古墳時代の枕は、葬送の道具?
なんと古代の日本人も枕を使っていたようで、古墳時代の遺跡からは、石枕や木枕のような遺物が発掘されています。ただ当時は、生者のためのものではなく、棺内に死者を安置するための道具だったようです。葬送儀礼で、重要な役割を果たしていたのですね。
現存する日本最古の枕とは
生活具としての枕は、『万葉集』に草枕や木枕が詠まれていて、枕が使用されていたことが、うかがえます。奈良県の正倉院(しょうそういん)※1には「白練綾大枕(しろねりあやのおおまくら)」が保管されていて、これが現存するなかでは、日本最古のものといわれています。形状は草を集めて四角くしたものを、高級な絹の布で包んでいて、当時の貴族文化を知る貴重な枕です。
時代と共に変化する枕
室町時代になると、実用性が求められるようになり、現代でも使用されているそば殻の枕が登場します。江戸時代になると、布の袋に詰め物をし、両端を紐で縛った「くくり枕」も普及。詰め物には、通気性の良いそば殻やもみ殻が使われたようです。中国から伝わった陶磁製の枕は、中は空洞で表面がひんやりしているため、夏の贅沢品として上流階級の人々が愛用したのだとか。
そして複雑な髷(まげ)※2を、男女ともに結うようになると、それに合わせた枕に変化していきます。木などで作られた箱形の台座の上に、綿やもみ殻を詰めた小さなくくり枕を乗せた形状のもので、箱枕と呼ばれました。寝ている間に髪型が崩れるのを防ぐ目的で、首の付け根にあてて、使用したようです。うーん。この枕で、安眠できたのでしょうか?それよりも髪型の方が大切だったのでしょうね。
平らな枕は昭和になってから
昭和の初めごろになると、洋風の平らな枕へと変わります。中頃になると、身近な材料であるそば殻や、綿を使った枕が家庭の定番になりました。昭和の時代を経て、快適に眠るための道具へと進化し、低反発もしくは高反発のウレタン素材やラテックス素材の枕、さらにはオーダーメイド枕など、様々な機能性枕が開発されています。枕は、日本人の暮らしに深く関わるアイテムだったのだと、改めて感じました。
参考文献:『世界大百科』平凡社、『日本大百科全集』小学館
アイキャッチ:『括り枕持てる美人』鈴木春信画 colbase

