平安時代に紫式部が書いた『源氏物語(げんじものがたり)』の主人公・光源氏(ひかるげんじ)の詳しいプロフィールを紹介! 意外な一面を知ったら、光源氏を見る目が変わるかも!?
光源氏の両親と誕生ストーリー
父:桐壺帝(天皇)
母:桐壺更衣(とびきりの美女、身分はそこまで高くなかった)
『源氏物語』の舞台は、華麗なる王朝文化が花開いた平安時代。平安文化を担っていたのは、当時の皇族や貴族たちでした。そのトップに君臨するのが天皇。光源氏は天皇の息子なので、身分の高さは桁違い、雲の上の存在です。
当時の天皇には何人もの妻がいて、妻の身分によって子どもの身分も左右されました。光源氏の母はそこまで身分が高くはなかったものの、その美貌から桐壺帝に愛され光源氏を生みました。しかし、他の妻たちから嫉妬による嫌がらせを受け、心身を病み、幼い光源氏を残して亡くなってしまいます。
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幼い光源氏を残してこの世を去った、母と祖母。孤独に戦った2人の無念
「光源氏」は本名じゃない。あだ名みたいなもの
光=苗字、源氏=名前? 実は違うんです!「じゃぁ一体何なの?」ということを紹介します。
「源」は天皇からもらった姓
「光源氏」という呼び名は、本名ではありません。光源氏はさまざまな理由により、臣籍降下(しんせきこうか、皇族の身分を離れ臣下に下ること)します。その際に「源(みなもと)」という姓を賜りました。これが「源氏」と呼ばれる理由です。
「光」はキラキラしているから
光源氏の「光」は、彼が幼い頃から輝くように美しかったためについた、いわゆる「あだ名」のようなものです。つまり光源氏という呼び方を現代に例えるなら「イケメン高木さん」みたいな感じでしょうか。
平安貴族はあまり名前を教えない
「じゃぁ、一体光源氏の本名は何なの!?」と気になるかもしれませんが、本名はわかりません。平安時代、本名は非常にプライベートなものであまり人に教えなかったのです。男性はその時に就いている役職で呼ばれることが多く、光源氏のライバル「頭中将(とうのちゅうじょう)」も、役職の名前です。今でも「社長」とか「部長」とか呼びますよね。その感覚に近いかもしれません。
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イケメンでスーパーエリート!なのに光源氏のワンランク下の男「頭中将」ってどんな人?
光源氏の女性関係と子ども
光源氏を語る上で外せない、華やかな女性関係をみていきましょう!
正妻たち
プレイボーイとして有名な光源氏。関係を持った女性は星の数ほど……。そんな彼の正妻はどのような面々だったのでしょう?
葵の上
葵の上(あおいのうえ)は、光源氏が最初に結婚した女性。ライバル・頭中将の妹です。
出産により亡くなってしまいましたが、当時光源氏が交際していた六条御息所(ろくじょうのみやすどころ)という女性が生霊となって殺した、ということになっています。
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愛に溺れた美女・六条御息所の苦しみとは。生霊として彷徨い出るまでの葛藤
紫の上
光源氏最愛の妻として描かれる紫の上(むらさきのうえ)。光源氏が恋焦がれる義理の母、藤壺(ふじつぼ)の姪です。正式な結婚ではなかったものの、正妻格として世間から認められていました。『いいね!光源氏くん し~ずん2』でも、紫の上が登場しますね。
少女時代に半ば連れ去るように引き取ったことが、世間で「光源氏は少女趣味なのではないか」と言われるゆえんです。しかし、紫の上と光源氏には、深~い「ゆかり」があったのです。
女三宮
女三宮(おんなさんのみや)は、光源氏が晩年にさしかかったころに迎えた、25歳年下の女性。光源氏の異母兄・朱雀院(すざくいん、元天皇)の娘です。天皇の娘は内親王と呼ばれ、非常に高貴な身分。光源氏の正妻とみなされていた紫の上は、この上なく高貴な身分の女三宮に、正妻の座を奪われたかたちになりました。
▼女三宮との結婚で、光源氏と紫の上の関係はどうなったのか。詳細はこちら!
あの「光源氏」は暗い晩年を送っていた。愛欲にまみれた中年男が、妻の愛を失う日
交際していた女性(男性も?)たち
正妻のほかに、交際していた女性は数知れず。中には人妻・おばあちゃんなども! 男の子と関係があったことを伺わせるシーンも『源氏物語』にみられます。
光源氏の子どもは何人?
光源氏には子どもが6人います。その中には実子、養女のほか、あってはならない不倫の末に生まれた子も……。詳しくは以下の記事でご紹介しています。
不倫の末に生まれた子も。光源氏の光と陰を背負う、6人の子どもたち【源氏物語】
失脚したこともあるけれど、イケメンで何でもできる男
原作の漫画やドラマ『いいね!光源氏くん』では、なんだかちょっと親しみやすい存在の「光くん」。千葉雄大さんのイケメンっぷりと相まって、誰からも愛されるキャラクター♡ 私はこのドラマで、千葉雄大さんの大ファンになりました。
紫式部のしるした『源氏物語』では、光源氏は文武両道の完璧美男子として描かれています。音楽・絵画・書・踊り・蹴鞠など全てに精通していて、センスも抜群。一時失脚したこともありましたが、最終的には天皇に並ぶ位まで出世するほどのエリート! しかも“平安のビバリーヒルズ”なる「六条院」という大豪邸を建てるほどのお金持ちなんですよ。
NHK大河ドラマ『光る君へ』では、どのようなかたちで登場するのでしょうか。楽しみです。
▼筆者おすすめ原作漫画
いいね!光源氏くん (FEEL COMICS swing)
▼『源氏物語』全編のあらすじはこちら
源氏物語あらすじ全まとめ。現代語訳や原文を読む前におさらい
アイキャッチ画像:失脚し須磨で暮らす光源氏 『源氏五十四帖 十二 須磨』 国立国会図書館デジタルコレクションより
参考書籍:日本古典文学全集『源氏物語』小学館