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Craftsmanship

2025.01.27

毎日使ってスゴさがしみる! 「辻和金網」の京金網【手仕事の京都・道具名品編1】

京都は平安時代以来、芸術文化を紡いできた美しき都です。その歴史は、暮らしの名品から骨董、工芸、和菓子などの〝超絶技巧〟を生み出し、今も伝統が息づいています。 そこで、〝手仕事の京都〟をクローズアップ! かつて道具は職人がつくるもので、自分好みにオーダーしたり、修理を重ねたりして、大切にされてきたものでした。そんな道具が数多く残るなかから、京都ならではの京金網の技を受け継ぐ職人と、その手から生まれた〝道具名品〟を紹介します。

「手仕事の京都」シリーズ一覧はこちら

「辻和金網」の京金網

使い手の要望をかなえながら、たくさんのヒット作を生み出した

京金網(きょうかなあみ)は、平安時代に始まった当時は大変高価なもので、一般に広まったのは近代以降。針金を手で編んでつくられてきた京金網は、まさに職人の手仕事の賜物(たまもの)です。その伝統を受け継いでいるのが辻 泰宏(つじやすひろ)さん。昭和8(1933)年にプロ用の専門店として工房を創業し、25年ほど前から一般客への販売も行うようになった、「辻和金網」の3代目です。

店内の奥の部分は工房を兼ね、金網の材料となる針金やつくりかけの網、型などがそこかしこに。その一角の作業スペースに、辻さんが金網を一心に編む姿があります。

店内は、道側が販売スペース、奥が工房。奥の作業台で辻さんは京金網を製作中。

「丈夫で使いやすい」にこめられた、職人のこだわりを見よ!

京金網の基本は〝亀甲(きっこう)編み〟という手法。均一な編み目は型を用いますが、手仕事には形や大きさを自由に変えられる利点があり、客の要望に応じた新製品も続々登場。特に話題になったのが、超絶おいしいトーストが焼ける「手付き焼網(やきあみ)」。ガスの火に近いほうに細かい編み目の受け網をつけ、火が均等に当たるよう工夫された焼網は、改良をくり返し、素材や形も多種多様。〝キャンプめし〟でも大人気です。

また、コーヒーがおいしく淹(い)れられると評判の「手編みコーヒードリッパー」や、豆腐が崩れない「湯どうふ杓子(しゃくし)」など、人気作が多く、それぞれ修理も受け付けます。
そんな京金網の使い方や魅力を、つくり手から説明してもらえるのも、こちらならでは!

ひとつひとつの工程を丁寧にくり返しながら、名品を生み出していく

左/人気商品「手編みコーヒードリッパー」の亀甲編みの工程が終了。辻さんの作業スペースは思いのほか狭いが、必要な材料と道具がきちんと整理されていて、進行はスムーズ。右/ベースとなる輪の部分に取り付けた金網の銅線をニッパーでカット。

左/ペンチを使って輪に銅線を丁寧(ていねい)に巻き付ける。こうして繊細な「手編みコーヒードリッパー」が完成。右/工房らしく、製作途中のものがあちこちに。これはステンレスの網を用いた水切り。「手付焼網」にも、ステンレスの針金を編んだものなどのバリエーションがある。

辻さんの名品1・ペーパーフィルターで淹れるコーヒーが断然おいしくなる!

円錐(えんすい)型のペーパーフィルターに合わせた最新の手編みコーヒードリッパー(大)7,700円、(小)6,050円。このままカップに載せて使って!

辻さんの名品2・パンも餅も肉も魚も野菜も絶妙に焼き上がる

銅手編み手付焼網(大 22.5×22.5×全長33.5㎝)11,000円。網は修理ができ、サイズや素材はほかにも多様。

辻さん名品3・修理して使い続ける人多数。一家にひとつの必需品!

湯どうふ杓子、右から(ステンレス)〈特大〉2,750円・丸〈大〉2,530円、(銅)六角〈中〉2,420円

「辻和金網」店舗情報

読み方:つじわかなあみ
住所:京都市中京区堺町通夷川下ル亀屋町175 
電話:075-231-7368 
営業時間:9時~18時
休み:日曜・祝日 
公式サイト:http://tujiwa-kanaami.com/

※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込です。掲載商品は、売り切れや販売期間の終了の場合があります。価格や営業時間も変更される可能性がありますので、お出かけの前に公式サイトなどでご確認ください。

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和樂web編集部


構成/山本 毅 撮影/内藤貞保
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