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2024.04.10

もっちりした旨みに唸る。職人の技がさえわたる名店・1「鮓直」【あっぱれ! 大阪寿司!! part3】

関西でも圧倒的に江戸前寿司の店が多くなった昨今でも、長く続く大阪寿司の名店には唯一無二の看板商品があり、支持されている理由があります。味にうるさい大阪人が愛するのは、5軒の名店の大阪寿司です。今回は「鮓直(すしなお)」をご紹介します。

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へっついで炊く米のもっちりした旨みに唸る
鮓直の「大阪寿司」

箱寿司と上巻2人前が入った「大阪寿司」4,914円(税・折箱代込み)。塩と酢で締めた鯛には木の芽をあしらう。吟味されたネタは、素材を生かした穏やかな味付け。ご飯を引き立てるための味の設計だ。

大阪寿司は寿司飯で食べさせる寿司、と断言しましょう。ここ「鮓直」の自慢は、「へっつい(上方での竈の呼び方)」で炊くご飯。竈(かまど)でもガス火を使う店もありますが、ここは昔と同じ方法で。店は「大阪天満宮」の門前町にあるといえども、実は静かな住宅街。毎朝、民家から黒々と煙が上がるのは、凄みがあります。「小さいころは登校のたびに『朝からバーベキューしてきたんか?』とからかわれるのがいやでした(笑)」と語る4代目・岡部芳幸さん。芳幸さんに厳しく寿司を指導したのは3代目・女当主で実母の寿美栄(すみえ)さん。「ご飯炊きは、ほかの店にはでけへんのやから」と竈炊きを譲らず、芳幸さんもそれを継承しました。糯米(もちごめ)のごとく粘りがあり、嚙むごとに甘みが増して、型で押されてもふっと弾力を感じる驚きの味。
大阪寿司は時間が経っても味が変わらないといいますが、店主としては「うちのお寿司はご飯がやわらかいうちに食べてもらったほうが、おいしいです」。

地元民が大好きな「箱寿司」と「上巻」を詰め合わせた「大阪寿司」は、細部まで行き届いた岡部さんの手わざが楽しめる一折。ご飯のインパクトと拮抗(きっこう)するように巻寿司の中に味と食感を重ねる発想です。米の強い旨みを主役にしたお寿司のもうひとつの名物が「鯖松前(さばまつまえ)寿司」。しめ鯖と寿司飯の間に海苔と山葵を挟んだもので、上にのる白し ろ板いた昆布の甘酢とマッチ。組み合わせの妙に唸る、この店だけの鯖寿司です。

こ上巻には香ばしく焼いた鰻、椎茸煮、きゅうり、海老のおぼろ、錦糸卵が入る。

店舗情報

鮓直(すしなお)
住所:大阪府大阪市北区天神橋1-15-14
電話:06-6351-4191 
営業時間:10時~18時
休み:火曜 
※冬季に限り、「鯖松前寿司」・「小鯛雀寿司」を発送。電話にて相談を。

撮影/石井宏明 構成/藤田 優
※本記事は雑誌『和樂(2021年12・1月号)』の転載です。

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和樂web編集部

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