるからです。その点、文学は自由。『源氏物語』に登場する稀代のイケメン・光源氏を、どうヴィジュアライズしようが私の勝手です。時代や気分が変わったら、別のイケメンで妄想すればいいだけのこと。
ただ、妄想というのもゼロから生み出せるものではありません。紫式部はその筆で、美しき情景、どうにもならない恋愛、熾烈な政治劇などを書き上げてくれました。そして物語に織り込まれる「和歌」の数々。これが想像と妄想の余地を「これでもか!!」ってくらい生んでいるのです。
源氏物語あらすじ全まとめ。わかりやすく全54帖をおさらい
いつ読んでも新しい『源氏物語』
初めて『源氏物語』を読んだのは、中学生の頃だったでしょうか。それから年を重ね、さまざまなことを経験すると、同じ本を読んでも感じることが変わっています。読むたびに新しい発見や気付きがあるだけでなく、『源氏物語』を通して、新しい私にも出会えちゃう!
たとえば……。10代の頃は、なんで浮舟が入水自殺を図ったかわからなかった。美貌の姫として生まれて、貴公子に愛されて、なんで出家したんだろう。今ならちょっとわかる。自分の人生を自分で決める。それを平安時代の女性として、長い物語の最後の最後にやってのけたのが、浮舟なんだ。選択肢が「入水」「出家」、彼女にはそれしかなかっただけ。
私がおばあちゃんになったとき、そこにいる光源氏はどんな人なんだろう。どんなふうに『源氏物語』が見えているんだろう。千年前の物語から、未来の自分を想像しちゃうなんて……!?!? ロマンチストのトキメキはとまらない!!
次のテーマは「浴衣」
だんだん暑くなってきたので、次回のテーマは「浴衣」。ご家族で和装を嗜んでいる小俣荘子さん、よろしくお願いいたします!
アイキャッチ画像:月耕『源氏五十四帖 五 若紫』,横山良八,明治25. 国立国会図書館デジタルコレクション