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Craftsmanship

2024.09.16

ここは鳥取民藝の聖地。日本初の新作民藝・牛ノ戸焼窯元へ【民藝の息づく街を訪ねて・鳥取編その5】

民藝の息づく2つの街を訪ねる旅「鳥取編」第5回は、鳥取民藝が生み出される現場へ。

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窯元に行くと、よりうつわへの愛着が湧いてきます

まずは、鳥取市河原町(かわはらちょう)の牛ノ戸焼の窯元へ。江戸時代末期より続く牛ノ戸焼(うしのとやき)は、地元の粘土と灰を使って梅模様の徳利など日用雑器を生産していましたが、昭和6(1931)年に「五郎八茶碗」が縁で吉田璋也の指導を受けた4代目小林秀晴が、緑釉黒釉の染分皿(そめわけざら)を最初に製作。柳宗悦より「形極めて美しい。将来牛ノ戸のものとして名を長く残すであろう」と、高く評価され、日本で最初の新作民藝の窯となりました。現在、6代目小林孝男さんと7代目小林遼司さんが日々作陶に勤しんでいます。

もう一軒は、鳥取市河原町の曳田川(ひけたがわ)の傍らにある人気の窯元、因州・中井窯(いんしゅう・なかいがま)へ。天然素材で調合する緑・黒・白の釉薬が特徴的な窯元です。2代目坂本實男(さかもとちかお)が吉田璋也の指導を受け、新作民藝の窯元としての礎を築き、当代の坂本章(あきら)さんが柳宗理(やなぎそうり)とのコラボレーションでさらに発展させました。日本陶芸展優秀作品賞を受賞する腕前で、手に馴染む質感にシェイプした、現代に合う〝用〟のうつわに仕上げています。

日本で最初の新作民藝運動の窯「牛ノ戸焼」

牛ノ戸焼の窯元で買える素朴で使いやすいカップ&ソーサー(カップ径8.5×高6.5㎝、ソーサー径14.5㎝)参考商品/牛ノ戸焼

左/日本で最初の新作民藝の窯となった牛ノ戸焼の工房で、高台を削る6代目小林孝男さん。右/元々の牛ノ戸焼は緑釉とこの伊羅保(いらぼ)釉の組み合わせだった。染分皿(径17㎝)・青と黒の染分コーヒーカップ&ソーサーはともに参考商品

【窯元情報】牛ノ戸焼

うしのとやき
住所:鳥取県鳥取市河原町牛戸185
電話:0858-85-0655
営業時間:9時~17時
休み:不定(訪問時は要予約)

現代の暮らしに合う染分のうつわ「因州・中井窯」

左/釉薬掛けに技あり、スマートな三色染分皿カッコいい! 因州・中井窯の三色8寸皿(径24×高4.5㎝)¥13,200・右/黒と白の交わる部分が美しい、モノトーンの染分角皿(縦20×横28.5×高4㎝)12,100円/ともに因州・中井窯

左/中井窯の釉薬の掛け分けの作業。緊張感が走る。右/手前でうつわの成形をしているのは現在の当主である三代目・坂本章さん。奥には、結婚したばかりの息子夫婦(宗之さん・侑希さん)が並んで轆轤(ろくろ)をまわす。

左/自然豊かな鳥取市河原町にある因州・中井窯。地元の山土から材料の粘土をつくっている。中/黒釉白釉の染分の器。右/昭和20(1945)年に開窯した中井窯の登窯(のぼりがま)。坂本さんの几帳面な性格から、ゴミひとつなく、薪は一分の隙もなく積み上げられている。

【窯元情報】因州・中井窯

いんしゅう・なかいがま
住所:鳥取県鳥取市河原町中井243-5
電話:0858-85-0239
営業時間:9時~17時
休み:不定休(訪問時は要予約)
https://www.nakaigama.jp

撮影/伊藤 信 構成/新居典子
※本記事は雑誌『和樂(2021~2022年12・1月号)』の転載です。
※表示価格はすべて税込価格です。掲載商品には1点ものや数量が限られているものがあり、取材時期から時間がたっていることから、在庫がない場合もあります。そのため、掲載商品の在庫がないもの、価格変更の可能性があるものは、「参考商品」と表記しています。
※営業時間や休みなどが変更になっている場合があります。お出かけの前に最新情報を確認してください。

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和樂web編集部

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