神話のような絶景が広がる出雲から、美しい民藝の器と出合える松江まで、ゆるりと散策する旅に出かけませんか?和樂2017年8・9月号の『出雲・松江の旅』特集で訪れたスポットの中から、温かな手仕事が並ぶ店やコーヒーの名店をピックアップ。本誌とは違う視点で紹介します。
出雲
出雲民藝館
「出西窯」「湯町窯」「袖師窯」「森山窯」など島根の窯元の陶磁器はもちろんのこと、大分の小鹿田焼や沖縄のやちむん(焼物)から現代の作家ものまで、目移りしすぎて大変です。民藝ブームのいま、全国に手仕事の器を扱う店は多いけれど、この品ぞろえと質の高さはなんだか凄い。特に山陰のものは、地元ならではの新作や東京では見られない希少品も多くてぐっときます。衝動買いもやむなし!
知る人ぞ知る民藝&器買いの聖地『出雲民藝館』 詳しくはこちら!
來間屋生姜糖本舗
優しい甘さとキリッとした生姜の辛みが特徴の「生姜糖」。口に入れるとサラサラ溶けて、新鮮な生姜の香りが口いっぱいに広がります。コーヒーにも抹茶にも合うし、紅茶にひとかけら落とすのもたまらなくおいしい――この銘菓をつくっているのが、正徳5(1715)年創業の老舗「來間屋生姜糖本舗」。スサノヲノミコトがヤマタノオロチを退治した伝説が伝わる斐伊川の近くで、300年前から店を構えています。
さらさらホロホロ、甘くて辛い!?300年続く銘菓『來間屋生姜糖本舗』 詳しくはこちら!
STRINGS COFFEE ROASTERS
入口は自家焙煎した豆の販売コーナー、店の奥は淹れたてのコーヒーを味わえるカフェになっています。シンプルな外観もガラスのファサードも素敵ですが、実際に入ってみるともっとカッコいい!民藝の陶器とポップな人形が並べて飾ってあったり、素敵な花器にさりげなく花が生けてあったり、とてもセンスがいいのです。そんな空間にうっとりしつつ、まずはカウンター席に座ってコーヒーを一杯。
民藝の器で自家焙煎のコーヒーはいかが?出雲旅のひとやすみは『STRINGS COFFEE ROASTERS』 詳しくはこちら!
松江
LITTLE COURT COFFEE
「がぶがぶ飲めて毎日でも楽しめるコーヒーを」と店主・長谷川卓さんが話すオリジナルブレンド『ヒビノカオリ』をいただく…と、うわぁ、なんだろうこのおいしさ!苦みも甘味も酸味もしっかりあるのに、すっきりと曇りがなくて気持ちのいい味わいです。この「曇りのないおいしさ」を支えているのは、店頭でほぼ毎日行われているハンドピック。ハンドピックとは、生豆の中から欠けた豆を手作業で取り除き、良質な豆だけを選び抜くこと。リトル コート コーヒーでは手間がかかるこの作業を、焙煎する前と後の2度にわたって行っているそうです。
松江はコーヒーの街でした!川沿いの小さな店『LITTLE COURT COFFEE』 詳しくはこちら!
objects
器好きの間でジワジワ評判になり、いまや全国からこの店をめざして松江を旅する人も少なくないという人気店に。店内には、『森山窯』『白磁工房』『湯町窯』『出西窯』など島根の窯元で焼かれる陶磁器のほか、益子の陶器や岡山のガラスなど、日本各地の作り手による手仕事も多数並んでいます。また、沖縄のマカイ(碗)や長崎の波佐見焼など、古い器が並ぶコーナーも充実。
全国の器好きが目指す手仕事の名店『objects』詳しくはこちら!
大社の祝凧 高橋
祝凧づくりを継承している日本唯一の祝凧職人が高橋日出美さん。出雲大社のすぐ近くにある『大社の祝凧 高橋』を訪ねたところ、実際につくる様子を見せてくださいました。工房には、細く丈夫な竹ひごでつくられた骨組みに和紙を貼ったものがいくつも。もちろんすべて手作りです。現在は、20cmほどの小さいものから1mを超えるものまで全7サイズつくっていて、大きいものは完成までに4~5日かかるそうです。
出雲大社の町に伝わる手仕事『大社の祝凧 高橋』詳しくはこちら!
松江MAP
illustration/Chie