朝から屋台を飲み歩き。10月は日本橋のべったら市と恵比寿講へでかけましょう!【神無月侯】

朝から屋台を飲み歩き。10月は日本橋のべったら市と恵比寿講へでかけましょう!【神無月侯】

目次

江戸ごよみ、東京ぶらり 神無月候

“江戸”という切り口で東京という街をめぐる『江戸ごよみ、東京ぶらり』。江戸時代から脈々と続いてきた老舗や社寺仏閣、行事や文化など、いまの暦にあわせた江戸―東京案内。
江戸のころは旧暦ゆえに初冬を迎える10月。今月は、江戸商家の習わし「恵比寿講」から、日本橋の10月を盛り上げる「恵比寿講・べったら市」についてのお話しを。市のあとで訪ねたい甘味のおいしい老舗カフェもご紹介。10月を楽しむ東京ぶらりをご案内します。

得意先や親戚を招いて商売繁盛を祈るために催すえびす講の食卓をコマ絵(枠内の絵)に入れた「意勢固世身見立十二直 破 神無月夷講 暦中段つくし」歌川豊国(三代)画/東京都立中央図書館特別文庫室所蔵*冒頭画像は一部分

火除けの亥に願をかけて炉や炬燵をひらく

江戸の10月といえば、もう冬。江戸の年中行事を記した天保9(1838)年刊『東都歳事記』には、10月1日や10月はじめの亥の日「上亥の日」には炉ひらき、炬燵びらき、と記されています。旧暦10月は亥(いのしし)の月、猪は摩利支天(まりしてん*炎の神様)の使者であり、火難を免れる動物と考えられていました。だから亥の月のはじめの亥の日、「上亥(かみい)の日」に火を使う道具を使いはじめ、火災にならぬことを願ったと言います。

また今でも茶道の炉開きに使われる、「亥の子餅」という菓子があります。亥の月、亥の日、亥の刻に、無病息災や子孫繁栄を願って穀物を混ぜた餅を食べるという中国の風習を、平安時代から宮中では行ってきました。亥の子に食べるから「亥の子餅」とも「玄猪餅(げんちょもち)」とも言われ、10月頭(新暦では11月になるので11月のところも)には、多くの和菓子屋で猪型の菓子が並んでいるので、ちょっと気にしてみてくださいね。

江戸時代から商売繁盛を願って「恵比寿講」

江戸のころ10月20日には、商売繁盛の神様・恵比寿様をお祀りする「夷講(えびすこう)」という習わしがありました。日本橋や京橋の商家では、神棚に恵比寿様や大黒様を祀り、魚河岸から取り寄せた鯛や飾り物などを飾りました。店も早じまいして、夕方からは親類やお得意様を招いて酒宴を繰り広げたと言います。前日の19日には、今の日本橋大伝馬町のあたりにはお祀りで必要な道具や食べ物を売る市がたち、それはそれは賑わったそうです。

「戎講」には大勢の客を招き、酒宴をひらく商家の様子が描かれている。『東都歳事記』/国会図書館デジタルコレクション

そんな習わしが日本橋では「恵比寿講・べったら市」として、受け継がれています。その中心となっているのが「宝田恵比寿神社」の存在。江戸城拡張の際に、神社は村ごと日本橋大伝馬町に移転。その際に、村のまとめ役であった馬込勘解由(まごめかげゆ)が徳川家康公より賜った福々しい恵比寿像がご神体として祀られています。

日本橋の七福神でも知られる宝田恵比寿神社。恵比寿様の御開帳はお正月と恵比寿講・べったら市のみ。

恵比寿講のための市から生まれた「べったら市」

代々「宝田恵比寿神社」をお守りして、江戸から続く「恵比寿講・べったら市」を盛り上げているのが、刷毛・ブラシを商う「江戸屋」8代目の濱田捷利さん。「夷講前日の市には、いつからか浅漬けの大根なども売られていました。売っていた大根を振り回して、『べったりつくぞ、べったらだ~』と、恵比寿様にお詣りするご婦人にふざけた売り子の言葉から「べったら市」と名がついたとも言われています」。

幸せが舞い込むような福々しい恵比寿様と代々町の神様としてお守りしてきた「江戸屋」の8代目濱田捷利さん。徳川幕府から賜った屋号「江戸屋」の暖簾とともに、伝統行事「恵比寿講・べったら市」を受け継いできた。

明治や大正時代には1000軒以上の店が出ていたそうですが、それでも今年も500軒以上の店が出店予定。べったら漬けの店は、30軒程度出店するようです。日本橋や人形町で商う江戸老舗のお値打ち屋台から地元の飲食店によるちょい飲み屋台もいたるところに!「町の神輿や山車、盆踊りもある賑やかなお祭りです」と濱田さん。ご開帳された恵比寿様に参拝いただき、おいしいべったら漬けを買って、老舗の屋台やちょい飲みを楽しめる伝統行事です。土日開催なので朝から飲めるのもうれしいですね。

今年は19日(土)20日(日)と週末に開催。老舗のお値打ち屋台は、朝イチに立ち寄るといい買い物ができるはず。21時ごろまで開催しているので夜散歩にもおすすめ。写真提供/べったら市保存会

練り歩く神輿に気分もあがる!写真提供/べったら市保存会

日本橋らしさ漂う、江戸創業のカフェ2選

江戸から受け継がれてきた伝統行事『恵比寿講・べったら市』のあとは、江戸創業の老舗カフェでご一服を。

1.榮太樓總本鋪 雪月花

三代目の細田安兵衛が日本橋に店を構えたのが安政4(1857)年のこと。自らの幼名に因んで屋号を榮太樓と命名。刀の鍔の形から名付けた「金鍔(きんつば)」や南蛮渡来の砂糖菓子アルフェニンに工夫を凝らして作った「梅ぼ志飴(うめぼしあめ)」など、江戸からの名物菓子がならぶ「榮太樓總本鋪」本店。

日本橋に店を開いた安政4年から同じ場所で商いを続けている。売場と喫茶がある日本橋本店。

江戸の薫りが漂う本店には、「雪月花」という甘味処があります。和菓子屋らしい、落ち着いた風情の甘味処では定番から攻めの品書きまで揃います。店のイチ押しは、黒糖風味のエスプーマを添えた「エスプーマクリームあんみつ」。しっかりした餡の甘さやコクのある黒蜜、小ぶりな寒天と正統派なあんみつに、新食感のふわふわエスプーマクリームが楽しい攻めの新メニューです。9月からはじまったばかりですが口コミで評判が広がり、なかなかの人気だとか。

「エスプーマクリームあんみつ」は850円(税抜)。昨年より日本橋の老舗ホテルとコラボしたエスプーマ×甘味メニューが評判となり、この9月より雪月花でもスタート。

2.山本山 ふじヱ茶房

元禄3(1690)年、京都は宇治から江戸日本橋で茶舗を開いた初代山本嘉兵衛。二代目は煎茶を江戸に広め、六代目は玉露を考案。江戸市民にお茶の楽しみを広めた山本山が、2018年にオープンしたのが今様茶屋の「山本山 ふじヱ茶房」です。

ふじヱ茶房限定の特別なお茶や海苔を使った食事メニューもいただける。商品の販売も。

白で統一されたモダンでシックな店内では、ここでしか味わえない玉露や煎茶とともに季節ごとの和菓子を提案。なかでも「三時の茶菓セット」は、お茶を使ったオリジナルの甘味がお手頃価格で楽しめます。もちもちした抹茶白玉にしっかりと甘い餡の「抹茶白玉ぜんざい」は、とても上品な小腹しのぎ。日本橋の老舗「長門」の和菓子とお茶のセットも人気とか。広いカウンターがあるのでひとりでも入りやすいのがうれしいですね。

三時の茶菓セット(平日15時~18時、土日祝13時半~18時)の「抹茶白玉ぜんざい」はほうじ茶付きで1000円(税込)。写真提供/山本山

おまけ二十四節気、10月は「寒露(かんろ)」と「霜降(そうこう)」

最後に江戸市民の暮らしに寄り添っていた暦・二十四節気(にじゅうしせっき)についてもご案内を。2019年の神無月こと、10月の二十四節気は10月8日の「寒露(かんろ)」と10月24日の「霜降(そうこう)」です。

8日の「寒露」は、朝夕の冷気で露が凍りつくようになってくるころ。越冬の渡り鳥が飛来して秋の虫もそろそろお静かに。24日の「霜降」は、露が霜となり降り始めるころ。このころからは紅葉前線が日本を赤く染めていきます。そして霜降から立冬までに吹く北風を「木枯らし」と呼びます。そうなると、もう冬の気配。

ちょっと季節を先取りしましたが、秋本番の10月がはじまります。

江戸的に楽しむ、10月の東京案内

掲載イベント&店舗情報

日本橋恵比寿講・べったら市
日程:10月19日(土)、20日(日)
時間:12:00から21:00
会場:宝田恵比寿神社周辺(日本橋大伝馬町・本町周辺)
出店数:500軒程度(べったら屋台30軒程度)

刷毛・ぶらし 江戸屋
住所:東京都中央区日本橋大伝馬町2−16
電話:03-3664-5671
営業時間:9:00~17:00
定休日:土曜 日曜 祝祭日
https://www.nihonbashi-edoya.co.jp/

榮太樓總本鋪 雪月花
住所:東京都中央区日本橋1-2-5
電話:03-3273-6310
営業時間:10:00~18:00
飲物・甘味10:00~17:30、食事11:00~17:00(土曜は16:00まで)
定休日:日曜・祝日
http://www.eitaro.com

山本山ふじヱ茶房
住所:東京都中央区日本橋2-5-1 日本橋髙島屋三井ビルディング 1階
電話:03-3271-3273
営業時間:10:30~20:00(L.O.19:00)
休日:年末年始
https://fujie.yamamotoyama.co.jp

朝から屋台を飲み歩き。10月は日本橋のべったら市と恵比寿講へでかけましょう!【神無月侯】
この記事をSNSでシェアする
この記事をSNSでシェアする