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2026.02.01

かわいい、精緻、豪華絢爛! 全国のご自慢「国宝」大調査【part1:北海道、青森、岩手、宮城、秋田】

令和7(2025)年4月1日現在、国宝総数は1144件。45都道府県にあります。そこで、各自治体の文化財担当と和樂編集部が、都道府県ごとの「ご自慢国宝」を選定! 好評だった本誌記事より、北から順に5つずつ紹介していきます。まずは北海道から秋田までのブロックでは、土偶や古代遺跡、奥州藤原氏の栄華の証など、古くから反映していた名残を知ることができます。

北海道(国宝:2件)

2025年に発掘50周年を迎えた!
■土偶「中空土偶」(北海道函館市著保内野遺跡出土)

読み:どぐう「ちゅうくうどぐう」(ほっかいどうはこだてしちょぼないのいせきしゅつど)

画像提供/函館市教育委員会

1975年夏、旧・南茅部町尾札部(みなみかやべちょうおさつべ 現・函館市尾札部町)で農作業中の主婦が偶然発見した出土品で、復元すると、高さ41.5㎝となり、中空土偶としては国内最大級の大きさに。両腕と頭部の一部は故意に壊されており、現在も未発見。2007年に北海道初の国宝に指定され、「縄文時代後期を代表する優品」「土偶造形の到達点」と非常に高い評価をされています。
●つくられた時代:縄文時代後期後半 
●見られる場所:「函館市縄文文化交流センター」北海道函館市臼尻町551-1 常設展示 
●公式サイト:https://www.hjcc.jp/ 
「中空土偶」をはじめ、函館市内の縄文時代の遺跡から発掘された遺物を展示・公開中。

青森県(国宝:3件)

ポーズも表情も、なんてかわいいの!
■土偶「合掌土偶」(青森県八戸市風張1遺跡出土)

読み:どぐう「がっしょうどぐう」(あおもりけんはちのへしかざはり1いせきしゅつど)

両腕をひざの上に置いて座り、手を合わせたポーズの「合掌土偶」は、2009年に国宝に指定されました。同じ形状の土偶が全国に7点あるうち、この土偶は、唯一完全な形が残るもので、両脚の付け根などには修復の痕もあります。顔や体の一部に残る赤い顔料から、当初は全体が赤く塗られていたと考えられています。
●つくられた時代:縄文時代後期後半 
●見られる場所:「八戸市埋蔵文化財センター是川(これかわ)縄文館」 青森県八戸市是川横山1 常設展示(他館に貸出される場合あり) 
●公式サイト:https://www.korekawa-jomon.jp/ 
風張1遺跡は約3500年前の大規模な集落の遺跡。「是川縄文館」で合掌土偶などを展示。
参考画像はこちら!

岩手県(国宝:8件)

絢爛豪華な御堂は、まさに極楽浄土!
■「中尊寺金色堂」

読み:「ちゅうそんじこんじきどう」

中尊寺創建当初の姿を伝える阿弥陀堂(あみだどう=金色堂〈こんじきどう〉)は、天治元(1124)年に上棟。奥州(おうしゅう)藤原氏初代清衡(きよひら)の、極楽浄土(ごくらくじょうど)を具現化するという願いをかなえるため、当時の工芸技術を結集。建物内外に押された金箔から〝皆金色(かいこんじき)〟と称され、シルクロードを渡ってもたらされた南洋の夜光貝を用いた螺鈿(らでん)細工、象牙(ぞうげ)や宝石で飾られています。
●つくられた時代:平安時代後期 ※写真は新鞘堂(しんさやどう) 
●見られる場所:「中尊寺」岩手県西磐井郡平泉町平泉衣関202 
●公式サイト:https://chusonji.or.jp/ 
中尊寺金色堂は写真の新鞘堂の中にあり、中尊寺の堂塔でも特に凝った意匠が用いられている。
参考画像はこちら!

宮城県(国宝:7件)

奈良時代にこの地が繁栄していた証
■「多賀城碑」

読み:「たがじょうひ」

写真提供/宮城県教育委員会

特別史跡多賀城跡にある古代の石碑。東北地方(陸奥国・出羽国〈むつのくに・でわのくに〉)に派遣された鎮守将軍(ちんじゅしょうぐん)・藤原恵美朝臣朝狩(ふじわらのえみのあそんあかり)が天平宝字(てんぴょうほうじ)6(762)年、多賀城改修を記念して建立。数少ない奈良時代の金石文(きんせきぶん=文字)として貴重な存在で、令和6年、国宝に指定。多賀城の歴史の解明においても、極めて重要な国宝です。
●つくられた時代:天平宝字6(762)年12月1日 
●見られる場所:宮城県多賀城市市川字田屋場 管理:「多賀城市埋蔵文化財調査センター」 所有:国(文化庁保管) 
●公式サイト:https://www.city.tagajo.miyagi.jp/shiseki/bunkazai/index.html 
昨年、南門と築地塀(ついじべい)などの整備がおおむね完了し、古代の多賀城の雰囲気を味わえるように。

秋田県(国宝:1件)

水の神として崇められた精緻な鏡像
■「線刻千手観音等鏡像」

読み:「せんこくせんじゅかんのんとうきょうぞう」

写真提供/秋田県大仙市

11世紀ごろの青銅の鏡。延宝(えんぽう)5(1677)年に用水堰(ようすいせき)の開削中に土中から掘り出され、水の神として祀(まつ)られてきました。表面には千手観音とその眷属(けんぞく)が線刻されており、背面には花や蝶、鳥の浮彫(うきぼり)があり、その間に「仏師僧 崇紀 大趣具主延暦僧仁祐 女具主 藤源安女子」の線刻銘があります。
●つくられた時代:平安時代・11世紀末 
●見られる場所:「水(すい)神社」 秋田県大仙市豊川観音堂57 ※毎年8/17の水神社例大祭で公開
●公式サイト:https://www.city.daisen.lg.jp/genre/promotion/p-cultural-property 
●大仙市中仙(だいせんしなかせん)市民会館「ドンパル」には複製を常設展示。開館中は自由に閲覧可能。

都道府県別国宝件数TOP5

順位 都道府県 件数 (美術工芸品/建造物)
1位 東京都 292件(290/2)
2位 京都都 239件(186/53)
3位 奈良県 208件(144/64)
4位 大阪府 62件(57/5)
5位 滋賀県 56件(34/22)

上位は、現在の首都と、かつて都が置かれた関西の4府県。政治、経済の中枢には、文化財も多いことがわかります。注目したいのが1位東京の建造物で、わずか2件だけ。江戸時代からの建物は戦災の影響もあって極端に少なく、美術館・博物館が所蔵する美術工芸品が大多数を占めているのです。

※本記事は雑誌『和樂(2025年6・7月号』を再編集した転載です。
※件数に2025年3月に答申された「伎楽面」「物語下絵料紙金光明経巻第二」など4件は加えていません。
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和樂web編集部


構成/山本 毅、後藤淳美(本誌)
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