Culture
2019.11.21

戦国武将の必須アイテム「味噌玉」レシピ!美容健康にも良いパワーフードの作り方を解説

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近年の発酵食ブームの盛り上がりを受けて、味噌や味噌汁好きな人たちの間で人気を集めている「味噌玉」。味噌玉とは、味噌にネギや鰹節などの具材を加えて混ぜたものを丸めたもののことです。カップに味噌玉を入れ熱湯を注ぐだけで、あっと言う間に味噌汁が出来上がり!

美容にも健康にも良い話題のパワーフード「味噌玉」ですが、実は、戦国時代の武将たちも魅了され戦場にまで携帯していたことをご存知でしょうか。

私自身も味噌玉のファンのひとりですが、この事実を知って魅力をさらに感じるように。「味噌玉が忙しい私たちを元気にしてくれるのも納得!」と思いました。

そこで今回は、味噌玉の魅力や、戦国武将との関わりについてご紹介します。

味噌玉は、現代人にも必要なパワーがギュっと詰まっています。これから、あなたの家庭や仕事場の必須アイテムになるかもしれません!

 

昔から人々を魅了してきた「味噌パワー」

まずは味噌玉の主な原料「味噌」について。日本の伝統調味料であり、日本人にとっては欠かせない食品のひとつです。味噌が身体に良いことを示したことわざは、古くからたくさんあります。

<味噌×健康のことわざ>

・「味噌の医者いらず」

栄養たっぷりの味噌を食べていると、病気にならない。

・「味噌汁は朝の毒消し」

味噌汁を朝食べると、体内の毒を消してくれる。

・「味噌汁一杯、三里の力」

一杯の味噌汁を飲むと、三里(=約12km)歩くことができる。

・「味噌汁は不老長寿の薬」

味噌汁は、若々しく長生きするための薬のようなものだ。

・「味噌で飲む一杯、酒に毒はなし」

味噌と一緒に酒を飲むと、酒の毒を消してくれる。

これらのことわざは、ほんの一部です。医学の発達していない時代から、味噌の健康パワーが認められ、人々に親しまれてきたことがよく分かりますね!

そして。味噌は大豆を発酵させてつくられますが、この発酵というプロセスによって、原料には含まれていない栄養、旨味、香りなどが生まれます。

<発酵によって生まれる味噌パワー>

・大豆にはほとんど含まれアミノ酸やビタミン類が豊富に含まれている。特に、必須アミノ酸9種が全て含まれている。

・アミノ酸の一種「GABA」も含まれており、抗ストレスやリラックス効果が期待されている。

・「畑の肉」とも呼ばれる大豆はそのままでは消化が悪いが、味噌にすることで栄養が消化吸収しやすくなる。

現在も、味噌に関するさまざまな研究が行われています。「生活習慣病やがんのリスクを下げる」「お腹の調子を整える」「老化を防止する」など、味噌の機能面について数多くの論文が発表されています。

また、美と健康に意識の高い人たちの間で少し前からブームになっている「菌活(*)」や、身体と心の両面からのケアが必要なアスリートの間でも、味噌は注目されている食材なのです。

*菌活とは…発酵食などを積極的に摂取して、身体に良い菌を取り入れ、腸内環境を元気に整えていくこと。

 

戦国武将の陣中食として、「味噌玉」が大活躍!

ではここから、今回のテーマである戦国武将と味噌玉の話に入っていきましょう。

「腹が減っては戦はできぬ」というよく知られた言葉がありますが、空腹を満たすのはもちろんのこと、食事の質は戦いの勝ち負けを左右するほど大切なもの。戦国武将たちは戦いの合間に食べる「陣中食」「戦陣食」に強い関心を持っていたのだとか。

陣中食という意味から考えると、ただ「栄養がある」だけでなく、「持ち運びしやすい」「保存できる」「作りやすい」「すぐ食べられる」といったことも大切なポイントです。

こうした考えにも合致し、戦国武将に愛されてきたのが「味噌玉」というわけです!

ちなみに味噌は、飛鳥時代~奈良時代に日本に伝わり、室町時代には自家醸造も始まり庶民の間に浸透していきました。そして、戦国時代に味噌玉が誕生したという流れです。

当時の味噌玉は、味噌を干したり焼いたりしてつくったもので、米など他の食材と一緒に竹の皮などで包み、腰に下げて携帯していたのだとか。もしくは、味噌・酒・鰹節などで煮て乾かした干し大根や芋がら(ずいき)などを利用することもあったと言われています。

武将それぞれのエピソードも興味深いです。信州味噌・仙台味噌・赤味噌など、味噌の産地にはこうした歴史が深く関係していたんですね!

<武将×味噌のエピソード>

・武田信玄…陣中食として味噌づくりを進めたことがきっかけで、信州は味噌の一大産地となり、現在に至っている。海に面していない信州では当時貴重品であった塩を貯蔵する意味でも、味噌は大切な存在であった。

・伊達政宗…味噌を自給しようという考えから、仙台城下に「御塩噌蔵」という初めての味噌蔵をつくった。香りや旨味が強く、保存性も高いと評判であった。

・徳川家康…健康への関心が高く長生きしたことで有名な家康の好物は、麦ごはんと豆味噌。葉物5種類、根菜3種類が入った味噌をよく食べていたのだとか。これに影響を受けて、家康に続く代々の将軍たちも味噌汁を欠かさなかったとされる。こうした流れのなかで、愛知県を中心に豆味噌づくりが盛んに行われるようになる。

豆味噌づくりの産地・愛知県には、家康のほかにも織田信長や豊臣秀吉という代表的な戦国武将がいますが、彼らもまた豆味噌を好んでよく食べていたとされています。

 

味噌玉をつくってみよう!

戦国武将までもが魅了されていた、味噌玉。「簡単」「身体にやさしい」「美味しい」という三拍子揃った一品です。これはぜひ現代の私たちの食生活にも取り入れたいですね!

ではまず、ベーシックな味噌玉をつくってみましょう。使う食材によっても異なりますが、冷蔵庫で1~2週間は保存できます。長期保存したい場合には、「乾燥わかめ」「乾燥ネギ」など水分の少ない乾物を使用するのがおすすめです。

まとめて作っておけば、朝食や職場などでの昼食にも気軽に使えるので、忙しい時に重宝すること間違いなしです。

<基本の材料(4個分)>

・味噌…大2

・ネギ…10~15㎝

・とろろ昆布(無添加の昆布パウダーや、鰹節でもOK)…ひとつまみ

<作り方>

1.ネギは粗く刻む。とろろ昆布は手で軽くほぐす。

2.ボウルに全ての材料を入れてよく混ぜる。4等分にして、手で丸める(好みでトースターなどで軽く焼いてもOK)。

3.味噌玉1個分に対して、熱湯150㏄を注いで混ぜれば、即席みそ汁の出来上がり。

味噌だけを丸めた味噌玉もシンプルに美味しいですが、基本のレシピでは「味噌+具材(ネギなど)+出汁の出る食材(昆布など)」を組み合わせています。

このレシピを参考にしながら、お好みで木の実やスパイスなどを加えるのもよく合います。

・くるみ(粗く刻む)

・黒すりごま

・大葉

・乾燥わかめ

・唐辛子や七味唐辛子

・生姜(すりおろし、または生姜パウダー)

・陳皮(みかんの皮を干したもの)

・クコの実

「身体が冷えやすい」という方は、生姜などを加えるのもおすすめです。また、「クコの実を味噌玉に加えて、美味しいの?」と疑問に思われるかもしれませんが、少し甘味のある食材を加えるのも意外とよく合います!

それぞれの好みや体調に合わせてアレンジできるのも、味噌玉の魅力のひとつ。ぜひお気に入りの「マイ味噌玉」を見つけてみてください。

↑ 人参の葉っぱを使った味噌玉。人参の葉はさっと茹でてあく抜きしたもの刻んで使っています。味噌玉に混ぜこむと、野菜もたっぷり摂れていいですね。

 

ちなみに私自身は「薬膳×おばあちゃんの知恵=養生ごはん」というテーマで食の活動しており、「味噌玉づくり」のイベントをこれまでに何度か開催しています。

この2枚の写真は、夜のカフェで開催した「味噌づくりworkshop」(写真が暗くてゴメンナサイ……)。それぞれの好みに合わせて味噌玉を手作りし、完成したマイ味噌汁を飲みながら「美味しい」「ほっとする~」という歓声が響いていたことを思い出します。幅広い年代の男性女性にご参加いただき、味噌が世代や性別を選わず愛されているなと実感しました!

↑お弁当に添える時は、ラップにくるんでおくと持ち運びにも便利です。職場や屋外などで温かい味噌汁が飲めるのはとっても幸せ!

 

味噌のパワーがギュッと詰まった「味噌玉」。知れば知るほど、話せば話すほどに、味噌玉のことが好きになりそうです。

戦国武将も愛した味噌玉を食べて、どうぞ元気にお過ごしくださいね。

 

書いた人

バックパッカー時代に世界35カ国を旅したことがきっかけで、日本文化に関心を持つ。大学卒業後、まちづくりの仕事に10年以上関わるなかで食の大切さを再確認し、「養生ふうど」を立ち上げる。現在は、郷土料理をのこす・つくる・伝える活動をしている。好奇心が旺盛だが、おっちょこちょい。主な資格は、国際薬膳師と登録ランドスケープアーキテクト(RLA)。https://yojofudo.com/