【銀座】縁遠いなんて言わないで。ちょっと知ってもらいたいんです「厨子」のこと

【銀座】縁遠いなんて言わないで。ちょっと知ってもらいたいんです「厨子」のこと

目次

銀座一丁目あたりをフラフラ歩いていると、「ギャラリー厨子屋」と書かれた小さな緑の看板が目に入ります。

厨子(ずし)とは、仏壇の原点でもあり、大切なものを納める箱として、そのかたちは古くから日本に根付いている

と説明がありますが、私たちの生活にはあまり馴染みがないですよね。“厨子”に対して、「秘仏とかが入っているところ〜」くらいの認識しかなかった私きむらが「ギャラリー厨子屋」を訪ね、そもそも厨子ってなに? 仏壇との違いは? 生活のなかでの役割って? 数ある疑問を解決してきました!

ギャラリー厨子屋とは?

厨子を身近に感じ、暮らしに取り入れるための第一歩となってくれるのが、「ギャラリー厨子屋」です。ギャラリー厨子屋は、1900年創業の仏壇・仏具・位牌メーカー「アルテマイスター」のアンテナショップ。2002年に銀座にオープンしました。

小さな階段を降りていった先の店内には、様々な厨子がずらり。ここでは、自分の住居にぴったりな厨子と出合うことができます。

経典をいれるための筒状の容器である「経筒」のかたちを写した厨子

内部に格天井(ごうてんじょう)のような装飾が施されている芸術的な厨子もあります!

ギャラリー厨子屋には、厨子以外にも、かわいい仏さまやお守りなども置いてあります

そもそも厨子ってなに?

厨子とは、仏像や仏舎利・経典・位牌など、大切なものを納める箱のこと。もともとは、仏像や経文を安置するために壁面や塔内などに設けられた小室、「仏龕(ぶつがん)」が発展したものだと伝わります。そのかたちは、中国の厨房で調度品を納めていた容器を応用したといわれており、「厨子」の“厨”は、「厨房」からきていることが考えられます。

法隆寺が所蔵する「玉虫厨子」。飛鳥時代の仏教工芸品で、日本建築を知る上で貴重な遺産として国宝に指定されています

本棚のような簡単なかたちの「棚厨子」は、平安末期の絵巻物『信貴山縁起(しぎさんえんぎ)』や鎌倉時代の『絵師草紙(えしのそうし)』などにも登場。食べ物や食器などがのせられているところから、この時代には、まだ厨子が日用品を整理するためのものであったことがわかります。

厨子と仏壇の違いは?

画像提供/アルテマイスター

ご本尊やご先祖様のお位牌をお納めするように、仏様をお祀りするのが仏壇です。一方厨子は、お守りや形見なども納めることのできる、「大切なものを入れる箱」。1家に1基しか置くことのできない仏壇に対し、厨子は1家にひとつでなくても良いというところが大きく異なる点です。

厨子にはどんな種類が?

屋根が丸みをおびている「丸厨子」や横に広がっている「木瓜厨子」など、厨子は主に屋根のかたちによって種類が分けられています。

現代の生活のなかでの厨子の役割は?

「大切なものを入れる箱」ということを原点に、新しい祈りのかたちを提案するアルテマイスター。代表取締役社長・保志康徳さんにお話を伺いました。

ー 実際に厨子を生活に取り入れている方は、どんな使い方をされているのでしょうか?

宗教宗派にとらわれることのない自由な空間である厨子は、さまざまな使い方をすることができます。亡くなった大切な人の供養のために、小さな仏壇として使用することはもちろん、自分の大切なものを納めて自身の祈りの場として設置したり、インテリアのひとつとして取り入れて心の拠り所にしている方もいらっしゃいます。

画像提供/アルテマイスター

ー アルテマイスター/ギャラリー厨子屋が提案する「新しい祈りのかたち」とは、具体的にどのような祈りなのでしょう。

祈りの定義はそれぞれの立場によって異なると思うのですが、アルテマイスターが祈りのテーマとして捉えているのはふたつあります。ひとつは「幸せを願うこと」。自分の幸せはもちろんですが、家族や自分以外のみんなの幸せを祈るということです。これは宗教宗派に関係なく、普段から人が何となしに祈っていることではないでしょうか。もうひとつは、「明るく元気に生きて行くための祈り」。人生には受け入れ難い事実など、いろいろなことがありますよね。それを受け入れて乗り越えていくのも祈りの力だと考えています。

ー 確かに、そんな風に考えてみると、普段の生活のなかでも“祈る”ことはたくさんあります。ではそんな現代の祈りに対し、厨子の役割とは?

仏教が日本に入ってきてからは、それぞれの信仰の対象を仏壇や厨子にお祀りして、そこに祈りを捧げていた。機能的な世の中になった現代でも祈ることはたくさんありますが、住居事情にあわせて、仏壇や床の間などが無くなって、精神的な安らぎの場が減ってしまっているのです。もちろん、祈りの対象や空間がなくても祈ることはできるので、全くなくてもいいのです。でもやっぱり、象徴があったほうが祈りやすいですよね。なので、どんなに小さくても、祈りの空間として厨子を生活に取り入れることを私たちは提案しています。

ギャラリー厨子屋を訪ねてみて

今まで、まったく意識することはありませんでしたが、確かに生活のなかで“祈る”ことはたくさんあります。もしかすると、誰もいない部屋に向かって「いってきます」とつぶやいている時間を、自分にとって大切なものを納めた厨子に「今日一日頑張れますように」という思いを込めて「いってきます」と言う。そんな時間にシフトするだけでも、また違った生活になるのかもしれないと感じました。

厨子について、祈りの空間について、もっと知りたい! 今の暮らしに取り入れたい! という方は、ぜひ「ギャラリー厨子屋」を訪ねてみてください。きっと、新しい発見があるはずです。

◆ギャラリー厨子屋
住所 東京都中央区銀座1-4-4 ギンザ105ビルB1F
TEL 03-3538-5118
営業時間 11:00〜19:00
定休日 火曜日
公式サイト

取材協力/ギャラリー厨子屋

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