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2019.09.27

東京近郊の古墳5選。東京タワーの近くや代官山・お花見発祥の地にもあった!

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国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会は2019年7月、「百舌鳥(もず)・古市(ふるいち)古墳群」を世界文化遺産にすることを決定しました。世界最大級の墳墓「仁徳天皇陵古墳」も含まれる世界遺産登録のニュースをうけて、古墳がにわかに注目を集めています。

「古墳、ちょっと行ってみたいな」という話題が出ることも。古墳は関西に多いのですが実は日本各地にあります。伝仁徳天皇陵ほど大きなものはなくとも、古墳の全体像がわかったり、足を踏みいれたりすることもできるんです。

そこで、「ちょとだけ古墳を体験したい」という人におすすめの、東京近郊の古墳を5つご紹介します。

おしゃれタウンの箱庭? 「猿楽塚古墳」

代官山駅を出て少し歩くと、おしゃれなお店や住宅があつまった「ヒルサイドテラス」があり、そのいちばん渋谷側、デンマーク大使館のそばに鳥居があります。

猿楽神社の鳥居

少し離れて眺めてみると、奥には下の方が石で囲まれているこんもりとした山が見えます。墳丘の高さが5メートルくらいある猿楽塚は6~7世紀に築造された円墳で、かつては二基あり、その間を初期の鎌倉街道が目黒川方面に下っていました。お社(やしろ)は現在「猿楽神社」と呼ばれています。

箱庭みたいでかわいい

近くにある西郷山から目黒川方面を見ると、とても見晴らしがよく、古代の豪族たちは、景色のよい場所を選んで、よい夢を見つつ、魂がどこかへとゆくことを期待して眠りについたのかもしれません。

●猿楽塚
所在地:渋谷区猿楽町29 ヒルサイドテラス内
アクセス:東急東横線 代官山駅徒歩5分
HILLSIDE TERRACE

こんな都会に!? コントラストがすごい!「芝丸山古墳」

スカイツリーの登場で高さは抜かれてしまいましたが、まだまだ東京を代表するモニュメントとして人気が高い東京タワー。その近くにある増上寺から見ると、近世と近代のコントラストが絶妙。海外からの旅行者にも人気のようです。このふたつを含むのが芝公園です。都営三田線・芝公園駅のB4出口を出て公園に入ると、樹木が植えられた向こう側にうっそうとした小高い丘のようなものが見えます。上ってみると、少し開けた場所に、お社もあります。

墳丘にある赤い鳥居の一角に「芝丸山古墳」があります。5世紀なかばごろに築造されたという小さな前方後円墳ですが、いまは半分が切り取られてしまっています。

かろうじて古墳だとわかる碑がたっている

残念ながら草木が生い茂っているので、東京タワーとのきれいなツーショット写真を撮ることはかないませんでしたが、こんな都会に古墳が……という驚きが! 整備はされていないので知られていないものの、「こんなところにも古墳ってあるんだ!」という感慨に浸るにはじゅうぶんです。

東京タワーの横の一段深い緑が古墳の場所

●芝公園
所在地:港区芝公園四丁目8番4号
アクセス:都営三田線 芝公園駅A4出口より徒歩3分、都営大江戸線・都営浅草線 大門駅A6・A3出口より徒歩10分
開園時間:常時開園
※サービスセンター及び各施設は年末年始は休業となります
※営業時間等はサービスセンターへお問い合わせ下さい。
休園日:なし(年中無休)
入場料:なし(一部有料施設あり)
芝公園(港区ホームページ)

お花見の名所にある「飛鳥山1号墳」

日本のお花見の発祥の地といわれている飛鳥山公園(北区王子)。園内には新しいお札に肖像が採用されたり、大河ドラマのテーマに決まったりと忙しい渋沢栄一のことがわかる「渋沢史料館」「紙の博物館」などがあります。

子ども向けの遊具でにぎやかな公園の線路沿いの柵で囲まれた部分には、いくつかのベンチがあります。静かに読書をする人などがちらほらいるようなエリアにはすこしうず高くなっている場所があり、「飛鳥山1号墳」の札がぶら下がっています。なんと、ここが古墳なのです。

飛鳥山1号墳のふもと

古墳のそばには読書をしている人たち、そして向こうのほうでは子どもたちの声。古墳はこんなふうに生活のなかに溶け込んでいたのです。小さい墳丘ですが、せっかくなら上まで行ってみてください。当時の風景は残っていなくても、きっといろいろなものが見えてくると思います。

墳丘はわりと雑然としている

●「飛鳥山1号墳」がある飛鳥山公園
所在地:東京都北区東京都北区王子1-1-3
アクセス:JR京浜東北線 王子駅中央口か南口下車すぐ、都電荒川線飛鳥山 下車すぐ、北区コミュニティバス【Kバス】王子・駒込ルート[8][20]飛鳥山公園下車すぐ
開園時間:終日開放(一部閉鎖区域あり)
休園日:なし(年中無休)
入場料:なし(無料)
飛鳥山公園(北区ホームページ)

等々力渓谷にある帆立貝型の「野毛大塚古墳」

東京の都心とは思えない、水の流れや谷を楽しめる等々力渓谷。があることをご存知の方も多いでしょ。「渓谷入口」から住宅街を進んでゆくと、やがて環状8号線にぶつかります。信号を渡ったところにある「玉川野毛町公園」のテニスコートや野球場では試合などが行われていて、とてもにぎやか。その間を進むと、緑の大きめの小高いものが目に入ります。これが「野毛大塚古墳」です。

階段が整備されているので、上りやすい

墳丘上のタイルのようなものが敷かれているところが主体部(遺体を埋葬する施設)だそうで、上には絵が描かれています。主に刀剣などの絵で、その場所からどんな副葬品(使者に捧げられて一緒に埋葬されたもの)が出土したかがわかります。


これが主体部を示す印。どんな副葬品があったのか絵でわかる

いまは建物が多いのでわかりませんが、きっと当時は渓谷や多摩川のほうまで見渡せたのではないかと考えられる高さの墳丘。時折吹く風がとてもきもちがよい場所にあり、やはり古墳は権力者だけの特別なものなのだと感じさせられます。

実は、多摩川沿いや、支流の野川ぞいには小さな古墳や横穴墓(おうけつぼ、横穴を掘ってお墓にしたもの)が数多く存在しています。中でもこの野毛大塚古墳は全長82メートル、後円部直径67メートル、高さ11メートルと最大規模を誇り、築造は5世紀と考えられています。

墳丘から降りようとすると、少し低い場所に四角い盛り上がりがあり、その横にさらに四角い突起があります。この四角い部分が帆立貝の「前方」墳の部分で、その横は祭祀が行われたとされる「造出(つくりだし)」。このようにわかりやすい古墳は、東京近郊にはなかなかありません。ぜひ一度足を運んでいただきたい、おすすめの古墳です。

左が方墳、右が造出

●「野毛大塚古墳」がある玉川野毛町公園
所在地:東京都世田谷区野毛1丁目25番1号
アクセス:東急大井町線 等々力駅徒歩10分、東急バス 野毛公園前下車すぐ
開園時間:施設により異なる
休園日:施設により異なる
入場料:なし(無料)
玉川野毛町公園(世田谷区ホームページ)

動物園も楽しめる「白山古墳」

東京からすこし離れますが、JR横須賀線の新川崎駅、もしくはJR南武線の鹿島田駅から10分ほど歩くと、大きな山が見えてきます。ここにも古墳があるのです。すこし勇気がいりますが、登ってみましょう。

この日は台風のあとで、石段に養生が

ここが古墳のあと

白山古墳の碑と案内図

墳丘などは残っていないのですが、この写真のあたりに古墳があったようです。丘の上にある「夢ヶ崎公園」は景色がよく、豪族が眠るのによい場所だったのでしょう。なお、併設されている「夢ヶ崎動物公園」の動物たちのいる場所も実は遺跡です。

このあたりは「加瀬台古墳群」と呼ばれる遺跡で、11基もの古墳や古墳と考えられる塚が築かれていたことがわかっています。築造されたのは4世紀後半から7世紀後半。なかでも白山古墳は4世紀後半頃に築かれ、武蔵野国で最も古いといわれています。ここからは三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)など多くの副葬品が出土しており、大和政権との関係も考えられるそうです。

また、八神川をはさんだ対岸にも日吉矢上古墳や観音松古墳などがあり、このあたりは当時の古墳のメッカ。豪族たちの台頭した場所だと知ることができます。

それにしてもここに埋められた豪族たちは、まさかシマウマやロバが自分たちの墓の上を走り回るとはおもわなかったことでしょう。土地の変遷は、時に思わぬおもしろさをもたらしてくれるものです。

動物と古墳が共存するおもしろさ

●夢見ヶ崎動物公園
所在地:神奈川県川崎市幸区南加瀬1-2-1
アクセス:JR南武線 鹿島田駅徒歩約20分、JR横須賀線・湘南新宿ライン新川崎駅 徒歩約15分
開園時間:午前9時~午後4時
休園日:なし(年中無休)
入場料:なし(無料)
夢見ヶ崎動物公園(川崎市ホームページ)

いかがでしたか。東京にも古墳がいくつも残されていることがおわかりいただけたでしょうか。こんもりした山、なぜか唐突に表れる鳥居やお社…それらが古墳の目印です。もしかしたら、あなたのお住まいの近くにもそんな場所があるかもしれません。古墳は古代人のお墓ではありますが、ちょっと失礼して登ってみると、古代人の魂にふれることができるかもしれません。そしてあなたの中の不思議な血が目覚めるかも!? 古墳が位置する自治体の博物館や資料館には、出土品が展示されていることも多いので、あわせて訪ねるとさらにわくわくしそうです。

なお、古墳を訪れる際には、私有地や足元が危険な場所にはくれぐれも近づかないようご注意ください。ルールを守ってたのしい古墳ライフをすごしてみませんか。

書いた人

岡山市出身、歴史学の博士号をもつ大の歴史好き。レトロという言葉だけでは語れない、戦前の日本文化を伝えたいと思っている。趣味は読書と街歩きと宝塚観劇と漫才で笑うこと。紺野ともという名で詩人もしている。