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2026.02.16

家康・信長ら戦国武将と、あの文豪とのゆかりも!全国のご自慢「国宝」大調査 【part5:岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀】

各自治体の文化財担当と和樂編集部が選定した都道府県ごとの「ご自慢国宝」Part5は、東海4県と琵琶湖で知られる滋賀県。古墳時代の埴輪や戦国時代の名残の建造物など、華やかなりし時代の息吹が感じられる国宝がそろっています。

岐阜県(国宝:7件)

庭師としても有名な禅僧・夢窓疎石作の庭に立つ国宝建造物
■「永保寺観音堂」

読み:「えいほうじかんのんどう」

鎌倉時代末期創建の、臨済宗南禅寺派(りんざいしゅうなんぜんじは)の永保寺の開祖は夢窓疎石(むそうそせき)。閑静で美しい風景に魅せられて庵を結んだのが始まりとされます。疎石が手がけた庭園の臥龍池(がりょうち=心字池〈しんじいけ〉)のそばに立つ観音堂は、禅宗様(ぜんしゅうよう)と和様の折衷(せっちゅう)様式が特徴。内部には108本の自然木を組み合わせた岩窟式厨子(がんくつしきずし)に、聖観世音菩薩坐像(しょうかんぜおんぼさつざぞう)を安置します。
●つくられた時代:15世紀再建
●見られる場所:「永保寺」 岐阜県多治見市虎渓山町1-40
●公式サイト:https://kokeizan.or.jp/
境内には、夢窓疎石由来の国宝「永保寺開山堂 附宝篋印塔(えいほうじかいざんどう つけたりほうきょういんとう)」も。いずれも内部は、毎年3/15の宝物公開時のみ拝観できる。

静岡県(国宝:11件)

家康ゆかりの駿府(すんぷ)に創建された極彩色で荘厳な霊廟
■「久能山東照宮 本殿、石の間、拝殿」

読み:「くのうざんとうしょうぐう ほんでん、いしのま、はいでん」

徳川家康を祀る霊廟(れいびょう)は、2代将軍秀忠(ひでただ)の命により、家康に取り立てられた幕府の大工頭(だいくがしら)・中井正清(なかいまさきよ)らによって造営され、元和3(1617)年に完成。県内唯一の国宝建造物です。総漆塗で極彩色の華やかさと、要所に配置した彫刻や錺金具(かざりかなぐ) が醸し出す厳(おごそ)かな雰囲気が、家康の威光を偲(しの)ばせます。
●つくられた時代:元和3(1617)年
●見られる場所:「久能山東照宮」 静岡県静岡市駿河区根古屋390
●公式サイト:https://www.toshogu.or.jp/
拝観は日本平ロープウェイが便利だが、久能山南斜面の表参道(1159段の石段)を上ると、一ノ門付近から駿河湾(するがわん)の絶景が楽しめる。

愛知県(国宝:9件)

木曽川を眼下に、凜々しく丘の上にそびえる気高い姿!
■「犬山城天守」

読み:「いぬやまじょうてんしゅ」

木曽川に接する、城山と呼ばれる標高約85mの丘陵に位置する犬山城。全国に12城のみの現存天守のなかで最古といわれています。中国の城に因んで別名「白帝城(はくていじょう)」と呼ばれており、詩人・歌人の北原白秋(きたはらはくしゅう)は紀行文『白帝城』のなかで「日本ラインの白い兜(かぶと)」と評しています。
●つくられた時代:天正18(1590)年ごろ
●見られる場所:「国宝犬山城」(公財)犬山城白帝文庫 愛知県犬山市犬山北古券65-2
●公式サイト:https://inuyama-castle.jp/
元和3(1617)年、成瀬正成(なるせまさなり)が城主となって以後、成瀬氏が代々城主をつとめ、今日まで守られてきた。

三重県(国宝:7件)

古墳時代の社会の様子まで今に伝えてくれる貴重な埴輪
■「三重県宝塚一号墳出土埴輪」

読み:「みえけんたからづかいちごうふんしゅつどはにわ」

伊勢平野最大の前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)から出土した船形(ふねがた)1点・囲形(かこいがた)3点・家形4点の埴輪が国宝。船形埴輪は全長140㎝、高さ94㎝という大きさで、写実的な造形と装飾性に優れ、当時の船の構造を伝える重要な資料。船上の大刀や威杖(いじょう=王の持つ杖)、蓋(きぬがさ=高位の人にさしかける傘)などの装飾は王の権威を示すものです。
●つくられた時代:古墳時代・5世紀初頭
●見られる場所:「松阪市文化財センター」 三重県松阪市外五曲町1 常設展示
●公式サイト:https://www.city.matsusaka.mie.jp/site/bunkazai-center/
王の権威を象徴する造形や装飾をもつ埴輪は例が少なく、学術的価値の高さが認められている。

滋賀県(国宝:56件)

日本の仏教の始まりの地に立つ、密教様式を色濃く残すお堂
■「延暦寺根本中堂」

読み:「えんりゃくじこんぽんちゅうどう」

日本の天台宗は約1200年前、最澄(さいちょう)による比叡山(ひえいざん)の一乗止観院(いちじょうしかんいん=後の根本中堂)創建に始まります。その後、徳川家光の命により復興した根本中堂には、最澄が灯した「不滅の法灯」が今もなお。現在は大修理中ですが、今しか見られない工事の様子を、覆屋(おおいや)内の修学ステージからぜひご覧ください。
●つくられた時代:寛永19(1642)年
●見られる場所:「比叡山延暦寺」 滋賀県大津市坂本本町4220
●公式サイト:https://www.hieizan.or.jp/
堂内で、「一隅(いちぐう)を照らす人こそが国の宝」という最澄の言葉をかみしめたい。※現在は大改修の最中で、完成予定は2030年。

都道府県別国宝件数TOP5

順位 都道府県 件数 (美術工芸品/建造物)
1位 東京都 292件(290/2)
2位 京都都 239件(186/53)
3位 奈良県 208件(144/64)
4位 大阪府 62件(57/5)
5位 滋賀県 56件(34/22)

上位は、現在の首都と、かつて都が置かれた関西の4府県。政治、経済の中枢には、文化財も多いことがわかります。注目したいのが1位東京の建造物で、わずか2件だけ。江戸時代からの建物は戦災の影響もあって極端に少なく、美術館・博物館が所蔵する美術工芸品が大多数を占めているのです。

全国のご自慢「国宝」大調査シリーズ一覧はこちら

※本記事は雑誌『和樂(2025年6・7月号』を再編集した転載です。
※件数に2025年3月に答申された「伎楽面」「物語下絵料紙金光明経巻第二」など4件は加えていません。
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和樂web編集部


構成/山本 毅、後藤淳美(本誌)
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