王妃の愛した庭園の情景をジュエリーに昇華させて
今回のコレクションは、18世紀にマリー・アントワネットの私室を飾ったとされるタペストリー《グラン・アナナス》に着想を得て制作されました。このタペストリーには、当時ヨーロッパで“果物の王”と称されたパイナップルを中心に、瑞々しい草花や果実が描かれ、幻想的な庭園の情景が広がっています。
新大陸で発見され、当時の最新技術を尽くし温室で栽培されるようになったパイナップルは、貴重で高価な果実として王権や富の象徴でもあったとか。その味わいだけでなく、家具の装飾やヘアスタイルにまで取り入れられ、まさに王侯貴族の憧れの的でした。
マリー・アントワネットもまた、その優美な姿と存在感に魅了されたのでしょうか。このエキゾチックな異国の果実を、私室の壁布にモチーフとして取り入れたのです。

パイナップル・イヤリング[果実部分:サファイ、サファイア(パープル、ピンク、イエロー)、ツァボライト、スペサルタイト・ガーネット、エメラルド、ルビー 計40石/8.11ct、ダイヤモンド(DEFカラー、VS+) 計60石/0.63ct 葉部分:サファイア(パープル、ピンク、イエロー)、ルビー、エメラルド、ツァボライト、スペサルタイト・ガーネット 計278石/2.30ct、ダイヤモンド(DEFカラー、VS+)計34石/0.12ct]18Kイエローゴールド/参考商品
《Jardin des Rêves》のジュエリーに使用されているのは、インペリアルトパーズ、タンザナイト、ピンクサファイアなど、豊かな色彩を持つカラーストーンたち。計22石・171.69カラットに及ぶこれらの宝石が繊細に組み合わされ、光と色のグラデーションが生み出されています。
中央には、《アナナス》(パイナップル)を象った取り外し可能なペンダントトップがあしらわれ、ネックレスとしてもイヤリングとしても楽しめる仕様に。精緻な技術と遊び心が融合したデザインは、まるで王妃の自由な美意識に呼応するかのよう。さらに、メレリオ独自の技術である“Mellerio カット”のダイヤモンドや、繊細な金細工など、細部に至るまでメゾンのクラフツマンシップが凝縮されています。
マリー・アントワネットとの歴史的な繋がり

1613年にパリで創業したジュエリーメゾンであるメレリオは、400年以上にわたりフランス王室や世界中の王侯貴族と関係を築いてきました。
マリー・アントワネットとの出会いは1780年にまで遡ります。当時15歳だったイタリア人宝石商のジャン=バティスト・メレリオは、宝石商の証である長い鞄「マルモット」を下げ、ヴェルサイユ宮殿の門前に立っていました。ある日、そこを通りかかった王妃マリー・アントワネットの馬車が止まり、彼女はローマ皇帝7人を刻んだカメオをガーネットの花葉で繋いだブレスレットを購入します。この出会いをきっかけに王妃は顧客となり、親しい友人への贈り物として重用しました。1786年には、このブレスレットをブラディ伯爵夫人に贈ったとされ、現在はメレリオが所蔵する歴史的逸品となっています。
このエピソードをきっかけに、メレリオは王妃のジュエラーとして知られるようになり、以降も多くのロイヤルクライアントに愛され続けてきました。今回の新作は、そうした歴史の延長線上にある、王妃への深い敬意を込めた作品といえるでしょう。
美しさへの限りない探求
Astra Marina / © BFA 2025
コレクションを手がけたのは、メレリオCEOでアーティスティック・ディレクターのロール=イザベル・メレリオ氏。2018年に事業を引き継ぎ、400年の歴史と伝統を受け継ぐ使命を託されて以来、その価値を深く尊重しながら、自らの感性と創造力を重ね合わせてきました。芸術性の高いジュエリーを生み出し続けてきたその手腕は、今回の《Jardin des Rêves》にも存分に発揮されています。

「何もかもが美しくあらねばならない(Nothing is too beautiful)」──マリー・アントワネットがそう語ったとされる美への姿勢。その感性を、現代のクラフツマンシップと芸術性でメレリオは見事に昇華させました。
《Jardin des Rêves》は、一点のみ制作された特別なジュエリーであり、同メゾンの「ピエールリ」や「ジャルダン ピエールリ」など歴代コレクションの系譜を継ぎ、新しい創作の扉を開く存在です。王妃の美意識と遊び心を宿した本作は、メゾンの歩みに新たな物語を加えることでしょう。
問い合わせ
メレリオ 03-5817-7550
公式ウェブサイト https://mellerio.jp

