Culture
2019.09.12

美白テクからニキビの治し方まで!江戸版おしゃれマニュアル『都風俗化粧伝』を読んでみた

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白い肌を保つ苦労

現代と比べて医療技術が低かった江戸時代は、はやり病の疱瘡(ほうそう、天然痘のこと)にかかれば、命は助かっても顔にあばたが残ることがありました。皮膚病が多かっただけでなく、白い肌を求めて使われた鉛白粉(なまりおしろい)は、その毒性により、大量に使い続ければ慢性中毒をおこし、貧血で顔色が悪くなることもありました。

現代と比べれば医療技術の低かった江戸時代は、肌のトラブルも多く、江戸時代の女性にとって、きめ細かくつやのある白い肌を保つことは、現在よりもはるかに難しかったに違いありません。

『都風俗化粧伝』より

手足之部/ボディケア

手足の悪い癖を隠して美しくしなやかに見せる方法、手足にある病気を治す方法について紹介しています。
手足にある病とは、手先の荒れ、ひび、あかぎれ、霜焼け、腋臭(わきが)など。顔の化粧をきちんと行っても、「手足荒れて節くれだっていたり、指が太く、爪が伸びて垢がたまっているようでは興がさめる」ことから、見苦しいこれらの病は早めに改善しなくてはいけなかったのです。

美しい歩き方や美脚マッサージ方法も!

また、「内わに(内股)」「外わに(外股)」を直して歩き方を美しく見せる方法を挿絵入りで紹介しているほか、「手足を白く光沢(つや)を出し、太きを細くしなやかにする伝」では、指先から丁寧にもみほぐすといった方法を紹介しています。

『都風俗化粧伝』より

髪之部/ヘアケア・ヘアアレンジ

頭書で、

それ、髪は身体の上(かみ)にあるゆえ髪という。他より見るにも、まず頭(かしら)に目につくものなれば、面容(かおかたち)はよくとも髪の結(ゆ)いようあしく、あるいはとり乱したるなんどあるは、その人の心ばえしられて、いと見苦し。

と、髪をきちんと結うように説いています。
その上で、髪の結い方については、「丸顔の人は髷(まげ)を小さく結う」「顔の小さい人は髪を少し大きく結う」「面長の人は鬢を平たく作る」など、顔の形にあった髪の結い方を紹介しています。

江戸時代は、黒く光沢(つや)のある髪が美しい髪とされていました。「美しくつやのある髪になるための洗い方」「髪を黒くしてつやを出す薬」「白髪を黒くする方法などのヘアケアの方法」などが掲載されています。

三代歌川豊国「江戸名所百人美女 芝神明前」 国立国会図書館デジタルコレクション
上半身裸の女性が金盥(かなだらい)に水を入れ、髪を梳いています。

化粧之部/メイク

紅・白粉のつけ方や美しく見せるための化粧のテクニックを秘伝として紹介しているほか、眉の作り方、お歯黒のつけ方を紹介しています。

書いた人

秋田県大仙市出身。大学の実習をきっかけに、公共図書館に興味を持ち、図書館司書になる。元号が変わるのを機に、30年勤めた図書館を退職してフリーに。「日本のことを聞かれたら、『ニッポニカ』(=小学館の百科事典『日本大百科全書』)を調べるように。」という先輩職員の教えは、退職後も励行中。