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2019.11.12

パイプオルガンの魅力とは?初めての人も都内で楽しめる演奏会・コンサート5選まとめ

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パイプオルガンの生音を聴いたことがありますか。
体内の細胞一つ一つまでに響き渡っているのを感じる程、荘厳で美しい音。

パイプオルガンと言えば、教会を思い浮かべる方も多いでしょうが、都内には、クラシック音楽のコンサートホールなどにも立派なパイプオルガンが備えられているところもあります。
そして、嬉しいことに、無料であったり、非常に良心的な価格でパイプオルガンの素晴らしい生演奏を気軽に楽しむことができる演奏会も開かれています。
ご存知でしたか?

今回は、そんなおすすめスポット厳選5か所をパイプオルガンの魅力と共にご紹介いたします。

パイプオルガンの魅力

「宇宙の調和」を表すために発明された楽器

倍音(ハーモニクス)の魔法を生み出すパイプオルガンの音は、宇宙の調和を表す為に発明された楽器でもあると言われています。

倍音とは、簡単に言ってしまうと、基本となる音、すなわち、基音に対して、音の高さ(音の周波数)が倍になっている音のこと。
パイプオルガンは、その構造上、豊かな倍音を生み出せる楽器。
豊かな倍音とは、鳴らしたい音に対して、他の倍音も多く含んで鳴っているということです。


目的の音を弾いた際に、偶然に含んでしまうような倍音も、偶然ではなく、可能な限り意図した倍音も混ぜて一緒に奏でることができるのが、パイプオルガンという楽器なのです。
宇宙にある無限の数の音。私たちも含めたすべての個々の存在やエネルギーが発している周波数、すなわち、音の波が共鳴しあって生まれるハーモニーが「倍音」なのです。
つまり、宇宙の調和の音は、倍音ということもできます。
宇宙の調和を様々な楽曲を通して感じられるのも、この楽器の大きな魅力の1つです。

西洋では、宗教的な儀式に使用されることが多い楽器ですが、日本ではクラシック音楽を演奏できる施設と共に発展してきている楽器。
クラシック音楽自体も元々は、教会に結びついた音楽でもあったので、そういう点では共通していますが、宗教という狭いくくりではなく、もっと広く、深く、真理に基づいた意味での「宇宙の調和」を表現するために開発されて誕生した楽器であるという点に大きな価値があると私は思います。

倍音の魔法を生み出すパイプオルガン


パイプオルガンは、人の声に近い楽器としても知られている繊細な楽器です。
演奏される建物の構造によっても、同じパイプオルガンでも聞こえ方が顕著に異なります。パイプオルガンの多くが教会にある西洋では、大昔からパイプオルガンの響き方も計算して、この楽器を中心に教会が建てられていますので、こうした教会はパイプオルガンのために設計された建物と言っても過言ではありません。

さらに、パイプオルガンは、奏者の弾き方や力量によっても倍音の含みが変わってきますし、演奏する楽曲によってもその倍音の美しさを最大限に引き出せるかが分かれるところ。
西洋で発祥したパイプオルガンが大きく発展していった時代には、クラシック音楽の名曲も数多く誕生しています。クラシックの名曲を生み出した作曲家の多くが、パイプオルガンの名手でもあったと言われていますが、なるほど納得できます。

パイプオルガンの音が体内の細胞1つ1つに響き渡るほど荘厳に感じるのは、この楽器が持つ倍音の美しさ、波動の素晴らしさにあるのでしょう。
癒し効果に優れている倍音は、愛そのものに満ち溢れています。

パイプオルガンの発展の歴史

西洋では教会を中心に発展していった楽器

パイプオルガンの起源となるオルガンの原型は、西洋社会で紀元前3世紀には既に存在していました。その後、教会を中心に宗教儀式に結びついた楽器として発展。13世紀には、教会を新設するたびにパイプオルガンも設置されたほど、この楽器は教会と切っても切り離せない楽器として、人々にも親しまれるようになりました。
16世紀に入ると、イタリアを中心に人の声に近い楽器として発展していき、17世紀から18世紀にはドイツを中心に低音が効いた荘厳な音質の巨大化されていったパイプオルガンへと発展。19世紀に入ると、フランスを中心に1台で交響曲の様々な楽器も演奏できる多機能で多彩な音が出るパイプオルガンへと進化・発展を遂げ、現在に至ります。

また、パイプオルガンには様々な設計があり、製作された時代が違えば機能も音色も違いますし、地域によって個々に異なる設計で独自発展してきた楽器の1つであるという点も、非常に興味深いです。

日本では文明開化と共に登場!


一方、日本では、パイプオルガンが入ってきたのは19世紀と西洋社会に比べればかなり遅く、きっかけは文明開化でした。しかし、日本では、西洋社会の様に教会と共に発展した楽器ではなく、クラシック音楽を演奏できる施設と共に発展してきました。その証拠に、実際に日本でパイプオルガンが様々な場所に設置されて普及するようになったのは、昭和50(1975)年以降のことです。

個性的なものが多い日本のパイプオルガン

この時期から、日本の文化施設も数々と建設されるようになり、クラシック音楽を演奏できる劇場やホールなどといった施設を中心に、その施設の顔にもなるような個性的な様々なパイプオルガンが設置されるようになりました。
こうした理由からも、日本のパイプオルガンは、西洋社会の教会にあるパイプオルガンに比べて、もっと自由さに溢れた設計となっているものが多いのも特徴です。

維持費も高額なパイプオルガン


パイプオルガンの値段は1台、どのくらいかご存知ですか。
大きさや機能によっても異なりますが、日本にあるパイプオルガンは、最低でも1台1000万円以上、高いものでは数億円もする高額な楽器です。
さらに、年間のメンテナンス費用も高額なので、維持費や維持運営も大変な楽器なんです。

そんな中、東京都内では、無料だったり、非常に良心的な価格でパイプオルガンの素晴らしい音を聴かせていただける演奏会も開かれています。
こうした演奏会は、運営側にしては楽なことではないのですが、聴かせていただく側としては非常にありがたい機会です。

都内でおすすめの気軽に楽しめるパイプオルガンの生演奏会5選

1.サントリーホール「オルガン プロムナードコンサート」


日本のクラシックコンサートホールの殿堂にもなっているサントリーホールの大ホールでは、「オルガン プロムナードコンサート」と題されたパイプオルガンの演奏会が木曜日のランチタイムに月1回行われています。このコンサートは、1991年10月から開始された長い歴史があるものです。

世界最大級のパイプオルガンの音に酔いしれる


サントリーホールの大ホールの正面には、世界でも最大級と言われているパイプオルガンがあります。
オーストリアのリーガー社製で、パイプの数が5898本もあるこの美しいパイプオルガンは、座席のどの位置からも見え、音も非常に素晴らしいいので、心底酔いしれることがでます。
教会では、大抵、正面の祭壇と向かい合うように教会後ろにあるので、演奏中の姿やパイプオルガンが座席から見えることはありませんが、目で見ても楽しめるのも音楽施設ならではの醍醐味の1つです。

世界一美しい音の響きにこだわってに完成した施設

世界一美しい音の響きを生み出すコンサート専用ホールがコンセプトになって誕生したこの施設は、音楽家だけではなく、座席で演奏を聴く観客にとっても最良のホールになるように、様々な視点からの意見を幅広く採用して完成した施設です。その甲斐あって、減衰する繊細な音の響きまで豊かに感じ取れる素晴らしい音響設備となっています。
ぜひ、1度は訪れて、素晴らしい音を身体全体で心身共に浴びてみてほしいです。

なお、就学前の小さなお子様連れの方は、小ホールにて、スクリーンを通して鑑賞となってしまいますので、この点にはあらかじめご留意ください。

サントリーホールの「オルガン プロムナードコンサート」の基本情報

所在地:東京都港区赤坂1-13-1
TEL:03-3505-1001(代表)
料金:無料(事前予約なども一切不要)
席数数:2006席
開催時間:12:15~12:45
コンサートの日程は、コチラ
アクセス方法は、コチラ

2.東京オペラシティ「ヴィジュアル・オルガンコンサート」


東京オペラシティのコンサートホールでは、「ヴィジュアル・オルガンコンサート」と題されたパイプオルガンの演奏会が金曜日のランチタイムに月1回行われています。
この会場には、観客席から見えるステージ正面中央の2階にパイプオルガンがあります。パイプの数が3826本もある立派なサイズのこのパイプオルガンは、スイスの有名オルガンビルダーのクーン社のもので、1997年3月に設置されました。

ステージ上のスクリーンで奏者の様子も楽しめる


このオルガンコンサートがユニークな点は、通常、観客に背を向けて演奏することが多い奏者の演奏風景が拡大されてステージ中央のスクリーンに映し出される点です。普段、間近で見ることができない演奏者の手元や足元の動きなども楽しめて、見ごたえも聴きごたえも満点です。

東京オペラシティ「ヴィジュアル・オルガンコンサート」の基本情報

所在地:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー3F
TEL:03-5353-0788
料金:無料(事前予約なども一切不要)
席数数:1632席
開催時間:11:45~12:30
コンサートの日程は、コチラ
アクセス方法は、コチラ

3.築地本願寺「ランチタイムコンサート」

「お寺」でパイプオルガン演奏が聴ける!

築地本願寺の本堂では、「ランチタイムコンサート」と題されたパイプオルガンの演奏会が、毎月最終金曜日のランチタイムに行われています。
宗教や宗派に関係なく、誰でも楽しめる演奏会です。
築地場外市場の隣に位置していることもあり、海外からの観光客も多く、人気があります。

このお寺にあるパイプオルガンは、1970年に寄進されたパイプの数が2000本もある大型のドイツ製のものです。

また、本堂には畳ではなく、ホールにある様な椅子がずらりと並んでいます。正座が苦手な方でものんびりと椅子に座って、お寺でパイプオルガン演奏が聴けるという珍しい体験も魅力です。

国の重要文化財にもなっている本堂


会場となるこのお寺の本堂は、寺院建築の第一人者である伊東忠太氏によって設計されたもので、お寺としては日本では他に例を見ないような斬新で美しいインド様式のものとなっています。
一般的なお寺とは異なるので、建築物としても見どころが満載。
この建築物は、石塀、三門門柱と共に国の重要文化財に指定されていますので、こうした点にも、是非、目をとめてみてください。

築地本願寺「ランチタイムコンサート」の基本情報

所在地:東京都中央区築地3-15-1
TEL:03-3541-1131(代表)
料金:無料(事前予約なども一切不要)
開催時間:12時10分~(法話)
12時20分~12時50分(演奏)
コンサートの日程は、コチラ
アクセス方法は、コチラ

4.東京カテドラル聖マリア大聖堂「オルガン・メディテーション」


東京カテドラル聖マリア大聖堂では、「オルガン・メディテーション ~晩の祈りとオルガン音楽による瞑想~」と題されたパイプオルガンの演奏会が、毎月第2金曜日の午後7時から行われています。
宗教や宗派に関係なく、パイプオルガンの演奏を誰でも聴ける演奏会です。

教会用としては日本最大のパイプオルガンの音は荘厳


この教会には、3000本ものパイプがあり、教会用としては日本最大サイズのパイプオルガン「マショーニ・オルガンOp.1165」があります。2004年にこの教会に設置されたこのパイプオルガンは、座席の後方部中央のバルコニーに配置されています。

世界的建築家の丹下健三氏がデザインした建物も見逃せない


教会とは思えない斬新なデザインのこの建物は、世界的建築家の丹下健三氏によってデザインされた建物好きの方にもおすすめの素晴らしい建築物。

この斬新なデザインの教会は、上空から見ると十字架の形をしており、建物内部からも天井を見上げるとトップライトが差し込む部分が十字架になっているので、日中は光る巨大な十字架が頭上に輝きます。
また、さらに教会中央には16メートルもの高さの十字架があり、その背景のステンドグラスから差し込むゴールドの光も印象的。

教会の内壁はコンクリート打ちっぱなしとなっているので、2つの十字架に加えて日中の光の美しさが非常に生える荘厳な空間となっており、昼と夜の空間が異なるのも魅力です。

東京カテドラル聖マリア大聖堂「オルガン・メディテーション」の基本情報

所在地:東京都文京区関口3-16-15
TEL:03-3941-3029
料金:基本的には無料ですが、任意の金額を募金箱へ寄付するスタイルとなっています。
席数数:600席の座席と2,000人分の立ち見スペースあり
開催時間:19:00~19:50(前半と後半の演奏の間に神父の説教あり)
コンサートの日程は、コチラ
アクセス方法は、コチラ

5.東京芸術劇場「パイプオルガン・コンサート」

ランチタイムとナイトタイムの2種類があり!

東京芸術劇場のコンサートホールで開催されている「パイプオルガン・コンサート」は、有料ですが、ランチタイム(500円)とナイトタイム(1000円)に開催されているものの2種類があり、どちらも良心的な価格となっています。
演奏時間は、ランチタイムが30分間、ナイトタイムが60分間です。
中でも、美しく幻想的な照明演出もあるナイトタイムのコンサートが特におすすめで、仕事帰りにも立ち寄れる時間帯に開催されているのも嬉しいポイント。

世界でも例が無い回転する世界最大級のパイプオルガン!


ステージ中央のバルコニーにあるこの劇場の顔にもなっているフランス製のパイプオルガンは、9000本ほどものパイプの数があり世界最大級のサイズ。

美しく個性的なデザインも魅力のこのパイプオルガンは、「バロック」、「ルネサンス」、「モダン」の3種類の異なる時代の音色のオルガンが組み込まれています。

パイプは2面の構造となっているので、曲目によって異なるオルガンで演奏できることはもちろんのこと、180度回転して、外観も含めて異なる別のパイプオルガンの演奏も楽しめるので、ビジュアル的にも楽しめる点もおすすめポイント。
写真上はシンフォニック様式の面、写真下はルネサンスとバロック様式の面です。

東京芸術劇場「パイプオルガン・コンサート」の基本情報

所在地:東京都豊島区西池袋1-8-1
TEL:03-5391-2111
料金:ランチタイムコンサート500円、ナイトタイムコンサート1000円
(前売りチケットの購入が必要)
座席数:1999席
開催時間:ランチタイムコンサート11:15開場、12:15開演、12:45終演、
ナイトタイムコンサート 18:30ロビー開場、19:30開演、20:30終演
コンサートの日程:ランチタイムコンサート日程ナイトタイムコンサート日程
アクセス方法は、コチラ

書いた人

猫と旅が大好きな、音楽家、創作家、渡り鳥、遊牧民。7年前、ノラの子猫に出会い、人生初、猫のいる生活がスタート。以来、自分の人生価値観が大きく変わる。愛猫を連れ、車旅を楽しむも、天才的な方向音痴っぷりを毎度発揮。愛猫のテレパシーと自分の直感だけを頼りに今日も前へ進む。