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2025.04.12

反骨の火種が大爆発!蔦重亡き後に巻き起こった“ブーム”とは? 大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ【U】

吉原に生まれ、自力で江戸の〝メディア王〟となった男・蔦屋重三郎(つたやじゅうざぶろう)の仕事からプライベートまでを、AからZで始まる26の項目で解説するシリーズ【大河ドラマ「べらぼう」を100倍楽しむAtoZ】。今回は「U=歌川派や北斎が活躍」をご紹介します! Zまで毎日更新中! 明日もお楽しみに。

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蔦重AtoZ
U=歌川派や北斎は蔦重の没後に大出世!


歌麿、写楽という、蔦重が生み出した浮世絵師のスーパースターは、寛政の改革による規制に抗いながら成功を勝ち得ました。蔦重の反骨心(はんこつしん)があったからこそ、庶民文化が弾圧された時代にも、浮世絵の火は消えなかったのです。

蔦重が亡くなった後の19世紀前半に、浮世絵ブームが巻き起こります。その火付け役となったのが若き日に蔦重のもとで狂歌絵本などを描いた葛飾北斎(かつしかほくさい)です。さまざまな地点から見た富士山を大胆な構図とともに描いた『冨嶽三十六景』シリーズは、海外の美術ファンも驚く斬新さでした。

世界に知られるスーパー浮世絵師・葛飾北斎

富士山と大きな波を組み合わせた、海外で最も有名な日本美術作品がこれ!

『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(ふがくさんじゅうろっけい かながわおきなみうら)』 葛飾北斎 横大判錦絵 江戸時代・19世紀 東京国立博物館 出典:ColBase(https://colbase.nich.go.jp)

▼葛飾北斎について詳しくはこちら
年表で知る葛飾北斎の偉業。欧米へ与えた影響がスゴイ!

浮世絵風景画の巨匠といえば歌川広重

同じころ、歌川広重は『東海道五拾三次』シリーズを発表し大ヒット。これらの風景画が台頭した背景には、東海道をはじめとする五街道(ごかいどう)が整備されたことによる旅行ブームがありました。

江戸庶民の旅行熱を盛り上げた、東海道の各宿場を描いたシリーズ。『東海道五拾三次之内 日本橋 朝之景(とうかいどうごじゅうさんつぎのうち にほんばしあさのけい)』 歌川広重 横大判錦絵 江戸時代・19世紀 メトロポリタン美術館 The Metropolitan Museum of Art, Rogers Fund, 1918, JP471

関連記事:北斎や広重が描いた浮世絵「風景画」とは?世界が注目した作品も紹介!

武者絵から戯画までなんでも描いた歌川国芳

広重と同年に生まれた歌川国芳(うたがわくによし)は、『相馬の古内裏』のような大判錦絵3枚続きの大胆な武者絵(むしゃえ)や、猫や金魚を擬人化した戯画、美人画でも活躍しました。

山東京伝の読本(よみほん)をベースに、大胆なアレンジを加えた、国芳の作画のセンスが光る! 『相馬古内裏(そうまのふるだいり)』歌川国芳 大判錦絵3枚続き 江戸時代・19世紀 国立国会図書館デジタルコレクション

これらの個性的な絵師の才能が花開く時代の到来を、蔦重は予期していたのでしょうか?

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和樂web編集部


構成/山本 毅 ※本記事は雑誌『和樂(2025年2・3月号)』の転載です。 参考文献/『歴史人 別冊』2023年12月号増刊(ABCアーク)、『蔦屋重三郎と江戸文化を創った13人 歌麿にも写楽にも仕掛人がいた!』車浮代著(PHP研究所)、『これ1冊でわかる! 蔦屋重三郎と江戸文化』伊藤賀一著(Gakken)
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