コンプライアンスやハラスメント防止の意識が高まる中、あまり口にはしないかもしれないけれど耳にしたことはあるかもしれない「青二才(あおにさい)」。若い世代の未熟さをベテランが批判するときに使うことが多いように思います。
しかし、よく考えてみると、この「二才」ってなんだろう? 年齢そのまま(人間の)2歳なのだとすると、若者というよりベビーちゃんに近いような。
わたくし青「四十路」、考えていてもまったく分からなかったので、辞書で調べてみました!
「青二才」の意味とは?
改めて意味を確認しておきましょう。
青二才とは、経験が浅く年齢の若い人を、他人が嘲ったり、本人が謙遜したりするときに使う表現です。
ちなみに、元禄15(1702)年の雑俳(ざっぱい。様々な形式と内容をもつ遊戯的な俳諧)にも、この「青二才」の言葉が見られるので、江戸中期にはすでに存在していたことが確認できます。
「青二才」の「二才」とは?
さて、ここからが謎解きの本題です。なぜ「二才」なのか?
ということで、いつものあのお方においでいただきましょう。出でよ、『日本国語大辞典』~!
「青」は未熟の意、「二才」は若者の意の「新背(にいせ)」の変化した語
「語源説」欄に、青についても書かれていたので引用してみましょう。
アヲ(青)は前髪を剃り落した跡が青いことから〔両京俚言考〕
「前髪」というのは、元服(成人)前の少年の象徴です。江戸時代までの風習で、大人になると前髪を剃ってまげを結うため、「前髪」がそのまま少年を意味することもありました。「青い」は前髪を剃り落としてまだ時間が経っていない、という意味だったのですね。じょりじょり。
▼明治以前の風習も、なかなか興味深い!
「月代」ってなんて読む?どんなもの?歴史や語源が面白い!
ふむふむ、なるほど。「青二才」とは年齢の2歳ではなくて、未熟な若者め! という意味でした!
「若輩」「若造」との違いとは?
「青二才」とよく似た言葉に「若輩(じゃくはい)」や「若造(わかぞう)」があります。
ほとんど同じ「未熟で一人前とは認められない」という意味ですが、ニュアンスがやや異なり、「若輩」は本人が謙遜して使うことが多く、「若造」はやや乱暴な表現、「青二才」は経験値が低いのに言うことだけは一人前で生意気、といった侮蔑を含んだ言い回しなのだそうです。
アイキャッチ画像:鳥居清長『A Doll Representing a Boy Playing a Flute』メトロポリタン美術館より
参考文献:
・『デジタル大辞泉』小学館
・『日本国語大辞典』小学館
・『使い方の分かる 類語例解辞典』小学館