「絶品たまごサンド」シリーズ一覧はこちら。
名劇場のある街「京都・祇園」
江戸初期に誕生したといわれる「南座(みなみざ)」。当時は四条河原(しじょうかわら)に七座の芝居小屋があったとか。毎年12月に行われる南座の「顔見世(かおみせ)興行」は芸舞妓も華を添える、京都らしい風物詩に。
コーヒーショップ ナカタニの「玉子トースト」
南座のお膝元の喫茶店の名物!
南座でなじみの役者さんの出演があるとなったら、店は朝から忙しい。
「劇場入りの前に、コーヒーを飲みながらここでおしゃべりするのが気分転換のようです」と店主の中谷絜(なかたにはかる)さん。
三条にあった喫茶店勤務を経て、夫婦で昭和47(1972)年に祇園で開業。
〝小腹満たし〟のサンドイッチは花街に需要があることをわかっていた中谷さんは、当初からサンドイッチを看板にしました。
人気の「玉子トースト」は、薄切りパン2枚でたまごサラダを挟み、6等分に。
芸舞妓さんたちでも、化粧が落ちることを気にせずに食べられる形と厚みです。
食べやすさの工夫は、たまごサラダにも。
白身を細かくつぶして黄身をペースト状にするので、のどに引っかからず、まろやかで味わい深い。
配達に漆塗りの岡持ちを使うようになったのも、歌舞伎役者からのリクエストから。
「皆さんの要望に応えていたら、こんな店になりました」と語る主人の顔は、祇園町で働く人を支える誇りで輝きます。
岡持ちに詰めて配達します
京都好みの深煎りがうまい
DATA「コーヒーショップ ナカタニ」
住所:京都府京都市東山区縄手通四条上ル廿一軒町236 鴨東ビル1F
電話:075-525-0823
営業時間:9時~17時
休み:不定休
グリルグリーンの「玉子サンド」
洋食コースの〆を盛り上げるひと皿
味つけは塩とこしょう。フライパンに引くバターとブランド卵の力を借りても、玉子焼きがこんなに味よく、ふわふわに?
さらに驚くのは、卵液を巻くのではなく、フライパンの縁を巧みに利用し、最初から立方体に焼き上げる技。
「要領はオムレツと同じです」と笑う店主・足立浩行(あだちひろゆき)さん。
カウンター席で一部始終が見られるのも、ここの「玉子サンド」のウリで、食べればさらに感激!
玉子サンドは、かつて足立さんの両親が木屋町(きやまち)で仕出しもしていた「喫茶グリーン」の名物。
店は50年で終了し、足立さんは新たにホテルや飲食店で経験を積んで、祇園で9年前に独立開業しました。
洋食とステーキで組み立てたコースの〆(しめ)に「ひと口カレー」を用意しているものの、「玉子サンドは別腹」という声に押されて、カレーの前に提供するようになったとか。
ステーキに添える薬味も、ひとりで仕込みを行う足立さん。デザートに至るまで、祇園に集う美食家たちを虜にしています。
玉子サンドは卵だけでふっくら! &絶品のひと口カレー
DATA「グリルグリーン」
住所:京都府京都市東山区祇園町北側347-28 Fビル1F
電話:075-525-3117
営業時間:18時~24時(ランチは予約のみ)
休み:不定休
※本記事は雑誌『和樂(2024年6・7月号)』の転載です。掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。