〝原寸〟作品、佐伯祐三『立てる自画像』の全貌

明治・大正・昭和時代に〝芸術村〟だった新宿を回顧
2026年に開館50周年を迎える東京・新宿のSOMPO美術館で開催されるのが、〝新宿〟をテーマにした企画展です。
明治時代末期、画家や作家など新進的な芸術家が集まったのが新宿でした。
「新進の芸術家たちを支えたのが『新宿中村屋』の創業者、相馬愛蔵(そうまあいぞう)・黒光(こっこう)夫妻です。日本の近代美術のルーツのひとつともいえるこの中村屋サロンと、文学同人誌の『白樺』の拠点が新宿だったのです」(SOMPO美術館 本展担当学芸員:古舘遼〈ふるたてりょう〉さん)
才能と意欲に満ちた画家や彫刻家、作家に音楽家など、さまざまなジャンルの芸術家たちが集った新宿という街を通して改めて鑑賞する日本のモダンアート。
今回(本誌で)、原寸サイズで見ていただいたのは、新宿・下落合に拠点を置いた画家、佐伯祐三(さえきゆうぞう)の作品です。
「妻子とともに渡ったパリで作品をアカデミック(格式的)だと批判されたことがひとつの転機となり、佐伯は写実から都市の風景を速記的に描く画風へと変貌を遂げます。本作は塗りつぶされた顔に目がいきがちですが、筆運びを見てください。一気呵成に走らせたような、迷いのない筆跡が見て取れます」
写実画を描いていたとは思えない風変わりなこの作品。
正面向きに立つのに足元だけが真横を向いているという点にも注目です。
〝写実〟から〝へたうま〟へ!?

自画像の代表作。写実的な描写から脱したのちに確立した速記的な画風によるもので、塗り直しがなく、塗り残しも気にしていない、まるでひと筆で描いたかのよう。背景には遠近をつけているが、人物は紙人形を思わせる平面的なシルエット。正面を向いて立つ姿勢は画家としての自負をうかがわせる一方で、顔面は描いたあとにパレットナイフで削り取られ、その表情はうかがえない。不思議な魅力をたたえた作品。
「開館50周年記念 モダンアートの街・新宿」
SOMPO美術館(東京) ~2月15日

SOMPO美術館DATA(和樂提携美術館)
住所:東京都新宿区西新宿1-26-1
電話:050-5541-8600(ハローダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(金曜日は~20:00) ※入館は閉館の30分前まで。
休館日:月曜日(ただし月曜日が祝日・振替休日の場合は開館、翌平日休館)、展
示替え期間、年末年始
公式サイト:https://www.sompo-museum.org/
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