秋ですね。天高く、馬だけでなくあらゆるものが肥ゆる秋です。我がお腹よ……。
ところで、ふと思ったのです。
「秋ってなに?」
秋とはなんぞや
いや、四季の1つで、夏の次で冬の前(9~11月、旧暦では7~9月)の、紅葉がきれいでなんか食べ物がおいしい季節、っていうのは分かっているんです。でも、秋ってどうして「秋」っていうのでしょう?
「秋」の語源説
はい、毎度おなじみ、『日本国語大辞典』でございます。
(1)食物が豊かにとれる季節であることから、アキ(飽)の義〔東雅・南留別志・和訓集説・百草露・名言通・古今要覧稿・嚶々筆語・和訓栞・紫門和語類集・言葉の根しらべ=鈴江潔子〕。
(2)アキグヒ(飽食)の祭の行なわれる時節の意から〔祭祀概論=西角井正慶・文学以前=高崎正秀〕。
(3)草木が赤くなり、稲がアカラム(熟)ことから〔和句解・日本釈名・古事記伝・言元梯・菊池俗言考・大言海・日本語源=賀茂百樹〕。
(4)天候の明らかから〔日本釈名・滑稽雑談所引和訓義解・古今要覧稿・本朝辞源=宇田甘冥・神代史の新研究=白鳥庫吉〕。
(5)草木の葉のアキマ(空間)が多いの意〔類聚名物考・俚言集覧〕。
(6)アク(開)の義か。またはオキ(大)の転。穀物のみのりが大であるの意〔東雅〕。
(7)春の有に対し、ナキ(無)の義〔日本釈名〕。
(8)イタケミの反〔名語記〕。
(9)アツユキ(暑往)の義〔日本語原学=林甕臣〕。
(10)アはあざやか、キはきよらかな空の様子から〔槇のいた屋〕。
(11)アは接頭語、キはケ(食)の転。米の収穫季の意から〔日本古語大辞典=松岡静雄〕。
(12)「穫」の別音Ak の転音。アキの日、アキの頃などの語の略称〔日本語原考=与謝野寛〕。
うーん、こんなに語源説があるんですか……。
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クイズ!「麦秋・竹秋・夜の秋・涼し」秋の季語はどれ?答えは「全部秋」じゃないですよ!
「秋」の漢字の意味は?
じゃあ、どうして「秋」っていう漢字なのでしょう?
「禾」は穀物を、「火」は、乾かす・縮む・束ねる意味を持つ(または穀物につく虫の形を表す)「せう」という字の略字とされています。
実りのとき、収穫のときを表す字なのですね。
アイキャッチ画像:鈴木春信『Waves on Moonlight』メトロポリタン美術館より
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すずめは秋に貝になる!?不思議な言い伝えとその理由って?
参考文献:
・『日本国語大辞典』小学館
・『日本大百科全書(ニッポニカ)』小学館
・『デジタル大辞泉』小学館
・『小学館 全文全訳古語辞典』小学館
・『新選漢和辞典 Web版』小学館
・白川静『字通』平凡社