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大人だけが知っている!「静寂の京都」

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2024.06.16

『光る君へ』に六条御息所の“呪い”は登場するのか?モデルは誰?考察してみた!

この記事を書いた人

2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』も、物語の後半へと入ってきました。紫式部ことまひろは、まだ『源氏物語』執筆をしていませんが、ひょっとしたら史実のこの場面が物語に反映されたのかも? など想像すると楽しいです。

『源氏物語』のなかで私が一番心惹かれるのは、六条御息所(ろくじょうのみやすんどころ)です。学校の授業で最初に知った時は、生霊(いきりょう)になるなんて「怖ッ!」という印象が強かったのですが、年齢を重ねるごとに、恐ろしさとともに哀しさも感じるようになりました。

六条御息所についておさらい!

六条御息所は、光源氏の年上の愛人です。今は亡き前皇太子の妻で、高貴な身分でありながら年下の源氏との恋に溺れ、嫉妬に苦しみ続けるあまり、本人も自制できない生霊となって悲劇を巻き起こします。

『車争図屏風』狩野山楽筆 ColBase

生霊事件の発端になった出来事として知られているのが、源氏の正妻・葵の上とのバトル「車争い」です。京都の賀茂祭(かものまつり)の行列に参加する光源氏を一目見ようと人々が集まったなかで起こった不幸な出来事でした。六条御息所もお忍びで出かけて、良い場所に牛車(ぎっしゃ)を止めていました。そこへ、葵の上の牛車が割り込み、従者たちの乱暴によって六条御息所の牛車が破損。妻と愛人が直接争った訳ではないのですが、結果としては、六条御息所が大勢の前で恥をかかされた訳です。

▼六条御息所について詳しく知りたい方はコチラ
愛に溺れた美女・六条御息所の苦しみとは。生霊として彷徨い出るまでの葛藤

生霊となって、暴走する六条御息所!

その後、恥をかいた屈辱から嫉妬に狂い、生霊となった六条御息所は、妊娠中の葵の上にとりつきます。葵の上は息子・夕霧を出産しますが、数日後に急死。死の間際には、とりついていたのは六条御息所だと源氏は気づいたそうで、ものすごい恐怖を感じたことでしょうね(まあ、あなたが悪いのです)。

さらに死後には紫の上※1や女三宮※2にも祟りをなして苦しめます。恐ろしい女性ですがキャラクターとしての魅力に、古くから皆注目をしていたようで、世阿弥※3が作った謡曲『葵上(あおいのうえ)』では、恐ろしい鬼の姿になってしまった六条御息所が、祈祷で成仏する様子が描かれています。美人画作家と呼ばれた上村松園は、『葵上』をモチーフにした『焔(ほのお)』を発表して、世間を驚かせました。他の作品とは異質のこの作品からは、情念が伝わってくるようです。

※1:光源氏の妻の1人。最も愛された女性。
※2:葵の上に次ぐ二番目の正妻。
※3:室町前期の能役者・能作者。

『焔』上村松園筆 ColBase

はたしてモデルはいるのか?

六条御息所にモデルはいたのでしょうか?『光る君へ』の中では、藤原道長の妻の源明子が、高貴な生まれで美しく、しかも道長の父を呪い殺そうとした場面があったので、少し近いかもと思いましたが……。現在は、道長との関係も良くて落ち着いている様子。道長の正室である源倫子は、道長に忘れられない人がいると気づいているようで、それが信頼していたまひろだと知ったら、もしや!!ひょっとしたら泥沼の恐怖場面があるかもしれませんね。実際のモデルについては、はっきりとはわからないので、今後の展開に期待したいと思います!

参考書籍:『紫式部と源氏物語』(株)メディアソフト、『紫式部と藤原道長』中央公論新社、『日本大百科全集』小学館
アイキャッチ:『焔』上村松園筆 部分 ColBase

書いた人

幼い頃より舞台芸術に親しみながら育つ。一時勘違いして舞台女優を目指すが、挫折。育児雑誌や外国人向け雑誌、古民家保存雑誌などに参加。能、狂言、文楽、歌舞伎、上方落語をこよなく愛す。ずっと浮世離れしていると言われ続けていて、多分一生直らないと諦めている。