日本文化は難しそう! とっつきづらい! ハードル高すぎっ! そんなふうに敬遠している人が、今の世の中、圧倒的に多いような気がします。和樂webはそんな日本の常識を変えるべく、あらゆる人にとっての日本文化の入り口(=興味を持つきっかけ)となる、知的好奇心をくすぐる情報を発信しています!
さて、今日はそんな和樂web編集部によるワークショップ「コンビニでみつけたニッポン」の様子をお届けします。…えっ、とつぜんワークショップ? はい! ライターのみなさんと一緒になって、身近な「日本文化の入り口」をみつける実験的企画です。
ワークショップ、コンビニでみつけたニッポン!
和樂webでは、ライターのみなさんを対象に隔週で「おせっ会」なる、ざっくばらんな交流会を実施。最近はその時間を使って、不定期にワークショップを開催しています。ワークショップのテーマは「コンビニでみつけたニッポン」。
参加者は4つのグループに分かれて、それぞれコンビニでみつけた「日本文化の入り口」を3分間で発表します。例えば、いきなりお茶の歴史の話をするよりもペットボトルのお茶の進化から歴史に入った方が、ハードルはぐっと下がりますよね? そういうコンビニに潜む「日本文化の入り口」をみつけて、記事にするならどんなストーリーにするかを発表するのが、このワークショップのゴールです。
発表される企画は毎回さまざま! 商品や棚、コンビニのシステム、パッケージなどなど。目から鱗なアイデアも飛び出るので、発表を聞いているだけでもワクワクします。
はたして、どんな企画が飛び出てくるのか?
…と発表の前に、前回までのワークショップをきっかけに生まれた記事を6つ紹介します。
過去には、こんな記事が生まれました!
▼缶コーヒーは日本独自の文化だ!在日米軍人が絶賛した理由とは?
▼ 金鳥の夏! 日本の夏! コンビニで出会った「蚊取り線香」は、ニッポンの発明品だった!
▼ 熱々コンビニおでんのルーツは茶の湯?できたて料理が好きな日本の食文化
▼ サンマが恋しい!コンビニでみつけた最初の秋は「キリン 秋味」だった!
▼ え゙、おにぎりって弥生時代からあったの!? 歴史を知るともっと美味しいコンビニおにぎりの話
▼ サラダパン味やザンギ味まで。2019年度版「ご当地ポテトチップス」にびっくり!
これまでにない調査や考察、中にはメーカーへの取材につながったものもあり、和樂webとしては新たな取り組みとなりました。
…というわけでおまたせしました!
今回のワークショップで生まれた企画の紹介にうつりましょう。4チームそれぞれの企画は、このようになりました!
コンビニでみつけたニッポン、企画発表〜!
1.冬のビールペアリング!
進藤つばらさん、富江弘幸さん、ほしろみさんチーム
発表したのは、4つの企画!
(1)「冬のビールペアリング」
煮魚、牛すじ煮込み、キムチ鍋…寒い季節は、味の濃い料理がおいしい〜! そんな冬の料理にピッタリなビールは? どうやって見分けるの? 初心者でもわかる見分け方ポイントを紹介します。
(2)「日本におけるビールの歴史」
日本初のビール、日本初のビアホールって? ビールとグラスのマッチングは? ビールに合う日本の鍋は? ビールを得意とするライターの富江さんが徹底解説します!
(3)「コンビニで一人鍋が売られるようになった理由は?」
いつのまにか当たり前になったコンビニの一人鍋。コンビニの一人鍋は、手軽でおいしい! 深夜に帰宅するサラリーマンにも大人気。その誕生ストーリーに迫ります。
(4)「四国のおでん、おすすめはコレ!」
四国出身のほしろみさん。東京のおでんと四国のおでんは「たね」がちょっと違うんだとか。ローカルおでんを解説します。
《編集長からのフィードバック》
1と2は富江さんの強みを生かした個性的な記事になりそうですね! 3や4は、サラリーマンに限定した話や地域差の比較だけでなく、従来のコンビニの役割を超えたコンビニの機能についてまで触れられるとおもしろそうです。近年は過疎地のライフラインとしての役割も果たしているし。「世界一の高齢大国になりつつある日本におけるコンビニの役割とは!」 なんて話にしてみても。
2.アイスおでんカイロ!
宇野なおみさん、小林由弥さん、あきみずさんチーム
発表したのは、3つの企画!
(1)「個性的なご当地アイスに迫る!」
コンビニのアイスの棚、よ〜く眺めてみると、地方限定物がちらほら。「信玄餅アイス」をはじめ、日本各地のご当地アイスを集めて日本文化の多様性を語ります!
(2)「カイロは日本発の発明品だった」
海外の人がコンビニでみつけて驚くもののひとつ、カイロ。実は日本が誇る発明品なのです! 日本人の「工夫」の歴史がそこから見えてきます。
(3)「おでんのおだしと具材を徹底調査!」
おにぎりには地域差がありますが、コンビニのおでんにも地域差はあるんでしょうか? ローカル「たね」があるのか、おだしの味に差があるのか徹底調査します!
《編集長からのフィードバック》
1のご当地アイス企画、あきみずさんの得意分野を生かすのであれば、信玄餅アイスの話から歴史の話や武器の話に持っていってもおもしろそう。2のカイロはメーカーさんにぜひお話をうかがいたいですね! ヘェ〜がいっぱい飛び出るんじゃないでしょうか。3のおでんは、調査のなかで日本全国を巡ることで、日本文化のバリエーションを表現できそうです。
3.冷めてもおいしい弁当、自由に使えるトイレ!
笛木あみさん、小林聖子さん、きむらさんチーム
発表したのは、4つの企画!
(1)「冷めてもうまいぞ!コンビニ弁当」
冷めてもおいしい弁当を起点に保存食文化の歴史から縄文時代の保存技術の話まで。縄文時代から「あとで食べてもおいしいよ」にこだわる日本人! …というトンデモ論を展開します。
(2)「コンビニの無料貸し出しトイレから見えてきたものは…」
無料で使えて、しかもきれい! こんなのきっと日本だけ。コンビニのトイレから日本人のおもてなし精神を辿ります。
(3)「雑誌の表紙を定点観測したら季節が見えてきた!?」
(4)「カレンダーより細かい!?期間限定スイーツ」
海外はイースター=春、クリスマス=冬のような季節の感じ方があるけれども、日本はその時期に見えるものや風景から季節を感じる傾向があります。…ということは、もしかすると雑誌の表紙やスイーツからも暦が見えてくる、かも?
《編集長からのフィードバック》
日本の保存文化のルーツと縄文の保存食は深みが出そう! 2のコンビニのトイレはそこから精神論もおもしろいですし、日本の最新トイレがおそろしいことになってる! みたいな技術的な話に着地してもおもしろそう。あとは、トイレから入って消臭の歴史、最終的に神道までつなげられたらスゴイですね。
4.のどあめと缶詰の歴史!
黒田直美さん、とまこさんチーム
発表したのは、2つの企画!
(1)「日本人の常備薬・のどあめの歴史が深すぎる!」
乾燥する季節に手放せないのどあめ。パッケージの進化や、菓子としてのあめからの変化を書くことで、発明の歴史を辿ります。
(2)「保存食だけじゃないぞ缶詰の世界」
名古屋だと「牛すじ八丁味噌煮込み」の缶詰とかあるんです。日本人の器用さとか地域性、バラエティに富んだ食文化が伝えます。
《編集長からのフィードバック》
飴の歴史は壮大になってしまうので、のどあめの歴史に絞ると良さそうです。 のどあめのバリエーションにも目を向けて、のどあめの多様化から日本文化を語ってみるのも楽しそう。2の缶詰は、富士山の空気とかまりもとか、なんでも缶詰にしちゃう日本人の発想力を切り口にしてもおもしろいし、災害大国日本というテーマで調査しても深みが出そうです。
あれもこれも、日本文化の入り口かも?
以上が、今回発表した4グループの企画でした。私、白方は「冷めてもうまいぞ!コンビニ弁当」が気になりましたが、みなさんは気になる企画、みつかりましたか? 近々コンビニへ行くことがあれば、棚や商品をじっくり観察して「日本文化の入り口」を探してみると、おもしろいかもしれません。
さて、冒頭の話に戻りますが、日本文化はやっぱりハードルが高く見えるもの。そのうえジャンルが広すぎて、定義が難しく、人によって抱くイメージも考え方もさまざまです。「茶の湯」や「歌舞伎」といった伝統的なものもあれば、「アニメ」や「ゲーム」など近代的なポップカルチャーも含まれることがあります。和樂webでは、そんな日本文化の本質を「多様性」ととらえ、多様な日本文化とその楽しみ方を気軽にシェアできる世界を目指しています。
今回ワークショップのテーマに「コンビニ」を設定したのは、日本文化の多様性が息づく身近な場所だから。でもコンビニに限らず、スーパーも居酒屋も百貨店も100円均一もカフェも。なんでもどこでも、実は「日本文化の入り口」だらけなんですよね! ちょっと視点をずらして観察するだけで、当たり前の行動やものごとから、自分の知らなかった日本文化の扉が見えてくるはず。このワークショップや記事が、気楽に日本文化にふれるきっかけになってくれたら、嬉しいです。
さて和樂webのnoteでは、今日ご紹介したワークショップなど、webメディア制作の裏側や編集にまつわる話を掲載しています。気になる方は、ぜひ一度お読みください!
▼和樂webのnoteはこちら!
https://note.mu/warakumagazine
▼おせっ会@名古屋のレポート!
ひつまぶしを食べながら和樂webを語る。おせっ会名古屋レポート