Craftsmanship

2025.02.18

やきもの好きをうならせる品揃え。人気スタイリストchizuさんと骨董の名店「うつわと古物 幹」へ【手仕事の京都】

洋空間のインテリアやテーブルコーディネートに、人の手がつくり出し、長い年月大切にされてきた骨董の品がスパイスになることがあります。 「手仕事の京都」では、室内スタイリングの先駆者であるスタイリストのchizuさんと、タイプの異なる4軒の骨董店を訪ねました。 chizuさんならではの骨董店でのモノ選びと、即興コーディネートに注目です!

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骨董と現代の手仕事が見事に調和、やきもの好きをうならせる品揃え「うつわと古物 幹」

「旅先でのお買い物って楽しいですよね。それが京都の骨董店なら、なおさら気分が上がります」。物選びのプロであるchizuさんですが、時間のない旅先で迷いながら買って失敗することもあるそう。

左/店舗は寺町通(てらまちどおり)からも徒歩圏内。1階では現代作家の企画展も。靴を脱いで上がる2階にも骨董や現代のものが。右/入り口脇の古いチェストの上を借りて、あれこれ置き合わせてみるchizuさん。

「豆皿や箸置きなど、お値段が手ごろで荷物にならないものをひとつふたつ購入して帰り、その店との相性をはかってみるのも賢い方法かもしれません。そうして京都になじみの店をつくっていくのも楽しいですよね。ここはオープンしてまだ5年目という骨董店としては新しい店ですが、小さな宝物がたくさんあるように感じます」。

店主の下西 幹(しもにし かん)さんのお話を聞いていると、骨董も現代の品も、由来やつくり手の思いが汲み取れたものを扱っているのがわかります。

「物やつくり手への愛情を感じるセレクトに心惹かれます」(chizuさん)

左/豆皿や蕎麦猪口(そばちょこ)などは、比較的手ごろな価格のものも多く、かさばらないので旅先でも買いやすい。同じものには二度と出合えないのも骨董の魅力。右/ひしゃげてしまったうつわだが、破棄されず下西さんの元へやってきた。「姿もいいし、花器や片口のようにも使えますね」とchizuさん。

「骨董って不思議な商売です。買い取りもするので、店からの一方通行でなく、買っていただいた方から戻ってくることもある。長く使っていただくのが理想ですが、お客様の手を離れることもあると想定した値付けをすることが、骨董屋としての責任だと思っています」と下西さん。

今回chizuさんがコーディネートしたのは、小さなうつわたちの饗宴です。あれこれ酒肴をつまみながら楽しむ〝ひとり酒盛り〟が完成しました。

chizu’s select 小さなうつわをあれこれたくさん。家吞みがもっと豊かな時間になる

写真の取り合わせのなかに現代作家のものがありますが、違和感はないでしょう? 
豆皿やしょうゆ皿、手のひらサイズの小鉢などは、形、色、柄、素材がバラバラでもいいんです。あえてそうすることでリズム感が生まれ、楽しいお酒が飲めそう(笑)。
江戸後期以降の買いやすい値の品が多いのもこの店の魅力です(chizuさん)。

〝つまみをあれこれ並べてひとり吞み〟という気分でセレクト。左端の雪輪紋(ゆきわもん)の豆皿(2,000円)は、「ちょっと下手うまな手描きが愛らしい」とchizuさん。灯芯(とうしん)押さえという道具(3,000円)を箸置きに、鮮やかなブルーのガラスの簪(かんざし)(2,000円)をマドラーに見立てた。緑釉(りょくゆう)がかかった四角いやきものは、信楽(しがらき)の作家、谷穹(たにきゅう)さん作(2,200円)。

【profile】chizuさん
1955年、九州生まれ。スタイリスト。食やインテリアを中心にしたスタイリストのパイオニア。店舗や商品開発にも携わる。著書に『私をぐっと素敵に見せる大人のおしゃれのひとさじ』(PHP研究所)が。

お店の入り口と、店主の下西さん。以前はヨーロッパの古い家具を扱う仕事をしていたとか。そんなセンスの片鱗もあちこちに。

うつわと古物 幹(うつわとこぶつ かん)

住所:京都府京都市上京区河原町通丸太町上ル出水町274 
電話:070-2181-4605 
営業時間:12時~17時
休み:日・木曜
公式サイト:https://utsuwatokobutsu-kan.com/

※本記事は雑誌『和樂(2024年4・5月号)』の転載です。
※掲載価格はすべて税込で、価格や営業時間などは変更される場合があります。お出かけの前にご確認ください。

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和樂web編集部


構成/小竹智子 撮影/篠原宏明
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