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2025.06.05

あの欲も!この欲も!狛犬が全部受け止める、長崎・諏訪神社の驚きの御利益とは?

この記事を書いた人

欲望って、挙げたらキリがない。
ホント、底なし沼よりもたちが悪い。
そう思うのは、やっぱりダイソンだけなのか。

だって。
「もし願いが叶うなら」って想像したら。
寿限無(じゅげむ)のように、あれもこれも際限なく出てきて永遠に終わらない。

例えば。
ついつい手を伸ばしてしまうスイーツをやめたいし。
で、節約したお金を貯めて、さらにお金を稼ぎたいし。
ほんでもって、小説やらノンフィクションやら本も書きたいし。
でも、仕事ばっかりじゃなくて、心だって癒されたいし。

そんな都合よすぎるバラバラな願い事が、である。
もし1つの神社だけで、その御利益がいただけるとすれば、どうだろうか。

是非ともお参りしたいとは思わないかい?

そんな夢のような神社が。
じつは、あるんです。
それも、私の住んでいるこの九州に。

ということで。
今回は、欲深き人間におススメの夢のような神社をご紹介。
その名も長崎県にある「鎮西大社 諏訪神社」である。

ちなみに、今回だけは。
ガイドブック並みに写真多めの記事となることをご了承いただきたい。
もはやカメラマンが主役というほどに。

遠方の方も、これで一緒に御利益がいただけることを祈りつつ。
それでは、早速、ご案内しよう。

※冒頭の画像は「諏訪神社の立ち狛犬」です
※本記事の写真は、すべて「諏訪神社」に許可を得て撮影しています

長崎くんちで有名な諏訪神社の御祭神は?

諏訪神社といえば。
全国的に名の知れた日本三大祭の1つ「長崎くんち」が有名だ。
ただ、地元民が思い浮かべるのは「大門」までの長い道のり。
駐車場から向かう場合は参道の途中で合流するルートで、じつは諏訪神社の本来の入口はもっと下、平地にある。

長崎電気鉄道(市電)の「諏訪神社駅」を降りてすぐ。
大きな交差点の向こう側に見えるのが、諏訪神社の「一の鳥居」だ。
そこから「大門」までは5つの鳥居をくぐり、さらに「長坂」の石段を上がらなければならない。

諏訪神社の「四の鳥居」

さて、コチラの諏訪神社。
一体、どのような神社なのだろうか。

当神社のホームページによると。
諏訪神社は「鎮西大社」と呼ばれ、長崎の総氏神様なのだとか。

長崎は、戦国時代にイエズス会の教会領となり、かつて長崎市内にまつられていた諏訪・森崎・住吉の三社を、寛永2年(1625)に初代宮司青木賢清によって、西山郷円山(現在の松森神社の地)に再興、長崎の産土神としたのが始まりです。
(諏訪神社のホームページより一部抜粋)

なるほど。
御祭神は主祭神として「諏訪大神」がお祀りされている。その御利益は「厄除け」だ。他にも、縁結びの御利益がある「森崎大神」、海上安全や大漁満足などの御利益がある「住吉大神」も御祭神としてお祀りされているとのこと。

──「厄除け」「縁結び」「海上守護」

うん?
諏訪神社からいただける御利益が。
どうにもダイソンの欲望と合致していないように思うのは気のせいか。

いや、早まるでない。
じつは、諏訪神社にはとっておきの隠し玉(言い方が世俗的で申し訳ない)、御利益満載といわれる、とある「道」が用意されているのだ。

その名も「狛犬(こまいぬ)散歩道」(諏訪神社のホームページより)。

狛犬……って?
あの神社の門前の……?
ただ、正直困惑する。だって、狛犬に御利益があるなどとは、あまり聞いたことがないのだが。

諏訪神社境内の「祖霊社」の狛犬

そもそも狛犬とは。
漢字で「高麗犬」とも書く通り、一説には高麗より伝来したといわれる獅子に似た獣像を指すようだ。寺社の守護、魔除けなどの目的で門前に置かれることが多く、基本的には向かい合わせに「阿吽(あうん)」の一対が並んでいる。

実際、諏訪神社の「五の鳥居」の前にもご立派な狛犬の姿が。

諏訪神社の「大狛犬」

そんな門前に置かれることの多い「狛犬」が、である。
諏訪神社に限っては、境内の随所でお目にかかれるなんて。
これは、しっかりとお参りするしかあるまい。ということで、早速、諏訪神社の「狛犬散歩道」へと向かうことに。

立ち狛犬・逆立ち狛犬

それにしても、1つ疑問が。
どうして、諏訪神社には「狛犬」が多く置かれているのだろうか。

お話をうかがったのは、諏訪神社の権禰宜(ごんねぎ)の植木貴弥氏。

諏訪神社の権禰宜の植木貴弥氏

「以前にいらっしゃった諏訪神社の宮司さん、3代か4代前の上杉宮司さんがですね、狛犬がとにかくお好きだったみたいで。もちろんずっと当神社の境内に置かれていた狛犬もあるんですけど、各地から持ってきたりと、わざわざ集められた狛犬もあるみたいで」と植木氏。

なるほど。
そういう経緯で諏訪神社に狛犬が集まったのか。

なお、御利益の明記された狛犬もいれば、キャッチーな姿の狛犬もいて、なかなか見るだけでも楽しめるとのこと。あまりの狛犬の多さに、探すのも一苦労。参拝客に場所を聞かれることもあるようだ。

というコトで、今回は、御利益をいただくだけでなく。
諏訪神社の境内にある様々な狛犬の姿もご紹介していこう。

まず、諏訪神社の「五の鳥居」をくぐると 左手に見えてくるのが「祓戸(はらへど)神社」だ。

「祓戸神社」

なるほど。
祓戸神社の場所が諏訪神社の「五の鳥居」と「大門」の間にあるのも、頷ける。
諏訪神社の拝殿にお参りする前に、ここで己の罪と穢(けが)れを祓い落としなさいとのコトのようだ。

神妙な面持ちで神前に近付くと。
両脇に不思議なポージングの狛犬が。

「祓戸神社」の境内に狛犬の姿が

まさに、これまでの狛犬のイメージが吹き飛ぶ姿だ。
まず、右手に「逆立ち狛犬」。
その名の通りである。

逆立ち狛犬(祓戸神社の境内)

そして左手が「立ち狛犬」。
やはり、その名の通りである。

立ち狛犬(祓戸神社の境内)

なかなかお目にかかれないクセ強めの狛犬たち。
それにしても、私好みな「立ち狛犬」。
目を合わせてみる。
金色の目にエキゾチックな顔立ち。
「よくきたな」的なたたずまいに、ちょっと一目惚れである。

おっと。すっかりこの神社での目的を忘れてしまった。
これまでの己の罪穢れを祓うべく、我が人生を振り返る。
それにしても、寿限無などの比ではない。確実に日が暮れそうな勢いだ。

いかん。
断腸の思いで、全ての罪穢れを一切合切ひとまとめにして。
深く懺悔した。

諏訪神社の長坂

さあ、それでは。
いざ、諏訪神社の大門へ。
長坂の石段を上っていく。

止め事成就の狛犬

一礼して大門をくぐると、ここにも狛犬の姿が。

拝殿に向かう階段前の狛犬

さて。
拝殿でお参りしたのち。
左手にある道を進むとすぐに、案内板と共に一対の狛犬が見えてきた。
でも、何やら様子が違う。

遠目では、前足に包帯らしきものが巻かれている様にも見えるのだが。
一体、何なのか。

案内板には「止(と)め事成就の狛犬」とある。

止め事成就の狛犬

社伝によれば、「止め事に霊験著しい狛犬あり」とあります。
(諏訪神社の案内板より一部抜粋)

止め事。
つまり、止めたくても止められない、そんな悩み事に御利益があるというコトか。

あー。
確かに「スイーツがやめられない」とぼやく、2日前の情けない自分を思い出した。
我が悩みにドンピシャではないか。

他にも、コチラの狛犬に対しては。
昔から、家出しない、借金しない、禁煙禁酒などの願い事をしていたようだ。
なかには「受験のすべり止め」というのもある。なるほど。すべり止めとは、考えたものだ。

ちなみに、包帯と思っていたものは……?
「こよりです。巫女さんが作って、案内板の下の箱に補充してます」と植木氏。

なんでも、こよりを「止め事成就の狛犬」の足に巻いて祈願する信仰があるという。

「止め事成就の狛犬」に巻かれたこより

もう、ぐるぐる巻きである。
止めたいという強い気持ち……執念のようなものを感じなくもない。
前足だけでなく、胴体や、首にまで巻かれたものもある。

なかなか止めたくても止められない、そんなクセや習慣は誰にだってある。
意志が弱いと言われればそれまでなのだが。
ここは、少しだけ視点を変えてみる。
情けないと、自分を憐れむのではなく。
潔く、正々堂々と「他力本願」をキメ込むのは、いかがだろうか。

もちろん、ダイソンもスイーツ断ちできるよう、参拝。
我が念を込めて、こよりを巻かせていただいたのである。

高麗犬(こまいぬ)の井戸

次に、拝殿に沿って左手に折れると。
真正面に見えるは、なかなか渋い感じの狛犬。どうやら単体のようだ。

高麗犬の井戸

案内板によると。
コチラは、江戸時代より「高麗犬の井戸」と呼ばれていたという。
どんな旱魃(かんばつ)でも水が枯れることがなく、「甘く香り漂う清浄水」が湧き出ていたと史書に記されているのだとか。この湧き出る水は安産にも効き目があり、さらにはお金を洗えば倍に増えるとの信仰もあるようだ。

狛犬のくわえた竹筒より、際限なく流れ続ける有難い水。
別名「銭洗いの狛犬」ともいわれるそうだ。

よく見ると、後ろには小さな祠がある。
「神社の境内に井戸が数ヵ所ありまして、そこに旗を立てるんです。そして毎年7月5日に「井神祭(いじんさい)」というお祭りをします。ここで祭壇を組んで、水神様に日頃の感謝を伝えるというお祭りです」と植木氏。

高麗犬の井戸の背後には「水神様」の祠がある

水道の蛇口をひねれば、当然に水が出る。
そんな現代において、昔、井戸がどれほど大事であったかは想像できないだろう。
人々の生活にとって、まさしくかけがえのないもの。そのため、水神様を丁寧にお祀りし、日頃の感謝を伝える。そんな風習が諏訪神社では「祭り」として残り、今なお引き継がれているのだ。

なお、案内板の下には、小さいざるが数個、置かれていた。
「このざるにお金を入れて洗うんです。以前、さだまさしさんが1万円札を洗っているのをご紹介していただいて。それを見て、皆さん、お札を洗うようになったそうなんですよね」とのこと。

至れり尽くせりである。
にしても、ダイソン、痛恨の極み。
取材時は身軽をモットーにしているため。
この大事な時にまさかの小銭しか持ち合わせておらず。
それも、せめて500円玉ならともかく、掌(てのひら)にあるのは、なぜか50円玉。

いや、金額ではない。
気持ちなのだと言い聞かせて。
参拝後、願いを込めて50円玉を洗ったのである。

願掛け狛犬

さて、お次はと周辺を見回すと。
右手に隠し通路のようなものを発見。

拝殿の裏を通り抜ける通路

どうやら近道のようだ。
拝殿の裏を通り抜け、拝殿の右側に出られるとのこと。
真っ暗な通路を抜けた先に見えたのがコチラ。
「願掛け狛犬」である。

願掛け狛犬

この「願掛け狛犬」の起源は、なんとも長崎らしい。
というのも「遊女」の願い事が起源とされているからだ。

江戸時代、長崎には「江戸の吉原」「京都の島原」と肩を並べるほど、名の通った「丸山遊郭」があった。
確かに、長崎の歴史には遊女あり。そう思えるほど、様々な場面で「遊女」らの名残りと出会うコトが多い。
この「願掛け狛犬」もその1つ。

江戸時代長崎の遊女街に登楼した船員に、翌日海が荒れて出航できず、もう一晩泊まって貰うことを願って、遊女が狛犬を海の方向に廻して願を掛けた故実から「願掛け狛犬」と呼ばれ、信仰をあつめています。
(諏訪神社の案内板より一部抜粋)

なるほど。
遊女からすれば切実な願いだったのだろう。
それにしても、気になるのは「狛犬を海の方向に廻して」という部分。
まさか、廻せるのか?

手を合わせてから、そっと近づく。
触れていいものかどうかと迷ったが、案内板に「廻して祈念して下さい」とあるので、問題ないと判断した。

それにしても、どこをどう廻すのか。
その説明がなく、困り果てる。
狛犬の像を観察すること数分。どうやら、台座に隙があるようだ。

台座が回るようになっている「願掛け狛犬」

試しに、そっと円盤のような台座を両手で包み込み、少しズラす。

すると、ゴゴッという鈍い音がして。
確かに、動く。

そのままゆっくりと円盤の台座を廻していく。
自分の願い事を心の中で何度も唱える。
本が書けますように、本が書けますように。
それに伴って、台座の上の狛犬が360度回転していく。

2周ほどしたところで、狛犬の顔を正面に戻して参拝終了。
なお、後ろの祠には、財宝を恵み、音楽と方位を司る弁財天尊がお祀りされているという。

「弁財天尊」が祀られている祠

もちろん、弁財天尊様にもしっかりと手を合わせる。
なかなかお目にかかれない珍しい狛犬に後ろ髪を引かれつつ、あとにした。

トゲ抜き狛犬

拝殿に沿って進んでいく中で。
今更ながら、ようやく「狛犬散歩道」の位置を把握した。
どうやら、この散歩道は、諏訪神社の拝殿の裏側に存在するようだ。
私の場合、左手から回ってきたが、じつは右手からも同じように回るコトが可能。どちらからでも拝殿の裏側を通れる構造となっている。

さて、道を進むと左手に長い石段がある。
「玉園稲荷神社」へ向かう石段のようだ。
その前を通り過ぎると、ようやく狛犬のシルエットが見えた。

コチラが「トゲ抜き狛犬」である。

「トゲ抜き狛犬」の横顔

それにしても、トゲを抜くって。
一体、どういうコトだ?

手にトゲが刺さっているレアな人向けなのかと思えば。
諏訪神社の案内板を見て、吹き出してしまった。

「トゲ抜き狛犬」の案内板

まさに「心」のトゲとは。
全く想像していなかった。
斜め上への展開である。

それにも増して気になるのは。
いきなり「この狛犬の顔を見て下さい。スゴイでしょう」という案内文。

指示された通り、じっくりと「トゲ抜き狛犬」の顔を拝見する。
諏訪神社のホームページには、「とても怖い顔」となっているのだが。
私にはどう見ても笑っているようにしか見えない。
皆さんは、いかがだろうか。

「トゲ抜き狛犬」の正面

コチラの狛犬の口に。
ローマの「サンタ・マリア・イン・コスメディン教会」の柱にある「真実の口」よろしく、手を入れるようだ。

心に突き刺さったトゲか……。
なんだか年を重ねるにつれ、刺さったトゲの痛みに鈍感になったように思う。
恐らく若い頃は、小さな1本のトゲが刺さっただけでも大騒ぎしていたのだろう。今は、ささくれ立った表面にも気付かない。いや、気付いても見て見ぬフリができるようになったのだ。それはいいコトなのか、悪いコトなのか。正直、自分でもよく分からない。

ただ、せっかくのこの機会を逃すのは勿体ない。
自分の心と向き合って、大丈夫なのかと問いかけてみる。
何重にもカギをかけて奥底にしまった「自分の心」をケアできる、滅多にない機会なのだろう。

静かに目を閉じて。
ダイソン、心のトゲ、無事抜きました。

カッパ狛犬

さて、順調に狛犬散歩道を進んできたのだが。
まさかここに来て「カッパ狛犬」が見つからない。

聞くと「玉園稲荷神社」に向かうまでの道の途中にあるという。
先ほど通り過ぎた石段の先が、件の神社だとか。

玉園稲荷神社に通じる石段

諏訪神社の境内自体が、かなり高台にあるのだが。
さらにその上に、神社があるとは思いもしなかった。

えっちらおっちら、石段を上る。
着いた右手には真っ赤な鳥居が続いているが、そちらには入らず。石段を上り切った真正面にお社が見えた。
コチラが「蛭子社(ひるこしゃ)」だ。

蛭子社

諏訪神社の案内板によると。
御祭神の「蛭子の神」は、水に関わる願い事成就の神として信仰されているとのこと。
単に「水」といっても、その範囲はかなり広い。河川の水上安全から、子どもの水泳上達、水子守護など、「水」に関わる願い事であれば受け入れられるようだ。

そんな蛭子社の前に置かれている一対の狛犬。
コチラが「カッパ狛犬」だという。

カッパ狛犬

なるほど。
名前の通り、狛犬の頭が平らになっている。
恐らくカッパの皿なのだろう。

おや。
改めて、驚いた。
顔つきが、かなり異国風である。
「カッパ狛犬」という名を知らなければ、日本にキリスト教を伝来した、かのフランシスコ・ザビエル風の狛犬かと勘違いしてしまいそうである。

それにしても、なぜカッパなのか。
じつは、池があるのだが、コチラの池「川伯(かわはく)の井戸」と呼ばれているという。「川伯」とはカッパを指し、蛭子の神の使いなのだとか。そのため、狛犬の姿がカッパなのだそうだ。

ダイソン、特に「水」関連の願い事はないのだが。
これから来る夏に向けて、日本各地で水にまつわる災害や事故が起こらぬようにと祈念し参拝。

これにて「狛犬散歩道」の取材も終了した。

取材後記

今回の取材後記では、番外編の狛犬たちをまとめて一気にご紹介したい。
とことん最後まで、写真にこだわる記事にするつもりである。

まず、先ほどの「玉園稲荷神社」のお社に続く鳥居の途中にあるのが、コチラの「石造狛犬」だ。

石造狛犬

その名の通り、石造りの狛犬。
案内板によると、諏訪神社のご鎮座以来置かれているとされ、相当古い狛犬のようだ。

長い歳月を経て風化が進んでいる。
特徴は独特の「たてがみ」。
また、口の中に玉が入っており、中国の影響を受けているとのこと。

石造狛犬

さて、お次はというと。
少し巻き戻しして。
諏訪神社の大門をくぐり抜けるところでのこと。

諏訪神社の大門

じつは、その大門の裏側。
つまり、大門を通り抜けてすぐ振り返ると、両サイドの下部に格子戸を発見。
木と木の間から見えたのは。
コチラの狛犬。

大門の中にある狛犬

陶器製の狛犬のようだ。
なかなかコチラの狛犬を見つけるのは至難の業。事前情報がないと、素通りしてしまいそうである。

顔つきは非常に柔和。
「獅子」というよりは、どちらかというと「犬」に近いようで可愛らしい。
こんな素敵な狛犬に巡り会えただけでも役得だろう。

さらにさらに。
もう少し巻き戻しして。
今度は、大門よりもさらに前。長坂を上らずに左手に進むと見えるのが、大きな楠(くすのき)だ。
その名も「病魔退散大楠」である。

病魔退散大楠

創建された当時の絵図にコチラの大楠が描かれていることから、どうやら樹齢は5、600年を超えるのではないかとのこと。この幹の中には空洞の部分があり、薬の神といわれる「少彦名命(すくなびこなのみこと)」をお祀りする「日吉社」があったとか。
そのため、「病魔退散大楠」という名がついたようだ。

病魔退散大楠

なんと、その大楠の隣には狛犬の姿が。
大切な大楠をお守りするような凛とした佇まい。
だが、顔まわりを中心に風化が激しく、かなりの歳月を経た模様。
これまでどれほど多くの健康にまつわる願い事を聞いてきたのだろうか。
そっと手を合す。

「病魔退散大楠」の隣に置かれている狛犬

それにしても、ちょうど良かった。
じつは、今年に入ってから右肩が上がらず、かなり往生していたのだ。
この機会を逃してなるものかと、強い気持ちで参拝。

ダイソン、最後の最後まで、己の欲望に忠実でした。

写真撮影/大村健太

基本情報

名称:鎮西大社 諏訪神社
住所:長崎県長崎市上西山町18番15号
公式webサイト:https://www.osuwasan.jp/